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グヘェ

これはオレの話です 中学最後の修学旅行で某都道府県の旅館に止まりました。 当時オレが通っていた中学校は1学年で600人以上生徒がいる地元1のマンモス校だったらしく 男子と女子で何メートルか離れた別の旅館に宿泊し宴会が行われました。 その日は台風が強く接近しており突風で1枚窓ガラスが割れてしまい修理屋まで呼ぶほどでした。

窓側 A俺BC 入口 四人部屋で寝る位置はこんな感じに決まりました。 部屋の中で賑やかしなAがエロ・怖い話に花を咲かせて時間はあっという間に過ぎ そのうち就寝時間なので先生が見回りで確認しに来ました。 勿論みんな寝たフリ

曖昧ですが深夜の1時過ぎた頃だったと思います。 TVも飽きてみんな疲れて寝てた所を起きた。 強い雨音の中なのに地面を蹴って跳ねる音と呼び声が混じって聞こえる。

おーい、いるんだろー、おーい、いるんだろー

その声は何分もずっと聞こえてきた。 B「起きてる?」 C「なんか変なの聞こえね?」 どちらがBでCかなんて細かく覚えていないが3人で布団から起き上がってカーテンのある窓の隙間からを少し覗く Aだけが反応せず眠っていた。

呑気な奴だな

 

カーテンを少しずつ捲る、隙間から回りを覗く。 3人がそこに歪な存在を感じた。

髪が無く、眼の形が歪で、体の一部が黒い それ以上の特徴はオレの記憶が拒否してて覚えていない 喉と首筋の近くに強い寒気がきた 見てはいけないモノ

ウワッ・・・

ソイツの首がグニャっと曲がって

グヘェッ

って。笑った。 よく犯罪や警察の特集番組で出る 男性の声を分からないように変声機でゴツく変えたような、そんな感じの笑い声。 人間が自然に発声できるようなものでは無い。 怖くなってカーテンを締めて3人とも自分の布団に潜った。 グヘェッ っていうさっきの笑い声が耳にこびりついてしまう。

ベランダに人影ユラユラ揺れているのが見えた。ここは二階 近づいて来たんだ、冗談じゃねぇよ。 その得体の知れない存在が何度も何度も窓ガラスを強く叩く音 それは明らかに突風の衝撃とは違い、怒り激しく規則性のある叩き方だった 普段はクラスの中で威張って先生に迷惑かけてるAの体がオレの横で額から汗を出して泣いていた

コイツも本当は起きてたのか

 

Aがブツブツ何か喋っている。 部屋の中にその声が聞こえた。 念仏では無い

もうしません、もうしません、もうしません

その時に誰がこんな原因を持ち込んだのか理解した

コイツだ

錯乱した俺はB、CとAを置いて真っ先に部屋から叫びながら抜け出す。 そこから先の記憶は無いんだが違う部屋で目覚めた。 3人は部屋の前で先生に倒れているのを発見されて助けられたらしい。 先生が部屋に行くとAが汗、涙、鼻水を垂らし、さらに汚い話だが糞尿も排出して失神していたらしい Aは深夜の中、救急で病院に送られた 旅館の人が通報したので警察の人が来て色々聴取されたが何を答えればいいのか分からなかった。

結局修学旅行も乗り気じゃないまま終わった。 Aは様子がおかしくなった。 たまに学校に来るようになったんだが変貌して無口になり誰とも話さなくなった。 アレからBとCもオレを避け昔のように4人で集まって一緒に遊ぶような事は無くなった。 Aは途中で早退したり、3学期になると一度も学校に来なかった。結局卒業式にも出席しなかった 卒業して高校生になり、いつだかたまたまAの家の近くを通ると解体されて無くなっていた。 Aの行方は知らない。結末も知らない。 物語が続くような創作じゃなくリアルな話だから

不可解な死

夜中にふと起きた人が、トイレに行こうとしたら、 同じタイミングで祖父が起きてきた。 で、その時は祖父の右腕が無いように見えたらしい。

でも廊下は暗いし、 寝ぼけて目が霞んでいるだけと思って、あまり気にせず、 祖父の次にトイレを済ませ、普通に寝た、と。

が、次の朝、祖父は死んでたらしい。

死因は右腕切断部位からの多量出血による失血死。 見間違いじゃなかったってワケだな。

そして奇妙なのは・・・祖父の寝室に、見たことも無いくらい薄く、 鋭利に加工された、鉄の板が放置されていたこと。

右腕切断の原因は間違いなくその鉄の板ということが分かったが、結局そこまで。 他殺か、もし他殺ならば犯人は何者なのか、はたまた自殺か、事故か???。 一切不明のまま、時効なんてのもとっくに過ぎているそうだ。

たぶん日本で起きたような話ではなかったと思う。

八房 2

「餌代としてもらっておきますよ。これから物入りになりそうなので。 そういうことならいいでしょう?」

そういって私がふところにそれをしまうと彼女は驚いて顔をあげた。 にらみあいのあいだに私は彼の名前をすでに用意していた。

「よくも悪くもこんなに霊験あらたかな犬なんてほかにいないでしょ? な、八房」

考えた名をよんでみるとはじめて音で意図を示された、ぐるるという唸り声。 返事をするということは気に入らなかったわけじゃなかろうと。

「でも… 危ないですよ。 解散した団体にも不可解なことがいくつも」

心変わりをうながそうとする担当者を手で制し。 「これが一番なんです、私にとっては。」 そういいながらどうやって示したものか考え、思いつきでジャーキーを取りだし試しにケージについた穴に近づけた。 指にかみつかんばかり(というか最初からそのつもりだろう)に勢いよくだがくらいついてはくれた。

