せっかくルナミが良い感じに再熱してるし、なんか巷の評判も良いみたいなんで載せてみます。
まぁ、倉庫化したHPにあるのと同じだけど。






★★★★



――だから、オレがいるんだ!――

ニッと笑ったルフィの顔は、どこか幼さが残っていた。

なのに、本当にたくましく思えたのだ。


ドキドキした。



[命を繋ぐ]



 船の上で過ごす「日常」が好き。もちろん宝探しや、冒険もやめられない。…というのも、きっとあいつの影響だ。あんまり危険なのは好ましくないけど。
 今日のグランドラインの気候はめずらしく穏やかで、これは絶好のみかん収穫日和といえた。
風と波がおとなしく船を進めてくれている中、私は一人、ベルメールさんのみかん畑にいた。

 みかんでやまずみになったバスケット。
ふとした拍子にその一個がすべり落ちた。
「あ。」
船の上で勢いよくころがるみかん。腰を落として、慌てておいかける。すると、そうこうしている私の目の前に、いきなり現れた「誰か」。
みかんはそいつの足下で止まった。
私自身、みかんを追いかける事に夢中だったわけだ。急に止まれるわけがない。その「誰か」にぶつかりそうなって、あわてて手をついた。


「何してんだ、ナミ?」

心底不思議そうだといった声が頭上から降ってくる。

ルフィだ。
ルフィはそのみかんを拾うと、私へと差し出した。

「はい!」
「ありがと。みかんもいでたら転げちゃったのよね。」
そう言って受け取り、何事もなかったように振る舞って踵を返せば、
予想通り。ルフィは私にぐいっと手の平を向けると、
「そのみかん、くれよっ!」

満面の笑みで言った。

 正直、そんな風に頼まれるとつい許したくなる。でも、グランドラインの気候ははちゃめちゃだし、みかんなんてかなり貴重な物になってくるのだ。この船の非常食にもなりかねない。
「だーめ。」
「けちくせぇなあ。」
ルフィは唇を尖らせる。
「……。」
あいつのころころ変わる表情を見てると、こんな真っ昼間からだけど、なんだか可愛いと思ってしまう。そんな自分は、もうかなり重傷だ。

思わず誘い出したくなって、
「みかんはあげらんないわ。だけどそのかわり、ちょっと付き合わない?」

ルフィの腕を引いた。

★★★★

 みかん畑の木陰に座る私とルフィ。
たわいのない話で盛り上がっては、時折恥ずかしい程見つめあってキスをする。
そのたび、私はあんたのために生まれて来たんだと思えた。この先、偉大な海賊王になるであろう
この男のために。なぜだか、図々しい感情だとは思わない。
そして育ててくれたベルメールさんはもちろん、顔も名前め知らない両親にさえ感謝をした。
「そう言えば、あんたの両親はどんな人達なの?」
ふと気になって聞いてみる。
この船で仲間の生い立ちを聞く事はタブーな気はしたけど。以前から気にはしていたことだった。
「よくわかんねぇ。」
あっけらかんとルフィは言った。
「私と同じね。」
なんとなく解りきっていた答えだったのかもしれないと、そんな質問をした自分を少しだけ責める。思わずルフィから目をそらしてしまった。

「でもさ、ナミ。」
声にドキリとする。ちょっと力強くて、いつもより引くい声。
私の好きなルフィの声だ。
「オレのじいちゃんも、父ちゃんもみんな、ちゃんとさ…オレがナミを見つけたみたいに、そばに『良い女』がいたんだろーなっ!」
―だからオレがいるんだ!―


 ニッと笑ったルフィの顔は、どこか幼さが残っていた。なのに、本当にたくましく思えたのだ。
ドキドキした。


そうか。
私は、
私とあんたの、
ルフィの…
「命を繋ぐ存在」なんだ。


「それって素敵ね。」
ルフィのその一言は、私のこれからの人生を物語っていた。海よりも深い彼の声と眼差しは、余計に涙を誘うものだった。
ルフィはいつものように「しししっ!」と笑うと、私の腰に腕を回して抱き寄せてきた。
私も反射的にルフィの肩に腕を回す。


「ナミ。」
「ん?」
「すっげぇ好きだ。」
「ふふ、私も。ヤバいくらい好き。」


そう言ってまた、キスをした。








えんど


修正加えましたけど。
私のルナミ観をまとめたような小話。
お粗末様でございました。。。