姑獲鳥の夏や魍魎の匣等でお馴染みの京極夏彦が、絵本まで書いてたと聞いてちょっと驚いた
彼の小説を読んだ事がある人なら分かると思うが、彼の作品はどれも分厚く内容も難しい
果たして子供に彼の世界観が伝わるのだろうかと、興味本意でどんな絵本を書いているのか調べてみた
すると2012年に『いるの いないの』でデビューしており、更に2013年に『うぶめ』『つくもがみ』を刊行しているらしい
因みに今年、2014年にも『あずきあらい』『とうふこぞう』を刊行する予定らしい(2013年の記事を参考にしている為、既に刊行されている可能性有り)
うーん…思ったより刊行しているんだな
時々、某掲示板のスレッドで怖い絵本、不気味な絵本の書き込みを見掛ける所為か少し絵本に興味があるので、ちょっと読んでみたいかも知れない
京極夏彦の作品も好きだしね
ところで彼のデビュー作の『いるの いないの』が様々なブログで一部紹介されていたのでネタバレ覚悟で見てみたが、物語と絵が相俟って独特の雰囲気があって惹かれるものがあった
てかオチが怖すぎる…
その内、機会があったらちゃんと読んでみようと思う
2014-3-16 14:33
ボロボロで平屋の集合住宅的な物件に一時的に引っ越した。
古い建物だったが、近所に暮らしている人達は優しく親切で住み心地は良好。
ただ、隣人が無愛想と云うか不気味だった。
ある日、自分の部屋で寛いでいると何かの気配を感じた。
何と無く窓に目をやると、磨りガラス越しに覗く何者かの姿。
白く平面的な顔立ちに、バサバサとだらしなく伸びきった髪の毛…
隣人だ!
咄嗟に窓を開けると目の前には誰も居らず、ガサガサと走り去る音が聞こえるだけだった。
あまりにも気味が悪く、夕食の準備をしている親に云うと心配していたが、多分大丈夫でしょと台所から追い出された。
それから暫くして親の悲鳴が響いた。
慌てて台所に駆け込むと親が窓を凝視している。
その視線の先には磨りガラス越しにへばりついたように覗く隣人の姿が。
無意識に怒声を上げる。
三畳ほどの狭い台所に声が響いて、窓がビリビリと震えた。
それに驚いたのか、隣人はまた逃げていったが、一言云ってやろうと家を出ようとした。
だが、親に止められた。
本当に隣人なのか分からないからと。 確かに冷静に考えればそうかも知れないが、何故か私の中では絶対に隣人だと確信していた。
取り敢えず一旦落ち着くと茶の間に移動し、モヤモヤした気分のままだったがテレビを見る事にした。
夜になり、帰ってきた妹を交え夕食を食べていた。
隣人は今のところ来ていない。
その席で三人で隣人について話し合う。
私は今日知ったのだが、実は引っ越してすぐから同じような事が続いており、妹もそれを知っていた。
ただ私に云うと、激昂した私が何をするか分からないと黙っていたらしい。
親はあと一ヶ月も居ないんだし、もう少しの我慢だから放っておこうと云った。
馬鹿じゃないの!?
思わず声を荒げると親も妹も黙ったまま顔を伏せた。
正直関わりたくは無いのだろう…二人の気持ちは分かっているが、やはり気持ち悪く我慢ならなかった。
それに今はまだ覗いているだけだが、今後どうなるかは分からない。
何かがあってからじゃ遅いのだ。
なら、次に何かあったら隣人と話をつけるか警察を呼ぶ事にしようと話をまとめると話はそれで終わりにした。
夕飯を食べ、茶の間に集まったままそれぞれ過ごしていると玄関の方からカリカリと音がしているのに気付いた。
因みに茶の間と玄関は障子を隔ててすぐ隣にある為、音が響きやすい。
何だろう…玄関へ続く障子をそっと少しだけ開けるとその先を伺う。
心臓が止まりそうになった。
ささくれ立った木枠に磨りガラスを嵌め込んだだけの脆弱な戸の外側に何かが居る。
白く細い身体、平面的な顔とだらしなく伸びきった髪の毛…隣人だ。
そいつが戸をガリガリと引っ掻いていた。
あいつが来てる。
外に居る隣人に聞こえないように親と妹に告げると、二人の顔がみるみる間に引き攣った。
そこで私は二人に、取り敢えず隣人を捕まえるから警察に通報して欲しいと頼むと、親が止めるのも聞かずに茶の間を出、勢いよく玄関の戸を開けた。
ほんの目と鼻の先に隣人が居る。
生気の感じられない白い顔。
同じく生気の感じられない濁った目玉が、長い髪の隙間からキョロキョロと動いているのが見える。
そいつは小さく、ひぃっと声を上げると見た目に似合わない足の速さで逃げ出した。
そのあとを追い掛ける。
戻ってきな!!
親の声が聞こえるが、無視して隣人を追っ
た。
捕まえなければ…何故こんな事をするのか聞かなければ!
自分の家に逃げ込んだ隣人の玄関の戸を叩くと、何が目的なのかを一気に捲し立てながら叫んだ。
端から見たら私は狂って見えるかも知れないが、気にはしない。
暫く隣人の家の前で叫んでいると、何のリアクションも無いからか突然頭の中が冷めてしまった。
もう良い…あとは警察に任せよう…そんな事を考えながら家に戻ろうと身体の向きを変える。
『あっ』
目の前に、自分の家へ逃げ込んだ筈の隣人が居た。
彼女は生気の感じられない顔は引き攣ったような、貼り付いた笑みを浮かべると、身体をふらふらと揺らしながらこちらへ迫ってくる。
月明かりに照らされた包丁を携えて。
2014-3-16 13:38
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