スポンサーサイト



この広告は30日以上更新がないブログに表示されます。

第百三十八話

「んん…」

…喉、渇いたかも…
確か水飲み場があったよね。
そこまでならなんとか一人でも行けるかな。
みんなを起こさないように気をつけないと…



「…く、暗い……」

予想以上に暗い!
一応灯りは点けてるけど…


…あ、あれ……?
先の曲がり角、誰かいる…?
だ、誰だろう…!
なんか怖くなってきた…!
心臓がうるさくて誰の気配か判別する集中力が保てないよ…!


その瞬間、角からぬっと黒い影が現れて…

「…!」

「ひゃっ……!」


…え……この感じは…


「…………千里…」

「み、つなりさん…?」


……だ、ダメ…っ!

「っ…!」

「!」


思いっきり顔逸らしちゃった…
だって、心の準備もできてないのに会えないよ…!

……ど、どうしよう…
向き合うって決めたのに、言葉が何も出てこない…

まだ顔も見れないけど…
何か、言わなきゃ…!


「……あ、のっ…」

「すまない…っ!」

「えっ…」


バン!と床を叩くような音。
恐る恐る確認すると、三成さんが手をついていた。


「今更…何を言っても許されぬことはわかっている…!だが私は…!」


…いつもはまっすぐ張り詰めたような三成さんの気が、酷く揺らいだ気がした。


「千里を傷つけた…!」


















**********


三成さんお久しぶりです。





ねえ覚えてる?

久々に普通の日記のようなものを。

たまにはリアル?にいきますよ。










最近少し目からうろこだったのが、銀魂のタイトルにもあった「人は忘れることで生きていける」的な。

それは当時の思い出が時と共にかすんでいくからなのか、新しい思い出が上に覆い被さってしまうからなのかはわからんが。


当時は絶対に忘れない、私は変わらないと強く思っていたことも、結局は過去に追いやられてしまう。
時間とは残酷です。
そして人間は都合のいい生き物です。


忘れて忘れて、新しいもので上から包み隠していけるから前に進めるんですね。

まさか自分にもそんなことを考える日が訪れるとは…



いろいろありましたけど、なんだかんだで生きていけるものですね。

人って本当に忘れていくんですね。

そして性懲りもなく傷ついたりするんですね。





…おや?少ししんみり(笑)

そんな暗い話じゃないんですけど…


たまにはこんなのもいいですよね、ね←






第百三十七話

「待っ……!」


………あ、あれ…?
最近になって見慣れた天井…
あたし好みに焚かれた香と、畳の匂い…

目が、覚めちゃったんだ…


……暗い…
夜、なのかな…
あたし、どれくらいの時間寝てたんだろう…



「………」


秀吉さんと半兵衛さん…
あたしを心配してずっと夢の中で待っててくれたんだよね…

…でも二人の話が事実だったとしても、みんなに話すことなんてできない。
今更何を言ったって、言い訳にしかならないもん…


………前に進まなきゃ。
穢れの原因を突き止めて、根元から断ち切らないと。

秀吉さんや半兵衛さんみたいな人を、二度と出さないために…


…強くならなきゃ。
今までみんなに助けてもらってばかりだったから。

戦えなくても、何かあたしにもできることを探そう。
いつまでも守ってもらうあたしじゃダメなんだ…!




「……あ…」


窓の外に月が昇っているのが見えた。
穢れが消えて、澄んだ大阪城の空。

…こんなにも綺麗なはずなのに、なぜか涙でにじんで…ちっとも見えないや…


「……三成さん…」


まだ、あたしのこと…許せない………?













**********


おはようございます。
夜だけど。

彼女も成長します。





兎の精神安定剤

別にネタがないわけじゃないよ(`・ω・´)キリッ←


今日も今日とて夢語り。
愛でられ兎シリーズ「神夜(かぐや)」

本日は阿伏兎。










今まで何度か書いたかもだが、阿伏兎的に彼女はそう好みの女でもなく。
初めて会った時はまためんどくさいのが一匹増えたとため息をついた。


ただ接してるうちに彼女が酷く変わった娘であることがわかってくる。


情事の残り香がする神威の部屋に、捨て置かれた彼女。
どうしたものかと呆れた矢先、ゆっくりと起き上がってへらりと笑う。
「阿伏兎だぁ」


鳳仙から神威から星海坊主から、そして彼女自身から。
愛玩兎と成り果てた彼女が阿伏兎の中で紐解かれていく。


女の臓器を失ったかわいそうな少女。
そんな境遇にいることにすら気づかない哀れな少女。

抱いた感情は間違いなく同情。
だが抱いたことのない感情までもが心を支配した。


彼女をかわいいと思う。
それが女としてなのか身内としてなのかは阿伏兎自身にさえわからないけれど。

ただなんとなく彼女の無垢な笑顔が、絶えなければいいといつも思っている。








こーんな感じ。
オジさんゆえに冷静に考えちゃったり大人目線で彼女を見ちゃったり。

あと星海坊主と繋がってて、ゆえに情報を知ってるってのもうまうま(´ω`*)
一番事情を詳しく知ってそうだもんな神威パパ。



その笑っていてほしいと願う感情が愛情だと私は信じてるよ←
神夜には伝わってないけどな┐(´д`)┌


結構な犯罪レベルの歳の差だと思うけど、この組み合わせは個人的に好き。





連日すみませんでした!(土下座)





第百三十六話

「で、でも秀吉さん達が怨霊になる前にあたしが浄化していれば…!」

「残念だが、それは叶わぬ」

「え…」

「僕達の命が尽きたのは、三成君が大阪城を出る少し前のことだからね」

「…!」

「当時の君はまだ、この世界に存在していなかったんだよ」

「そんな…!」


秀吉さん達を助けるためにここまで来たのに…
あたしがしてきたこと、最初から意味なんてなかったの…!?


「悲観することはない。お前が我らを救ったのは揺るがぬ事実。それを忘れるな」

「……」

「千里、本当は君が大阪城を訪れたらすぐに僕達を浄化してもらうつもりだった。すでに怨霊だった僕達は少なからず、この地域一帯の穢れの原因となっていただろうからね」

「…だが、我らはためらった」

「どうして…?」

「君が…そこにいたからだよ」

「え…?」


あ、あたし…?
どういうこと…?


「この世界に降り立って、龍神の神子となった君が目の前にいた。別れるのが惜しくなったんだ。…それだけの話だよ」


肩をすくめて微笑む半兵衛さん。
時々…半兵衛さんは不思議なことを言う気がする。


「…すまなかったね。君を傷つけたかったわけじゃないんだ」

「お前が罪の意識を抱く必要などない」

「そんなこと…」

「千里と会って…忘れていたものをたくさん、思い出した気がするんだ」

「礼を言わねばと、ここで待っていた」


秀吉さん、半兵衛さん…!
涙のせいなの…?
辺りが…かすんできてるのは…


「ありがとう、千里」

「お前は確かに、我らを救ったのだ」

「…!ま、待って!」


夢が終わろうとしてる…!
ダメだよ…!
まだ覚めないで…!


「最後に一つだけ、聞いてくれるか」

「え……?」

ふたりがどんどん遠くなって…


「三成君のこと、頼んだよ」

「秀吉さん!半兵衛さんっ…!」





















**********


彼女の何らかを見て、優しい気持ちみたいなものを不意に思い出してくれたらいい。
さぁ目覚めますよ。






前の記事へ 次の記事へ
カレンダー
<< 2012年02月 >>
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29