まだ、火輪前編までしか読んでないから、解らないのかもしれない。
最後まで読んだら解るのだろうか。
最終巻読んだら納得できるのだろうか。
主人公死ぬ話ってどうも、好きになれないのは、バッドエンドだからだけではないのだ。
なんとなく、綺麗にしたくて、死ぬことで綺麗に見せているような気がするのだ。
高耶さんは生きて存在して欲しかった。
直江と平均寿命まで過ごしてほしかった。
そこには激しい感情も面白いことも、ないかもしれないが、平和になったら離れるかもしれないが、高耶さんには生きて存在して欲しかった。
ただの架空の話じゃん。
創作じゃん。
高耶さんが幸せになることをどうして許せなかったのだろう。
確かに妥協しない生き方をしたのだろう。
だから、悔いは直江を残して逝ってしまうことらしい。
だから、ほぼ満足なのかもしれない。
でも、美弥ちゃんの結婚式とか、初甥姪だって抱かせてやりたかった。
確かに景虎ではあるが、高耶さんなんだから。
まわりからみたら高耶さんなんだから。
美弥ちゃんを奪った男を一度だけ殴らせてくれって、殴って「美弥を頼む。」って震える拳を抑えながら背中で語ってくれなきゃ。
美弥ちゃんたっての希望でバージンロードを父親の代わりに歩かなきゃ。
初めての子どもを抱っこして直江と一緒に喜んでくれなきゃ。
まあ、このあたりは妄想です。でも、して欲しかった。
だってならば仰木高耶が可哀想。
仰木高耶の人生めちゃめちゃにしておいて、関係ないこと言っているのかな?
解んないけど。
解っているんだよ。作者が作った世界が絶対なのは。
だけど最終巻で納得できるか心配なのだ。
なんか、皆落ち込んでるし。
まあ、もう決着ついている話しだし、エンディング変えられないから、解っているけど、俺はのたうち回って、否定すると思う。
なんかどっかで未来があるから、だれかの力で高耶さん復活して直江と高耶さんが幸せに、絶妙なボケと突っ込みで生きて欲しいっておもったけど、最後の世界で二人りじゃなんか違うかもと思いだしたぞ。
千秋もねーさんも、譲もいて欲しい。美弥ちゃんもいて、時々高坂やってきてワイワイしてるのがいい。
それが、毒にもならないエンディングだとしても、作者に認めて貰えないことでも、どうせあたしの頭の中のことだから関係ないのだ。
そうしないと飲み込めないだろう。
つか、34巻あたりを軽くみたけど、多分キツい。
「何一人でかってに呑んでんだよ。」
そう言ってパジャマ姿の正義さんが缶ビール持参で現れた。
「スイマセン、先に頂きました。」
夜のベランダで一杯が俺のマイブームだった。
秋の虫の音や空気や星を眺めながら、なんとなく何も考えず過ごすことが、心を落ち着かせてくれた。
「髪ちゃんと乾かさないと風邪引きますよ。」
当然のように股の間に正義さんは腰を下ろした。
首にかけたタオルをとって頭を撫でる。正義さんは短髪なのでタオルドライでほとんど渇く。
シャンプーの香りがダイレクトに股間にきて、首筋に噛み付きたくなったが、抑えた。
せっかくのロマンチックな夜。恋人が腕の中にいる幸せを噛み締めたい。
「寒くなってきたな。」
「はい。
あっ、寒くないですか?
