大きな猫のおなかの中で
溶け合ってグチャグチャになって
ひとつになりたい

僕は汚物で
君も汚物で
汚くて
臭くて
肥やしにもならなくて

生きてる意味なんてなくて
死ぬ意味もまったくなくて
なんのために、とか、
考えるのさえ馬鹿みたい

だから
猫に食べられちゃって
胃の中で血まみれの君が泣いていて
溶ける皮膚を眺めながら
生きようとしてる姿が面白いよ

生きなくていいよ
がんばらなくていいよ
泣かなくていいよ
でも
生きてもいいし
がんばってもいいし
泣いてもいいんだよ

全部どうだっていいんだよ

僕らは生きてる意味なんてない
死ぬ必要もない
がんばってもがんばらなくても
泣いても泣かなくても
全部どうだっていいんだよ

でもね
僕はそんな君が好きだから
生きてる意味のない僕は
生きてる意味のない君が好きだから

だから

大きな猫の口に飛び込んだ

ねえ
大きな猫のおなかの中で
溶け合ってグチャグチャになって
ひとつになろう

君は汚物
僕も汚物
汚い
臭い
栄養もない

それでも君が好き
君が僕を好きでなくても
僕はどうしようもなく
君が好き

生きなくてもいい僕らの
僕ららしい最期じゃないか
納得してもしなくてもいいよ
ぜんぶ僕の独りよがりだから

ただただ泣く君の
血まみれの手をとって
そっと引き寄せ抱きしめた

どうしようもない僕の
独りよがりな最期の話

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話題:詩