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遙かなる時空の婆娑羅2 番外編

拍手小説に日記連載していた「遙かなる時空の婆娑羅2」の番外編というか後日談を載せました。


長らくお付き合い本当にありがとうございました。
今年はBASARAにもたくさんお世話になり、千里と共にいろんな経験ができたような気がしてます。

また機会があればこの日記連載のイラストでも描けたらなぁと思います。






最終話

「…御台、御台よ。またぬしに文が届いておるぞ」

「刑部さん…やっぱりその呼び方やめませんか?どうも慣れないんですけど…」

「神子でなくなった今、ぬしを呼ぶのにいちばんふさわしかろ」


うーん……
そんな誇らしげに言われても…意味も聞きそびれたままだし…


「不服か?フム…ならば北はどうだ?」

「北?」

…って、東西南北の?

「ヒヒ、御台所も北の方も元は同じよ。どちらも正室という語意に変わりはない」

「!?ちょっ…刑部さん!からかわないでってば!あたしと三成さんはそんなんじゃ…」

「千里!どこにいる!」


え……三成さん?
なんだかご立腹のような…


「三成さん?どうかしたの?」

「どうしたもこうしたもない!見ろ!」

「手紙…」

「家康の所にいるあのでかい奴がまた千里宛の文を落としていった!あれから何度目だと思っている!」

「へ?忠勝さん?」

「魔王を倒してはや半年……よくもまぁこれだけ頻繁に文がよこせるものよな」

「あはは…みんなもうそれぞれの国に帰っちゃったからね」



…そう。
あの魔王との激しい戦いから、半年以上が過ぎていた。
あたしは三成さんと刑部さんに連れられて、今は大阪城で一緒に暮らしている。



「…あ、そういえば刑部さんも文って…」

「また大量に届いておった。多くに見初められては御台も難儀よなァ」

「笑い事か刑部!…千里、ここで読め」

「え?ここで?別にいいけど…」


みんなとの手紙のやり取りはいつものことだし…ま、いっか。
しかも三成さん、怒ってたわりに忠勝さんから預かった家康さんの手紙も普通に手渡してくれるんだ。
そゆとこは相変わらず、優しいよねぇ。

…そんなわけで、刑部さんから受け取った手紙の束を一つずつ紐解いていく。



「えーと……あ、お市さんと長政さんだ」

「またあの夫婦か!先日ここを訪れたばかりだろう!」

「今度は二人のお屋敷に遊びにおいでって。三成さんも一緒に」

「……そういうことならば考えておく」


あ、それはいいんだ…



「次はー…鶴姫ちゃん。今度遊びに行ってもいいですかーって」

「奴はこの城を遊技場にでもするつもりか…!」


「謙信さんとかすがさんの越後から。あれから変わらず大事ないかって」

「問題などない。そう返事をしておけばいい」


「…あ、政宗さんと小十郎さん。いい野菜が収穫できたから食べに来いって!」

「奴らは他にすることがないのか…!」


「幸村くんと佐助さんと信玄さんはー……おそばをごちそうするから甲斐に来ないかって」

「各国には本当に食い物しかないのか!」


「食べ物繋がりで言えば、元親さんも今魚がよく捕れる時期って言ってるよ」

「…もういい。長曾我部に関しては想像がついていた」


「あ、慶次くんがまつさんと利家さんを紹介してくれるって!」

「あの気楽男は…!」


「あとは…元就さん。みんなで壊しちゃったお屋敷、前よりもずっと立派に作り直したから見に来いって」

「自慢したいだけのためにわざわざ文をよこすな!」


「孫市さんはー…食事をちゃんと取れとか夜は早めに寝ろとか…」

「なぜこうも奴は口うるさい…!」


「最後、家康さんは……会いたいって!」

「家康ゥウウウウウ!」



改めて見るとたくさん手紙来てるなぁ…
みんなに会いたいけど…全国を回るとなると結構な距離だし…
……でも最難関は三成さんかな。
あまりいい顔はしなさそうだけど…


「…えーっと……三成さん、あたしもみんなに…会いたいなーなんて……」

「御台よ、気持ちはわかるが三成も忙しいゆえな」


う……やっぱりか。


「いいだろう」

「ですよね…………え?」


……今、三成さんなんて…?


