ほんとは明日、11月23日(いいにーさんの日)に上げようと思ってたんだけど、Mささんが「22日はいい夫婦の日」と呟いてくださったので急きょ前倒しです。だから明日は更新ないよ!
[1]の数年後のお話だけど、テーマが同じなので通し番号つけてみました。[1]はかなこちゃんの成人式の写真撮影でしたが、[2]は…?
よろしければ追記からどうぞです。
※原作とは一切関係ない妄想文です。
※暴君本編から数年後のお話です。
ログイン |
高永ひなこ先生作「恋する暴君」の感想ブログです。
ほんとは明日、11月23日(いいにーさんの日)に上げようと思ってたんだけど、Mささんが「22日はいい夫婦の日」と呟いてくださったので急きょ前倒しです。だから明日は更新ないよ!
[1]の数年後のお話だけど、テーマが同じなので通し番号つけてみました。[1]はかなこちゃんの成人式の写真撮影でしたが、[2]は…?
よろしければ追記からどうぞです。
※原作とは一切関係ない妄想文です。
※暴君本編から数年後のお話です。
【famiries photograph -2-】
かなこの結婚が決まった。
数年前の宣言通り、巽家への婿入りを前提として交際をしていた相手との結婚。その有言実行ぶりは、父親の宗仁も舌を巻くほどだった。
「はあ……まさか本当にしちゃうとはね」
挙式を数日後に控えて、宗仁も帰国していた。巴や黒川もまもなくやってくるだろう。
「不満なの?かなこが家を継ぐの」
「違うよかなちゃん。すごい人になったな、って感心してるんだよ」
「まあね~♪」
式場での打ち合わせを終えて、婚約者が仕事に戻ったあと、かなこは宗仁とカフェでコーヒーを飲んでいた。
「最初はね、兄さん達のことを考えてそうしなきゃって思ってたんだけど。今はわたし自身が家を継ぎたいなって思ってるんだ。大好きなおうちだもん、守りたいなって」
「そっか」
娘の固い決意に、宗仁は微笑んで答えるのみだ。
「兄さん達も自分で幸せだと思える道を選んだんだし、かなこだってそうしていいよね」
言葉だけを聞くと厳しい台詞だが、気負いのない表情にほっとしながら、宗仁はコーヒーを口に運ぶ。
「あ、あとね、これは内緒なんだけどね……」
「まだ何かあるのかい?」
「うん、実は宗一兄さんがね……」
誰も聞いていないのに内緒話というとつい声が低くなる。顔を寄せて密談する父娘であった。
「先輩、お待たせしました!」
傍目からみても浮かれきっている森永が、何かキラキラしたものを振りまきながらやってきた。仕事帰りに呼び出しただけでこの有り様だ。
「先輩から『19時に待ち合わせ』なんてメールが来るから俺びっくりしましたよ!どうしたんですか?もうすっごい嬉しくて嬉しくて、仕事なんか手につきませんでした!」
満面の笑みを浮かべる同居人を、呆れたような表情で眺める。
「はあ……お前、ちょっと離れて歩け」
「ええっなんでですかあ!デートでしょっ?」
「はあ?違うっつーの!いいから、黙ってついてこい」
「はあい……」
少し離れて歩き始めたが、やがていつものように隣に並んで宗一を見ると、ちらりと視線を寄越しただけで何も言わずに歩き続ける。
それに満足して、森永は今日一日あったことをとりとめなく話し始めた。同僚のペットの話に相槌を打っていると、目的の場所が見えてきて宗一は足を止める。
「ここだ」
「ん?ここってかなこちゃんが式を挙げるとこじゃなかったですか?」
由緒正しいホテルの、小さな教会。結婚式用に建てられたものだが、歴史を感じさせる建物だ。平日の夜の静かな佇まい、窓の明かりも慎ましい。
宗一は何も言わず、扉を開けて入っていく。
「ちょ、ちょっと先輩いいんですか?」
黙って歩を進める宗一を止めようとして、森永は祭壇の前に神父がいることに気付いた。外国人の神父を雇っているらしい。
「Good evening, Mr.Tatsumi」
「Good evening. I'm sorry late time」
「Don't mind ! Please come」
にこやかに、神父が宗一と言葉を交わす。宗一が神父にメモを手渡すのを見ながら、森永は事態が飲み込めずにいた。
「先輩?」
「こっちこい」
「……はい」
「Hallo, Mr.Morinaga?」
「...Hallo」
神父は森永にもにっこりと微笑んだ。名前は宗一から伝えられたものだろうか。温かい眼差しが祭壇の前に並んで立つ二人を見つめる。
「お前、英語大丈夫だよな?」
「へ?まあ、それなりには……?」
森永が宗一の質問に疑問符をつけながら答えると、宗一は神父に向かって頷いた。
「(これから、巽宗一と森永哲博の家族の宣誓式を執り行います)」
「……!」
森永の目が見開かれた。誓いを立てると言う、教会の祭壇の前で。森永の回転のいい頭は一瞬動きを止める。信じられないことが起ころうとしていた。
かなこの結婚が決まったと、宗一が妹から聞いたのは何ヶ月前だったろうか。長いこと付き合っている人がいる、というのは知っていたから、素直に祝福を口にした。
