フレユリ、ED後 かなりフレ→→→ユリです。
星蝕みが消えて世界の脅威が去ると同時に、人類に様々な恩恵を与えていた魔導器もまた役目を終えた。
その選択を選んだ自分や仲間達に、後悔はない。この世界に暮らす人々も現実を受け入れてくれた。
だが、問題が全くないわけではない。今まで魔導器ひとつで簡単に出来ていたことの大半は、少なからず人間の労力を必要とするものになった。
リタ達魔導士が頑張ってくれているおかげで、少しずつではあるが代替エネルギーの研究も進み、そのうちのいくつかは既に実用化されている。それでも魔導器の利便性とはまだまだ比べるべくもないのが現状だ。
星蝕みの混乱から半年。徐々に世界情勢が落ち着くとともに、再び民衆の間から不満と不安の声が度々聞かれるようになってきた。
「ふう…」
若き帝国騎士団長、フレン・シーフォは今日、幾度目か知れない溜め息を零すと、今しがたまで目を通していた書類から視線を窓辺へと移した。
「よっ、相変わらず辛気臭い面してんな、騎士団長サマ?」
「君は相変わらず気楽そうな顔してるね、ユーリ」
言ってくれんじゃねーか、と悪態をつきながら窓から部屋に侵入してきたのはフレンの親友であるユーリだ。
腰まで届く艶やかな黒髪は相変わらず美しく、少しの傷みも見られない。ギルドの仕事で世界中を飛び廻っているにも関わらず、日焼けを知らないかのような男性にしては白い肌。
身長はフレンと変わらないがその体躯は若干細身で、しなやかに窓枠から飛び下りるとフレンの元へと歩み寄って来た。
「またなんか悩んでんのか?」
腰に手をあててフレンの様子を伺う瞳は真っ直ぐで、まるで星を散らした夜空のように静かな輝きを放っている。
彼のことを美しい、と思うようになったのは、いつの頃からだったのだろうか。最近、ユーリに会う度に自分でも理解し難い感情が沸き上がるのを抑えられず、フレンはユーリをじっと見つめていた。
そんなフレンの様子を怪訝に思ったのか、ユーリの表情が先程までの、どこか人をからかって楽しんでいるようなものから、少しだけ不安そうなものになる。
「フレン?…どうした」
「…ごめん。何でもない」
「何でもないって様子じゃねえなぁ。…マジでなんかあったのか」
「そういうわけじゃない。まあ…細かい問題は色々とあるけどね」
これ以上黙っていると何か余計なことを口にしてしまいそうな気がして、フレンは話題を逸らそうと思い、机の上の書類に顔を向けた。
ここはザーフィアス城内のフレンの私室だ。普段の書類仕事は公務室で行い、こちらへ持ち込むことはあまりない。
「何おまえ、自分の部屋に帰ってまで仕事してんのかよ。ちゃんと切り替え、したほうがいいんじゃねえの?」
「仕事、というほどではないよ。…いや、まだ正式に処理されていない、というだけだから、そのうち仕事になるんだけど」
「はあ?」
「そこにあるのは僕が直接、下町や他の街の人達からもらった陳情書なんだ」
「陳情書?」
ユーリは机の書類を手に取って、黙って読み始めた。
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すみません、変なとこですが切ります