「私は秀吉様の城を離れるわけにはいかない。ならば今読んだ手紙の者をここに呼び寄せればいい」

「え……いいの!?」

「構わない。千里はそれを望むのだろう」

「う、うん……うんっ!嬉しい!ありがとう三成さん!」


本当にみんなと会えるんだ…!
お市さんと長政さんや鶴姫ちゃんには前に会ったけど、他のみんなはあの戦い以来だし…
みんな集まったら、ちょっとしたパーティーでもできたらいいのにな。


「ヒヒ…しかし珍しいこともあるものよ。よもや三成が客を招くとは。しかもあの大所帯をな」


雨が降るか槍が降るか…なんて刑部さんが茶化してる。
…でも確かに。
どうしてまた急に許可してくれたんだろう…


「何か企みでもなければよいが」

「ええ?刑部さん考えすぎじゃない?」


なんて二人で笑ってたら、しばらく考え込んでいた三成さんが口を開いた。
……とんでもない爆弾と共に。


「祝言を挙げる」

「………………え?」


「いい機会だ。これで少しは奴らの茶々もましになるだろう」

「え、ちょ…三成さん……?」


しゅ、祝言って…?
あたしの知ってる祝言とあってるの?
空耳…じゃないよね…
刑部さんも一瞬固まってたし……


「いずれはそうするつもりでいた。ならば奴らに披露した方がいいと思ったまでだ。…千里は違うのか?」

「ち、違くないけど…でも、それって…」


…それって、…それって……!
未だ頭が整理できていない私に、三成さんはまっすぐ言い放った。


「千里、私の妻になれ。……拒否は許さない」

「………!」


……言葉はでなかった。
代わりに、涙ばかりが溢れ出た。
それでも返事を伝えたくて、一生懸命首を縦に振った。
横暴な台詞なのに、どこか不安げな表情。
でも懸命にうなずくあたしを見て、三成さんは少し安堵したように笑った。




「やれ、メデタキな。われは文と宴の手はずでも整えるか。ぬしらはゆるりと参れ。めおととなるのだ。積もる話も多くあろ」


そう言って、からかうように笑って部屋を出た刑部さん。
…夫婦……めおとって全然実感湧かないけど…!


「…どうした」

「あ、う…ううん」


三成さんの顔を見ては思う。
初めて出逢った時、まさかこんなことになるなんて誰が予想できただろう。
まっすぐで、まっすぐすぎて…それでいて、だからこそ純粋で。
不器用で攻撃的で、でも少し優しくて…
いつかそんな三成さんを知りたいと思って、理解したいと思って…
気づいたら、こんなにも好きになってた。
ぶつかって傷つけ合って、それでも大切で…愛おしくて。



「…あ」

「今度は何だ」

「いや……あの時、途中だったなって」


織田信長と共に地の底へ沈んでいく時、あたしが…言いたかったけど言えなかった言葉。

『あたし…あたしね、三成さんのことが』



「……大好きだよ、三成さん」

「そうか…」




……誰か、誰か聞こえますか。
この世界で、あたしは生きていきます。
大切な人と共に、この美しい世界を。
忘れないで。
時には悲しみや憎しみが全てを覆い尽くすこともある。
でも、人は強いものだから。
何度でも乗り越えていける力を持ってるの。
…ひとりじゃないから。
大切な人達が側にいてくれるから。
それにちゃんと気づけた時、人はもっと強くなれる。
あたしが…この世界に教わったこと。


「行こう三成さん。刑部さんに任せっきりじゃ悪いし」

「そうだな。千里にはまず着物を仕立てる。それから…」




……手を繋いで、共に生きます。
この幸せをかみしめて…もっと、ずっと続くように祈りながら。


誰か、聞こえますか。


あたし達は、ここで…生きています。


















































**********


…というわけで、計324話。
同じくして324日を経て、日記連載を終了とさせていただきます。

本当は365日…いや、閏年だから366日か。
で終われたら最高だったんですけど、さすがに無理でした。


この日記連載は毎日仕事の帰りの電車で携帯のメモ機能一枚分?が埋まる文字数を目安に続けてきました。
前回とは違い、本当に毎日書かさず続けたので正直しんどかったです(笑)
毎日が行き当たりばったりすぎて、翌日書くことを考える余裕もなかったんで。



