話題:今日見た夢




骨格標本のようなものに好かれてしまった。
大きさは幼児くらいだったが大人がそのまま子供サイズになったようなパーツのバランスで、関節の一つ一つが作り込まれていているそれは血肉もないのにカシャカシャと動き回り、たまたま側を通り掛かった私の後を着いて来るようになった。

骸骨は見ている分には好きだが、動き回り追い掛けてくるような骨格標本は流石に気味が悪いので猛ダッシュで逃げる。
走る事は出来ないのか或いは身体の大きさに差があるからか、みるみる内に距離は開き、互いに姿が見えなくなる頃には遥か後方から子供が泣くような声が聞こえた。

無事に家に着くと念の為、ドアに鍵を掛け自分の部屋に閉じ籠った。取り敢えず、今日をやり過ごせば何とかなる筈だ。
そう自分に云い聞かせ、息を殺していると家のドアがノックされた。

一瞬にして全身に寒気が走る。

まさか、もう追い付いたのだろうか?
それ以前に何故私の家が分かったのだろうか?

身体の震えを抑え、部屋の隅で固まっていると『開けて、開けて』と何処かで聞いた子供の声がし、ドアを叩く音が更に大きくなった。


トントントントン

ドンドンドンドン

ガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガン



最初はただのノック音だったのが、無視をすればするほど大きく乱暴になっていき、こちらへ呼び掛ける声は子供の声から男の声へと次第に変わっていった。



ガンッ!



それが延々と続いて暫くすると一際大きな音が聞こえ、それきりドアが叩かれる事は無かった。



長い静寂に安堵し、顔を上げるといつの間にか日が明けていたらしく、閉め切っていたカーテンの僅かな隙間から黄金色の光が射し込んでいた。
外からは通行人が行き交う音や車のエンジン音がし、何とか乗り切れたと確信した私は家のドアを開けた。

あれほど叩かれていたドアには傷一つ無い。
その代わり、玄関周りには無数の白い破片が散らばっていた。