最近の暑さに早くも負けてしまいそうなさやです。もうあづすぎるわ……(-_-;)
さて。にのの誕生日企画(もどき)として載せていた拍手を載せておきますー。
注)これは事実をもとにした私の勝手な妄想です。ご注意ください。
最初聞いた時、ドッキリだと思った。
ここにある、僕らの場所。
いつもと変わらないある日。急に事務所に呼び出された俺は、お偉いさんから信じられない言葉を聞かされた。
「………通った?あの、オーディションに?」
それは、前に受けたハリウッド映画のオーディションに合格したという知らせだった。
あの有名なクリント・イーストウッドが太平洋戦争の硫黄島の戦いを描く映画を撮影する。アメリカと日本の両方の視点からそれぞれ作るらしく、その日本側の映画に起用する日本人俳優のオーディションが行われる。
事務所からこのオーディションを持ちかけられた時、1つのチャンスかなと思った。それはせっかくの機会、挑戦してみることに意味がある気がした。それにさ、有名なクリント・イーストウッドに会えるかもしれないし、なんて。(まぁ実際にはオーディションに監督はいなくて、ビデオカメラが1台あっただけなんだけど。)
だから、だからまさか。こんな俺が合格するなんて、思ってもなかったんですよ。
「………それ、本当ですか?」
「本当だよ!やったな二宮!しかも監督さんは、お前の演技を見て当初とは違う役を当てたいんだそうだ。」
「……。」
「お前の演技がハリウッドに認められたんだよ!二度とないチャンスだ、精一杯、頑張ってこい。」
俺が、ハリウッド、ハリウッド……?ハリウッド!?ハリウッドってあのハリウッドだよな。嘘みたいだ、信じられない。
全然実感はわかなかった。だけど、どうしようもなく嬉しい。柄にもなく自然と笑顔がこぼれて、自分でも興奮しているのがわかった。今にも飛び上がりたいくらい(笑)
テンションが上がったまま俺は、次の仕事のために車に乗りこんだ。
運転席のマネージャーが興奮した声で俺に話しかけてくる。
「いや〜信じられないよ、やったなニノ!」
「ね、俺も信じらんない!」
「なぁ〜嬉しいわぁ。早くみんなにも知らせなきゃな。」
"あ……。"
彼のその言葉を聞いて、俺の興奮していた頭は急速に冷静さを取り戻していった。
撮影はアメリカで2か月弱。ずっとあっちに行きっぱなし。日本に帰ってくることはできない。
つまりそれは、日本での嵐の活動が全くできなくなるということを意味していた。
それなのに、みんなは喜んでくれるんだろうか。だって、ずっと日本にいないんだ。レギュラーどうするんだよって思うんじゃないか。
俺が嵐に、みんなに、迷惑をかけてしまう……?
「……ニノ?どした?」
「ん?何でもないよ。」
そう答えながらも、俺の頭の中はさっきのことでぐるぐると回っていた。
結局俺はその日、5人での仕事だったのにメンバーにハリウッドのことを伝えることができなかった。
本当はこの喜びを一番に伝えたい。
でも、「メンバーに迷惑をかけるんじゃないか。」その言葉が浮かんできて、胸を苦しめた。こんなの、初めてだった。
ハリウッド行きを伝えられてから数日たった。
あれから個人仕事が忙しく、メンバーに会ってはいなかった。
今日は久しぶりの5人仕事。
仕事へ向かう車の中。運転席のマネージャーが口を開いた。
「ニノ、ごめん。」
「え?」
「俺、ニノがてっきりもうみんなに伝えたと思って…翔くんに喋っちゃったんだよ、ハリウッド行きのこと。」
「あぁ…。」
「ごめんな、みんなには自分から伝えたかったよな…本当にごめん。」
「んーん、大丈夫だよ。全然気にしないから(笑)」
「…でも、なんでまだ伝えてなかったの?ちょっと驚いた。」
「ギリギリまでもったいぶらせてさ、驚かそうと思って。あーあ、作戦失敗だなぁ〜(笑)」
あえて冗談っぽく言ってみたけど、本当は違う。ただ、反応が怖くて言えなかった、それだけ。本当は電話でもメールでも、伝えられたはず。なのに伝えられなかったのは……。
それを聞いた時の彼の反応を聞こうとしてやめた。今から会うんだ。自分で直接聞いた方がいい。
きっと翔ちゃんから聞いて、みんな知ってるはず。どうしよう、何て言えばいい?どんな顔してればいい?わかんない。
心に不安を抱えたまま、俺は現場に到着した。
「………、よし。」
覚悟を決めた俺は、車を降り深呼吸をしてから、楽屋へと向かった。
「おはようございまーす。」
楽屋の中にいたのは相葉ちゃんと潤くん、そしてキャプテン。
