倉庫一掃大処分セール。
意外とちゃんと書いてるものは少なかった。
一応下記事の小説の続き。
10題をこのシリーズでやろうと目論んでいるが、果たして……?
彼氏の一人や二人くらい、とのたまった彼女は、だけれど結構な人見知りであることを俺は知っている。
そして好きになったところで、簡単にアプローチできない性格であることも、あいつと彼女の関係を見て知っている。
よって、彼氏の二人どころか一人も作れるかどうか怪しい。
「…我ながら素晴らしい論理展開」
「は?」
「いや、なんでも」
怪訝そうに俺を見つめた彼女は、視線を皿に戻すと「だからね、」と話を続けた。
「どっかにいい男転がってないかな〜」
「…え? 何ホームレスが良いの?」
「違うわよ! そういう意味じゃなくて!」
「俺はどんなに美人でも、道端で前転するような人は嫌だな」
「あたしもだよ…」
なんでそう揚げ足を取りたがるかな、とブツブツ呟く彼女。
俺はテーブルから身を乗り出して、肩をポンポンと叩いてやった。
「ま、そう落ち込むなって。男なんて星の数ほどいるんだし」
「女も星の数ほどいるけどね…って、だから何であたしが振られたみたいになってんのよ!」
「わかった、わかった。振られてない、振られてない」
「…絶対そう思ってない」
しまった。やりすぎたか。
空になった焼き鳥の串で皿を叩きながら、彼女は目を合わせてくれない。
「ごめん。調子に乗りすぎた」
素直に謝ると、彼女がちらっと目を向ける。
「あいつに彼女が出来たってのが嬉しくて」
「……友情に篤いんデスネー」
「いい男だろ?」
「…ソーデスネー」
覇気の無い声で答えたあと、彼女は何かに気付いたようにはっと顔をあげた。
「え?」
「ん?」
「……ううん。何でもない」
彼女は軽く首を振ると、また目をそらして氷がほとんど溶けたウーロン茶をストローでぐるぐるかき混ぜた。
多分頭の中では自意識過剰だ、とか、いやでもまさか、とかでぐるぐるしてるんだろう。
意識しちゃってください。
さすがに「いい男なら目の前にいるだろ?」とは恥ずかしくて言えなかったからさ。
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青い恋をしている10題
by確かに恋だった