25年前の夏のある日のこと。
当時ヤンキーだった私(恥)は夜中家をそっと抜け出し、悪友と2人で近所の公園でタバコを吸いながらダベっていました。
周りには誰もいませんでした。
その時
「キーコ、キーコ・・・」
と何かをこぐ音が聞こえてきたのです。
「?」
公園の入り口から何かが入ってきました。三輪車でした。
『なんでこんな夜中に・・・?』
2人とも入り口の方を凝視していました。三輪車と乗ってるものの比率がどうも変だったのです。
近づいてきたその三輪車に乗っていたのは・・・大人でした。
汚いカッコをした浮浪者でした。
私達はビックリするやら怖いやらで、しばしその場で固まってしまいました。
「キーコ、キーコ・・・」
そして浮浪者の顔が公園の明かりで、はっきり見えたときに私達は声も出さずに走って逃げました。
何故ならその顔が、満面の笑みを浮かべていたからです。
へんな汚いチューリップ帽をかぶっていたのが鮮明に目に焼きつきました。
私達は走りました。とにかく大通りまで走り切りました。
「きも悪ぅー!」「なんやあれ。頭おかしいんちゃうか」
「恐いんじゃ!」「変な帽子かぶっとったなあ」
など、その浮浪者の悪口を言ってる間に中学生の私達はすぐに恐怖感が薄れもう一つの公園に行くことにしました。
そしてまたタバコを吸いながら、30分ほどしゃべっていたでしょうか。
「キーコ、キーコ・・・」
「!?」
また何かをこぐ音が聞こえてきました。
今度はその「何か」はわかっていました。
「ぎゃああああああ」
すごい悲鳴を2人で上げ、音の聞こえる反対側の公園のの出口から走って逃げました。
今なら、コンビニなど24時間あいてる店がたくさんあります。
しかしその当時、あいてる店など皆無に等しく、とりあえず私達は少し走った所にあった、4階建て市営住宅の4階の踊り場に身をひそめました。