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世界の切っ先を向けらる犯罪者



今日は何だか博士とクロードが出ですね〜


ある意味世界観固めるチャンスですよw


博士からは災厄やらコンソーシアムやらサウンデステリオンやら色々聞けますし、色々視えます

クロードからは廃墟症やリベリオン、博士について聞けます

貴重かつ有益な情報は消えない様に覚えておかないとなぁ〜……



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廃墟の陰に隠れた欠片

 「アァァァァア"ァァァァッ!!」


 絶叫の様な、聞いた事の無い咆哮をあげる、
見知った筈の知らない存在。

 辺りの建物は既に破壊され、瓦礫が一面に散乱している。

 「グァァァァァァァァ〜!!」

 未だ破壊衝動のままに暴れる彼を止めようと、夢中で学園を飛び出し、誰かより先に見付けたまでは良かった。

 「くっ……なんて力なんだよ……」

 前衛として共に来てくれたエルノアは、コルネスの攻撃に曝され続け、最早立っているだけでも辛そうに見える。

 私は、戦闘覚悟で来た筈なのに、いざコルネスの姿を見て決定的なダメージを与えられずに居る。

 スコープを覗き標準を定めても、トリガーを引く時には足元やその腕に掠めるかどうかの弾道に変わってしまう。

 「うぁっ!?」
「エルノア!!」

 重い1撃を受けた小柄な体がうずくまる。
堪らずに私は駆け寄っていた。

 「エルノア、しっかりして! 今薬を……」
「っ! オリヴィエ、避けろ!!」

 回復薬に気を取られていた時に響く怒号
振り向いた瞬間に鈍い音と衝撃が貫いた。

 「オリヴィエ!! このっ!」

 薬瓶が落ちる音を、自分自身が殴り飛ばされた音が掻き消す。
打撃を受けた箇所が燃える様な痛みを帯びている。

 「ヴァァァアァァァァッ!!」

 「っ、かは……っ、えほっ……」

 痛みで滲む視界が瓦礫に倒れ伏す親友を捉えた。
まるで獣の様な、彼が、咆哮を上げる。


 (私は――……)

 整わない呼吸と、力が入らない身体。

 (私は、また、駄目なの?)

 脳裏からフラッシュバックした光景が意識を奪う。

 崩れ落ちる我が家。 叫び続ける兄。
その奥で変わり果ててしまった父と、冷たい母の手。

 尋常じゃない震えが身体を襲い、両腕で思わず抱き締める。

 聴こえた銃声。 怖くて震える私に触れた、暖かな手。

 (あぁ、そうだ)

 震える膝を叱咤して、立ち上がる。
おぼつかない足取りで前へ進んだ。

 (思い出したよ)

 路頭に迷いそうな私達を暖かく迎えてくれた。
記憶に怯えて泣いた私を、励ましてくれた。

 1歩、また1歩……緩やかな足取りに力が戻る。

 いつも一緒に遊んでくれた。
困った時は話を聞いてくれた。

 確かな前進はいつしか疾走に変わっていた。

 私が襲われた時も、怖くて堪らなかった時もすぐに駆け付けて助けてくれた。

 「オリヴィエ! 駄目っ!!」

 エルノアの声が聞こえた。
でも、止まる訳には行かない。

 (だって、私――……)

 思い出したの。
何時だって支えてくれた、コルネスの眩しい笑顔を。

 「ガァァアァァァァァァ!!」

 私に気付いたコルネスが拳を振り上げる。
妙に落ち着いた目が動きを捉え、姿勢を下げて回避する。

 「っ!!」

 そのまま渾身の力で、私はコルネスにしがみついた。

 「グァァ、ア"ァァ〜!!」

 振りほどこうと暴れ、背中や顔が殴打される。
尋常じゃ無く痛みが襲うが、必死に両腕に力を加える。

 「コルネス!! もう、平気だよ!」

 濁った瞳を見上げて、私は声を上げた。

 「大丈夫だよ、もう、1人じゃ無い!」

 「オリヴィエ、それ以上危ない! 離れて!!」

 遠くで辛うじて上体を上げているエルノアに、私は首を横に振った。
今、離れてしまったら、もう2度とコルネスに会えなくなりそうだったから。

 「コルネス!! 私が居るよ。 私が絶対に傍に居る、だって……」

 激しい暴力の中、何故か私の心だけは穏やかだった。

 「だって、私は、貴方が好きだもの」

 笑顔も、声も、匂いも、ちょっと女の子の気持ちが分からない所も、
優しい所も、真っ直ぐな所も、全部。

 「大好きよ……コルネス……」

 熱を帯びた目を閉じて、厚い胸板に額を寄せた。
悲しくも無いのに、何故か涙が零れる。

 腕が降り下ろされる気配を感じた。
きっと次の攻撃は、耐えきれないと予感している。

 でも、不思議と怖くなかった。

 (ごめんね、エルノア)

 私とコルネスを心配して、無理を通して一緒に来てくれた、一番の親友。

 (ごめんね、お兄ちゃん)

 辛い想いを一杯して、それでも私達を気にしてくれた、優しい私の家族。

 (きっとこれが最後でも、私は絶対後悔なんてしない。
私は、コルネスが好きだから)

 ドクン、と鼓動が跳ねて、私は衝撃を待った。



 「…………オリ、ヴィエ……」

 
 身構えた衝撃の代わりに落とされた声。
それは、紛れも無い、愛しい人の言葉。

 「っ! コルネス!?」

 顔を上げれば、濁った瞳に確かな光が宿る。
困惑と、動揺、そして悲しみを孕んだ瞳が揺れていた。

 「俺……一体……?」

 「コルネス、コルネスなのね……!?」

 歓喜を覚え始める心に反し、コルネスの表情は曇っていく。

 「俺、俺は……なんて事……っ」

 逞しい身体が、震えている。
優しい彼に、自然と口が緩んだ。

 「平気だよ、これくらい」

 「そんな訳無ぇ!
こんなボロボロに……俺が、俺のせいでっ!!」

 堪える様に目を閉ざす、その頬を両手で包み込んだ。

 「!?」

 驚いて見開いた瞳を見据えて、微笑む。

 「もう、平気だよ? 心配したんだからね?」

 「っ……あり、がと……」

 子供みたいに大きな身体いっぱいで私を抱き締める姿は、紛れも無いコルネスのものだった。

 「……ったく。 心配したんだぜ?」

 気が付けば苦笑を浮かべて、痛むだろう脇腹を押さえたエルノアが側に歩いて来ていた。

 「ごめんね、エルノア」

 「いいって、それより早く戻って治療しようぜ?」

 明るく笑う彼女につられて笑顔が溢れた。

 「うん、帰ろう!」

 コルネスの片手を素早く繋いで、エルノアの元に歩き出す。
ぎこちなかったコルネスも、笑顔を浮かべていた。

 私は胸一杯に幸福感を抱えて、もう1人の大切な人の元に急ぐ。


 曇り空の切れ間から、廃墟に光が射し込んでいた――……




 



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