満ち足りた管理の箱庭は、余す事無い幸福の世界
荒れ果てた自由の箱庭は、貪欲な進化と生命の世界
「君は、何を選ぶんだい?」
赤い瞳が静かに訊ねた
選択は収束し、増大する
「俺達は、生きて行くんだ」
「こんな事は、選べない 」
「変えてやる、何もかも!」
「そんな事なんて、どうでも良い」
「もう、そろそろ終ろうか」
人間は言った
「幸福な世界は実現する」
と
跳躍者は言った
「選択こそが唯一の自由ならば」
と
再誕者は言った
「赦された者こそが幸福を約束される」
と
従事者は言った
「人間が生きるには、犠牲が必要だ」
と
赤い瞳は見詰めた
「君達のどれが『正しい』なんて、どうだって良いんだ
ただ『選択』した事実のみが汲み取られるだけで、ね」
分岐の始まりと末端を繋ぐ
永遠と一瞬を結ぶ
自分と何かを紡ぐ
まだ、物語は幕を開けない