さて、最後なので少し中身について触れさせていただきます。
三成オチというのは最初から決めていました。
前回の日記連載もそうでしたが、最初に出逢う八葉はオチです←

ただ今回はキャラが増えた分書くのが本っ当に大変で…!
しかも口調が誰かわらかん人は本当にわかんないし!
だからできるだけ名前呼ばせたり家康には笑わせたり、からすという単語を何度使ったか…!
途中からキャラがだんだんわかんなくなってくるし、空気の人出てくるし…!
政宗様の英語調べるの面倒だし信長公なんてずっと台本片手にやってた気がする!


あれ、なんか愚痴になってしまいましたが…
書いてる本人は結構楽しんでました。
最終的に恋愛目線でヒロインを見ていたのは誰でしょうね。
私の中で彼女に本気で惚れてるのではという感じだったのは三成以外に家康、政宗、幸村、そして元就です。
…おや?四神につき一人ずつやんすごい偶然!
この中で明確に諦めようと決意したのは家康と幸村だけですけど。

でも幸村は書いてるうちにすごく愛おしくなってきて、勢い余って告白させました(笑)
ごめん幸村←



なんかおもしろい裏話とかあったらいいんですけど…思いつかん。
あ、鶴姫結局夢の中しか出てない!まじでか!今更!

浅井夫婦に関しては
・やっぱり市は死んでた案
・本当は長政が死んでて怨霊だった案
・信長側に寝返る案
…などいろいろあったのですが、とてつもなく長くなること間違いなしだったので却下。
つか浅井夫婦は幸せにならなければ誰が許したとしてもこの私が許しません。



こんな感じで終わりましたが…いかがでしたでしょうか………
終盤とてもぐだぐだしたので、必ずしも全員が全員満足いく終わりではなかったかとは思います。

あ、イメージイラストは途中なのでまた後日描けたらなと思っています。




過去に行ったり呪い食らったり、ややこしいかつわかりにくくて仕方ない話だったとは思いますが、ここまで読んでくださった方、勇者です←
本当に本当に感謝してもし足りません。
ありがとうございます。
自己満足ではありましたが、無事完結させることができました。
この作品を通して、もっともっと戦国BASARAが好きになりました。
宴もプレイしたいし、まだまだBASARA熱は冷めません!

本当に本当に、ありがとうございました。
心の底から感謝を込めて。




























石田三成





伊達政宗

長曾我部元親

真田幸村

前田慶次

毛利元就

猿飛佐助

徳川家康



お市

浅井長政

雑賀孫市

大谷吉継

片倉小十郎



本多忠勝

かすが

上杉謙信

武田信玄

夢吉



鶴姫



小早川秀秋

天海



豊臣秀吉

竹中半兵衛



織田信長



白龍

黒龍






長峰千里




















special thanks!



あいは

くるみ





and YOU!












第三百二十三話

徐々に重みを増していく体。
吸い寄せられるように、地面へと向かっていく。

みんなのところに、還ることができる…?


「ほん、とに……?」


手を伸ばせば届くの?
あたしの声が聞こえる?
…あたし、生きてる……!?


「生きてるっ……!」

「…?」

「なんだ…?」

「おい…!あれって…!」

「!……まさ、か…」


ゆっくりと、距離が縮まっていく。
みんなの表情が…はっきりと見えるくらい…


「……千里…!?」

「嘘だろ…!?」

「幻ではないのか…!」


…この手は、届く?



「みんなぁああああああッ!」

「千里!」

「……千里っ…!」

「うおおおあああああ!千里ーっ!」


…みんなの涙を、こんなに嬉しいと思ったことはない。
そして……


「…千里……?」

「っ…三成さん!」

「千里!」


抱き留めてくれた三成さんの涙は酷く温かくて…


「三成さん…!三成さんっ…!」

「千里…!…夢では、ないのか…!?」

「夢なんかじゃない…!あたし…ここにいるよ…!」

「…ああ……!もう二度と、離すものか…!」



…この世界は、あたしを神子としてじゃなく…一人の女の子として存在することを許してくれたの…?