「ね? 普通の犬じゃこうはいかない。警戒して食わないところです。 私ならうまくやってけます。」

すでに八房との生活のプランは頭の中にあった。 自信をもっていうと担当者は八房とわたしをみくらべたあと、しばし話をしてから去っていった。

 

こうして私は八房の犬となった。

彼は生きている間にかずかずの不幸を私にもってきてくれた。 保健所の中にやってくる犬達の中で情を通わせた犬がいると感づいて吠え立てる。 引き取れと命じるのだ。 基本的にわたしは八房の命令に忠実だった。 だが、家計のためにとやむなく見捨てた時は医者にも原因不明だという高熱に一週間もやられたものだ。 人間が動物に都合をおしつける世の中で、八房だけが動物の都合を人間におしつけられる立場だった。 とはいえそれではこっち餓死するし、そうなると犬達の面倒は到底できない。 さしもの八房も人間の言語まではわからずディスカッションは混迷を極めたが辛うじて私の生存ラインの出費の範囲内で納得してもらえるようになった。 だがそんな幸せな生活も長くはつづなかった。 彼はたかだか三年私のもとで生きて、亡くなってしまった。 八房の魂がまだ肉の内にとらわれている内になんとか八房との関係修繕をしたかった。

今私は自宅に飼っている犬を人質として辛うじて八房の祟りを免れているに過ぎない。 八房のためにたてた供養塔を撮影してそれは確信に変わった。引き取る前にみせられたものより格段に犬の顔は増えている。

八房 1

「この犬は普通の犬じゃありません。それでもいいんですか?」

それが私が後に八房と名づける犬を引き取ると口にしたときの団体の担当者の言葉だった。 詳しく話をきいてみるとこういうことらしい。 八房は一度ある非営利の動物愛護団体にひきとられたあと、足をへしおられた。 それが偶然であったか故意であったかはさておき、病院にもつれていかれずに曲がってくっつくまで放置されたのは間違いないという。 動物愛護団体がひきとった筈の犬がなぜそんなことにと問うと。 担当者は泣きそうな顔をして、好きだからやってる所ばかりじゃないんですよねと前置きをしておしえてくれた。 それまでも話にはきいていたが、大衆の同情をひきそうな動物ばかりをひきとって寄付金を狙う団体も少なくなく、彼を引き取った団体も実態はそういうものだったらしい。 だが八房はその目的、集金のためには不適格だったらしく的確にするためにそんな目に合わされた。 いつもは我々に抗議をしにくる立場の団体の人が萎縮した姿だったのはこれがはじめてだ。 (ちなみにこのときの私の職は保健所の職員である。) どれだけそれが重大な事と相手が痛感していることか理解して私は追求したりせず話を先に進めた。 どうして、その団体の人が来ないのか。何故別の団体がもってきたのかと聞くと該当の団体が既に解散していると教えられた。 団体はなくなっても人は残るだろう?とまで問う気はおこらなかった。

「近くの施設で処分していただこうとしていたのですが。 この犬ここに来たがってまして」

どういう事かと問うと、抗議用のリストのたばねたファイルをひらいているときまってそのリストを凝視したのだという。 施設につれていくことが決定した時も、ここ以外のところに連絡をとろうとすると盛んに吠え立てたという。 静かにしているときはきまってやけに電話の音が遠いとかノイズがやたらとするのだそうだ。

「多分あなたが目的だったんですね」

 

気遣わしげにこちらをうかがう担当者の前で私は重苦しくうなりながら鼻から息を抜いた。 その時あらためて八房の顔をみると、あることにきづいた。 私は引き取られていく前八房の世話係だった。なつかれていたし、憎からずおもっていた。 しかし上司から一匹ひきとれば次から次。それで生活が崩壊したものも沢山いると教えられていた為自分でひきとることはなかった。 結果、酷い場所にひきとられ苦しんだ八房は私の行為を裏切りと考えるようになったのだろう。 彼女につれてこられていこうまったく私からそらされない視線には憎悪が宿っているように感じられた。

「どちらにしても。とてもではないけれどうちでは他の引き取り先もみつけられないんです。かわいそうだけど処分するしかありません。 だから引き取っていただけるならこんなに嬉しいことはないんですけど。」

そんなことを言う担当者に私は彼女の抱く懸念ではなく何故引き取り先もみつけられないのか問うた。 彼女はおずおずと封筒を差出し目をそらす、私は中身を見て言葉を失った。 カメラが向けられることをいやがっているからその顔は威嚇と怒りにゆがんでいたが、そんなものはかわいらしい。 どうみても犬やら猫やら動物の顔としか思えない模様めいたものがいくつも浮かんでいたのである。 「カメラをいやがるだけだったらいいんですけど。撮る度こんなではとても支援者のかたにはみせれないんです。」 そういわれているあいだ中わたしは八房をながめた、相変わらず八房は私をにらみつけている。 ケージの中から向けられる射抜くような視線、ケージからだされたら首にでもくいつかれそうだった。 しばらく無言でいたことを担当者はひきとる気が失せたとおもったのか、封筒にいれられた金を出し

「供養はてあつくお願いしいます」 と声をひそめた。

滞空時間

小学校の時にクラスのみんなで野球をして遊んでいた。 俺たちのチームが攻撃で、バッターのヤツがボール打った。 ボールはライナーでファースト方面に飛んでいって、ファーストの守備の奴がボールを取ろうと してジャンプしたんだ。そしたらそのジャンプした奴がしばらくの間(と言っても2,3秒位か) 空中に浮いていたんだ。俺は自分の目の錯覚だろうと思ってクラスの奴にきいたんだ。 「今、滞空時間長くなかった?」と。そうしたらみんな「おお、そうだよな。浮いていたよな」と 言ったので、自分だけではなかったと思った。
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