「ニノおはよーっ!!ね、聞いたよ聞いたよ!ハリウッド行くって!ね、本当?本当なの!?」
「…うん。」
「やっぱりマジなんだーっ!ね、ね、みんなマジだって!いや、やっぱり本人に直接確かめないとーって思って!やったね!やったねニノー!おめでとう!すっげーじゃんっ、ハリウッドだよ!?やっべー、俺超嬉しい!」
楽屋に入るとすぐ俺に突進してきた相葉ちゃん。彼は満面の笑顔で一人で喋りまくりながら、俺にがばっと抱きついてきた。
バカみたく興奮しているのがわかりやすく伝わってきて。
「マジ?マジなんだ?やっべーすごい!ニノやったじゃん!おめでとう!」
朝はいつもテンションの低い潤くんが、興奮した様子で俺の肩を思いきりポンポン叩いてくる。それはもう、キラキラしたまぶしいほど明るい笑顔。
「ニノ〜やったね、おめでとう!もう、何て言ったらいいかわかんないくらいおめでとうだよ〜。」
ふにゃっとした笑顔で俺のそばに寄ってきたキャプテン。それはいつも以上にあったかくて優しくて。
「おはようー。」
「あ、翔ちゃんおはよっ!ねーやっぱり本当だってハリウッド!ニノハリウッドだって!」
入ってきたのは、この中で一番最初にこの話を聞いたんであろう翔ちゃんだった。
「マジ?ニノ本当に本当?昨日聞いたんだけどさぁ。」
「……うん、ほんと。」
「マジ!?マジなの!?やっべーすげー!マジでガチですげー!!ニノやったな!!すっげーじゃん、おめでとう!」
「うん、ありがと。」
「もうさぁ、昨日聞いた時ほんとびっくりしてさぁ、こんなすごいこと何ですぐ俺らに教えてくれなかったんだよー水くさいなぁ。」
「……うん、ごめん。」
翔ちゃんは豪快に笑いながら、俺の肩をバシバシ叩いてきた(明らかにさっきの潤くんの時より強い…)それから、翔ちゃんの興奮の大きさが伝わってきた。
胸がじんわり熱くなった。……そうだ、みんなはこういうやつらだった。
みんなの言葉が、気持ちが、俺の中でくすぶっていた不安や迷いを溶かしていった。何よりも嬉しかったんだ、みんながこのことを手放しで喜んでくれていることが。まるで自分のことみたいに興奮していることが。
本当に、泣きたくなるほど、嬉しくて幸せだった。
「よく考えたらさぁ、嵐からハリウッドスターの誕生だねっ!すごくない?すごくないっ!?」
「よく考えなくてもわかるだろ、相葉ちゃん(笑)でも本当すげーよな、信じらんないわ。」
「ね、ほんとおめでたいねぇ。」
「智くん言い方がおじいちゃんだよ(笑)」
俺って本当に幸せもんだよね。こんなにも自分のことで喜んでくれる仲間がいるんだもの。
「ね、ね、ニノが行く前にさ、みんなで送別会やろーよっ!」
「相葉ちゃん焼き肉食いたいだけなんじゃねーの?(笑)」
「違うよー!ヒドいな松潤!俺はニノの応援のためにみんなで集まって焼き肉したいんだよ!」
「結局焼き肉なんだ(笑)でも久しぶりにいいかもな。みんなでパーッとやろっか!」
俺を抜きにして、いつの間にか話はぽんぽん進んでいた。…俺らって焼き肉が定番だよな、基本的に(笑)
「ね、ニノは焼き肉でいい?」
「そうだよ、主役はニノなんだから。」
「うん、別にいいよ。」
「やったー!いつにする?みんないつ空いてる?」
「相葉ちゃん大はりきりだな(笑)えーっと……」
それから数日後、嵐5人で俺の送別会が行われた。俺はその時初めて、みんなにハリウッド映画の撮影に行くことを自分の口から伝えることができた。
みんなは本当に喜んでくれて、日本のことは心配しなくて大丈夫だから、と背中を押してくれた。その言葉は、本当に心強くって。
それから俺たちは、いつの間にかいろんなことを語り合っていた。これからのこと、将来のこと、嵐のこと。話は面白いくらい尽きなくて。そしてすごく深い話だった。
その空間にいて、
改めて思ったんだ。
俺、嵐で本当によかったって。なんか相葉ちゃんみたいだけどさ。
俺の背中をみんなが無条件に押してくれるから。そして、待っていてくれてるから。いつもと変わらない、俺の居場所がここにあるから。
だから俺、胸張って行ってくるよ。まだ不安も緊張もあるけどさ、いろんなこと吸収しながら、精一杯がんばってくる。嵐の二宮和也として。
ねぇ、みんな。ありがと。
そういえば、送別会の時リーダーが餞別をくれたんですよ。あれも忘れられないね(笑)そしてリーダーのふにゃっとした笑顔とあの言葉もね。
「ニノ。応援してるからね。気をつけていってらっしゃい。」
→あとがき?