つか湯冷めしちゃいますよ。」
着ていたパーカーを脱いで正義さんを包む。
「おまえが冷えるだろ。」
正義さんはパーカーを返そうと体をよじるが、よじる体ごと抱きしめた。
「正義さんが暖かいから大丈夫です。」
風呂から出たばかりの正義さんは暖かかった。でもそれ以上に、
「風邪ひいても、自己責任だからな。」
正義さんは厳しい口調で言った。
「正義さんが暖かいから大丈夫です。」
自分の不甲斐無さに落ち込んだり、上手く行かなくてイライラしたりしたとき、公平な意見で正しく導いてくれる、だけど俺の気持ちも解ってくれる。
いつも助けられてきた。
正義さんがいなければ、辛い日々を乗り越えられなかっただろう。
俺はあなたに何も返せてないのに。
搾取するだけなのに。
突然不安になってしまって俺は抱きしめる力を強めた。
誰にも奪われたくない。
永久に俺のものにしてしまいたい。
「なんか馬鹿なこと考えてるだろ。」
空になった缶で頭を軽くこずかれる。
「眉間にシワ。」
そう言って眉間をぐりぐり人差し指で正義さんはおしてきた。
スルリと正義さんは腕から抜け出ると俺の腕を掴み立たせた。
「マーキングしとくか?」
オッサンらしいニヤニヤ笑いで俺をからかうと、腕を掴んだまま先に歩く。
「もっと気の利いた言い方無かったんですか。」
不満をもらす。あまりの色気の無い誘いに脱力する。
「おまえなんかに勿体ない。」
「ひどい。」
「そんなのなくても、いつでもしっぽ振るだろ。」
そうだけども。
そんな他愛のない言い合いをしながら寝室の扉を閉めた。
夜よ、おやすみ。また明日。
ここからは夢の時間。
正義さんに溺れて、のまれて、気を失うまで、夢の中まで正義さんを感じる時間。
帰らなくていいのだけれど
でしたっけ。
なんか二人の危機かと思いきや、安定しているカップルでした。
なんか話し的に盛り上がり少ないって思ったけど、互いしか見えていない、ラブラブっぷりがスゲースキ。
もういっこのデルヘリマネージャーと絶倫年下は、
はい、これ来ました。このあんあん言っちゃう可愛いこちゃん、好みです。
ツンデレの次に好き。
正義さんがこんな可愛いこちゃんにはなりませんが、万が一なってくれるなら、朝まで泣かすし、いたずらしまくりですよね。
電車の中でとか、エレベーターの中とか、映画館とか。
嫌がる姿が可愛くて、大事にしたくて、でもいじめるな。
クゾー可愛いよ。
俺にもそんな可愛い伴侶がほしいぜ。
話題:片想い
見いているだけで、幸せだったんだよ。
あなたの笑った顔が見られるなら、俺はそれだけで良かったんだ。
あなたがずっと幸せで笑っていてくれるなら、俺はこの心をあなたに伝えずに忘れてしまえるって、思っていた。
「こんにちは。」
引き戸を開けて暖簾をくぐり店内に入る。
「いらっしゃい。」
「いらっしゃいませ。」
正義さんと正義さんの奥さん香織さんが笑顔で迎えてくれた。
俺はいつものカンター席に座る。
「ざるうどん大盛りで。」
早々に注文すると、
「はいよ。」
といせいのいい返事が返ってきた。
香織さんがコップに水をお注いでくれる。
「また来た。そんなにうちのうどん好き?飽きちゃわないの?」
にこにこして聞いてくる。
「美味しいですよ。コシが違うし、つゆもうまいし。香織さん美人だし。」
「やだ、口がうまいんだから。」
ケラケラと笑いながら俺の肩をたたくと、小鉢に盛ったホウレンソウの白和えを持ってきてくれた。
「一品サービス。」
なんていって小鉢を置いていく。
「なんだよ、香織ちゃん俺たちには出してくれなかったじゃん。」
先に来ていた常連のおじさんたちがいう。
「若い子だけよ。」
そう言ってぺろって舌を出した。
「店主、奥さん若い子に取られちゃうぜ。」
そういっておじさんたちがからかうと、臆面もなく香織さんは、
「何言ってるの。正義さんが一番素敵なんだから。」
と惚気た。
「だそうです。」
そういって正義さんは笑った。
俺がこの店に通うようになったのは一ヶ月前だ。偶然入った店だが、その美味さに通い詰めている。
一週間のうち3回来ている。だが飽きる気配がないのは、このアットホームな雰囲気もあるのだろう。
一人暮らしを始めて三年。一人でいることにはとうに慣れたつもりだったが、やはりさびしかったのかっも知れない。
ここに来れば、お姉さんのような香織さんがいる。
親戚のおじさんみたいな気さくなおじさんたちもいる。
妹みたいな正義さんの娘の花梨ちゃんもいる。
だけど、ほとんどの目的は正義さんに会えることだ。
俺はただ密かに正義さんのことを思っていた。
もちろんこんな思いを正義さんに伝えるつもりはない。嫌われたくないし、伝えてしまえば来れなくなってしまう。
関係を変えたいわけではない。
常連とその店主。
時々会話をして、うどんを作る姿を拝めればそれで満足なのだ。
大体こんな幸せ家庭を壊せるわけ無かった。
だから、そっと正義さんを眺められるだけで、俺には至福の時。
それ以上なんて俺は望めなかったし、望みたくなかった。
「お待ちどう様。」
そう言ってつゆとざるうどんが提供される。
俺は割り箸を割ってうどんをすすった。
「うまい。」
お世辞無しに言うと、正義さんは照れたような、満足したような、顔で笑った。
俺はこの笑顔を見続けていたいんだ。
そう思った。
だから、この先もずっとただのうどん好きな客でいようと思っていた。
おしまい