話題:今日見た夢


古代文明滅亡ツアーなるものに参加した。

バス型のタイムマシンに乗り込んでガイドからツアーの説明を聞く。
バスの窓からは外の様子が伺えず、車内は薄暗い。

ツアーの説明は簡単なものでバスから降りる事は出来ない、写真ビデオ等の撮影は不可…これだけを守って楽しんでください。
また滅亡前の人々の生活を観察する為にバス(空を走る機能があり、この時代の人には見えないのだとか)で街を回りますとの事。

説明が終わると車内が明るくなり、どうやら目的地に着いたようだ。
何処かの山の上空に居るらしく、青々とした木々が視界を埋めている。
その中に今回滅亡する文明があった。
山を切り開き、階段状に削った土地には幾つも建物が建っており街が出来ていた。
そして上空からでは見辛いが沢山の人が居るようだ。
バスは下降すると街の上空をゆっくりと走る。
街の頂上付近にある神殿のような石造りの建物が印象的だった。
其処から下った場所では子供達が犬と戯れていたり、商売をしている商人が居た。親子が手を繋いで歩く姿や楽しそうに談笑する女性達の姿が見られた。

平和でごく当たり前の日常。
私達はそれをただ眺めていた。
彼等は知らない。
それが無くなるのを。

突然、バスのスピーカーからブザー音が響いた。
同時にバスが急上昇し、ガイドが淡々と説明を始める。

『今から一分後にこの文明は滅亡します。窓を開けている方は窓を閉め、シートベルトを装着の上、席を移動しないでくださいませ』

愈々ツアーのメインイベントか…。

周りからは楽しそうな談笑が聞こえる。

『それでは10秒前です。強い衝撃に備えてください』

車内ではカウントダウンが始まる。

『10・9・8・7・6・5・4・3・2・1・0!!』




カウントダウンが終わった瞬間、青々とした景色に光の筋が走り、そして窓の外が白く輝いた。
その光は強烈で思わず目を閉じたが瞼の薄い蓋では防ぎきれず、透き通った血管で視界が赤くなる。
激しい衝撃音が響き、車体が激しく揺れた。

暫くして光と揺れがおさまったので窓の外を見た。
強い光を見たからか視界がチカチカしたが、薙ぎ倒された木々や抉れた山肌を確認出来た。
街は跡形もなく瓦礫の山と化している。街の頂上付近にあった神殿は何とか原型を留めていたが斜面が大幅に削られていたので崩壊は免れないだろう。
神殿以外に其処に文明があったという痕跡は残っていなかった。

『こうして〇〇文明は滅亡しました。尚、タイムマシンが完成した現在においても滅亡した原因はハッキリと分かっておらず、隕石の衝突による滅亡説が今のところ有力ではありますが一部では“古代核戦争説”や“異星人による襲撃説”もあるそうです。それでは今回の古代文明滅亡ツアーを終了とさせていただきます。バスはこれより2014年に向けて出発します』

車内が薄暗くなり、窓の外が見えなくなった。






時々、夢の話を友達とすると、やたらハッキリと覚えている事があって『それ夢じゃなくて異世界に行ってるんじゃないの?』と云われたりする。
成る程、確かに眠りの世界は別な世界へ繋がっているのかも知れない。