「うおああああ…!よかったでござるぅうあああ!」

「ちょ、旦那うるさ…。…ほーんと、千里ちゃんは無茶するね」

「まったくだ。心配かけやがって…」

「Ha!俺は戻ってくるって信じてたぜ?」

「ハッハッハ!そう言う割には目が赤いぞ独眼竜!」

「馬鹿な真似しやがって!千里よう!」

「二度とするでないぞ…!」

「やれ…よもやわれをおののかせるとは」

「からすめ…!本当にお前はからすだ…!」

「男を泣かすなんて罪作りだよ!」

「千里…!よかった…っ!」

「肝を冷やしたぞ…」


みんなの声が、こんなにすぐ側にある…



「私は、お前との永遠を望む…。千里…」

「…三成、さん……」


ああ、あたし…こんなにも幸せすぎて…



「……ただいま、三成さん…」



今度こそ、ずっと一緒に……



























**********


おかえり。





第三百二十二話

『……なにゆえ、還ることを望まぬのだ』

「それが、覚悟ってものでしょ…?」


相変わらず涙は止まらない。
…でも、それでもあたしは笑っていなきゃ。


「心配、してくれてありがとう白龍。…あ、変なこと考えないでね?もし白龍が何か力を使うことを考えてくれてるなら、その力はこの世界のために使ってよ。ね」

『………神子』

「なに?」

『そなたは…この世界を救うには優しすぎた』

「……」

『時空の歪みは、そなたを元の世界へ帰す最後の道であった。だがそれが断たれた今…』

「やめてよ」

『……!』

「戻ることなんてない。わかってるから。だからもういいの。何も言わないで」


これ以上、この無意味な思いを残していきたくない。
…言っちゃダメなんだよ。
会いたい…なんて……


「言えるわけないじゃないっ…!」

『……』

「っ……」


言わないって、決めてたのに…


『ようやく…そなたの本音が聞けたな』

「……え…」

『…さらばだ、神子。そなたはあまりに優しく、あまりに儚い神子であった。ゆえに、力をその身に宿しておくわけにはいかぬ』


…不意に、白龍の言わんとしていることがわかった気がした…


「まさ、か……」

『そなたはただの人よ。…何の力も持たぬ、ただの娘となるがいい』

「白龍っ…!?」



……落ちていく。
あたしから抜けていく力が、実体のないあたし自身を形成していく…

白龍は…もう必要なくなった神子の力を全て使って、あたしを助けてくれたっていうの…!?


「白龍…!白龍っ!ありがとう…!…みんなを、この世界を…どうか護って…!」



あたしにたくさんの想いをくれた、この世界を…どうか。













**********


これが白龍なりの優しさ。





第三百二十一話

「…あ、れ………?」


…覚悟なんて、嫌というほど決めたはず。
後悔なんてしない。
しちゃいけない…

…なのにどうして、今更涙が止まらないの…!?


「…ああこれ、自業自得なんだ…」


黒と白…それはあたし達が呼び出した龍神。
そして赤い色…みんなが流した血の色。
青はきっと、今この世界を包む…怖いくらい澄んだ空。

たくさんの雨は、そう…涙のことだった…


鶴姫ちゃんの占いは当たってる。
すごいな…ほんと、に……


「…っ……」


こんなつもりじゃなかった…でもそれなら、あたしは一体どういうつもりでこの道を選んだっていうの…?
泣く資格なんてない。
今更後悔なんて許されない。
そんなこと、とっくにわかってる……!



「う、あああ……!千里…っ!」

「馬鹿な真似しやがって…!」

「貴様ほどのからすを、私は見たことがない…!」


でも………!



「千里…!千里っ…!」

「……」

…三成さん……
三成さんの涙はいつも、あたしをえぐるように貫くの…!



「愛していた…!誰よりも、愛している……!」

「………!」



…あたしも……
あたしもだよ、三成さん…

























**********


たった一度だけですよ。
彼がそんなこと言うのは。






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