心臓を優しく守るように
掴まれているドーリス

いつでも握り潰せると
微笑まれているドーリス

ここは脆い檻のこちら側だ

脆い鉄格子には
触れても我慢出来る程度の
電流が流されていて

大した事のない刺傷を
無数に作る程度の
刺があしらわれている

こちら側には愛と情が
満腹になる程度に
豪勢に並べられている

天井は驚く程低い

コツコツと響く足音を録音した
テープが再生されている

気が違う事の出来ない
可哀想なドーリスが
小枝のように横たわる

クリーム色の柔らかい幼虫が
今にもドーリスに噛み付こうと
口を開ける