森永も、義理の妹のような存在のかなこが幸せになると知って喜んだ。
「はあ、そっかあ、かなこちゃんがついに……。で、彼はやっぱり巽家に入るんですって?」
「そうらしい。親父が許しちまってるしな。相手方がいいなら、別に構わんだろう」
「じゃあ、巽家に新しい家族が増えるんですね。……いいな」
「?」
「そのうち子供産まれたりして。先輩伯父ばかになりそう♪」
「森永……」
口調も言葉も明るいのに、どこか寂しそうな目をする森永が、宗一は前から気になっていた。家族の話をする時に、少しだけ目を伏せることが多い気がする。
前よりは福岡の実家ともやりとりをするようになってきているが、長いことこじらせたままの関係はなかなか元に戻らないようで、円満解決には至っていない。
「?どうしました?」
「いや……」
実質的には巽家の一員として認識されているし、誰も気になどしていないのに、森永は部外者意識がどこか抜けきらないらしい。
それが宗一は気に入らなかった。森永の心の奥にはいつまでも過去に受けた傷が残っていて、どうすれば癒してやれるのか、宗一には分からない。
長いこと一緒にいて、時々抱き締めてやっても、その傷には届かないのかといつももどかしい想いを抱えていた。
少しでも森永の暗闇が晴れるように。せめて、月明かりだけでも灯してやれたら。
そう思って、宣誓の言葉をしたためた。どうしても日本語で書けなくて、英語になってしまったが。
「Do you promise?」
「Yes, I do」
宗一が、淡々と宣誓をした。
神父が森永の方を向き、同じ宣誓の言葉を問い掛ける間、前を見据える宗一の横顔を見つめていた。
やがて、その横顔がぼやけ始める。涙が後から後から溢れて止まらない。現実感が薄まって、足下がふわふわとしているようだった。
「Mr.Morinaga?」
問われて、やっと我に返る。
「あっ、はっ、はいっ、あ、I do!」
ぶっ、と噴き出すような笑い声が横から聞こえて、森永は涙に濡れた目をしばたたいた。
「はは、すげえ顔になってんぞ、お前」
「だ、だって、先輩が、こんないきなりっ……」
こんなサプライズをした上に、笑顔まで見せてくれるなんて、と顔を歪めた森永は言葉に詰まる。
「お、俺もしかして死ぬのかなあ?ぐすっ」
「バカ言ってんじゃねえ」
バシッと頭をはたかれて、森永は涙を拭う。このまま死んでもきっと後悔しないだろうと思ったのは本気だった。
「冗談でもそういうこと言うなよ!ったく、お前はなんも分かってねえ」
「ご、ごめんなさい」
まあまあ、と神父が間に入って、二人はまた前を向いた。
「You make a vow in front of a family formally. Is long from now on not to be different in this vow; in happiness」
森永が神父の言葉に再度感激をかみしめていると、宗一が聞きとがめて眉を寄せた。
「……ん?家族の前で……?」
すると、背後から複数の拍手がと声が聞こえてきた。
「おめでとう、兄さん、森永さん!」
「おめでとう、宗くん!」
「かっかなこ!?親父まで!」
「あ、巴くんと黒川さんも……お帰りなさい」
いつの間にか教会のベンチに座っていた巽家の面々が、祝福の拍手を贈る。かなこの隣にはまだ居心地悪そうな婚約者の姿もあった。
「えへへ、神父さんに教えてもらっちゃった!」
「な、なんで……!」
さっきまで淡々としていた宗一が、あっという間に真っ赤になって、神父に抗議の視線を向ける。
「(せっかくの機会ですから、お教えしました。いけませんでしたか?)」
「……っ」
神父に口止めしていなかった自分を悔やみながら、宗一は唇を噛んだ。
「あ、あのっ!俺、すっっっっごく嬉しかったですよ、先輩!」
森永は宗一の手をぎゅっと握り、涙ながらに微笑んだ。
「ありがとう、大好きです」
何度伝えても伝えきれない。でも言わずにはいられない言葉だ。
「……おう」
俯いた宗一も、小さく応えた。
少しでも心が晴れただろうかと、ちらりとその顔を伺い見ると、曇りのない笑顔が広がっていた。
宗一はひどく満足して、森永の手を振り払う。
「もう行くぞ!」
「えー、先輩キスとかないんですか!」
「するかバカ!」
「せっかくの結婚式なのに……!」
「けっ……けっこ……そんなつもりじゃねえ!」
「えーっ」
逃げるように祭壇を降りる宗一を追い掛けようとして、森永は神父に呼び止められた。
そっと白いレポート用紙を手渡し、「Congraturation」と小声で呟いて、神父は下がっていった。
レポート用紙には宣誓の言葉が宗一の文字で書かれてあった。口にはできない宗一の想いが込められているようで、また涙がにじんできた。
そっと、スーツの内ポケットにしまう。
後で二人でサインをして、宣誓書の代わりにしよう。
森永の胸元に、小さな誓いの火が灯った。
「せっかくだから写真撮ろうよ!」
かなこがデジカメを取り出す。婚約者にそれをぽいっと渡すと、 かなこは巴と黒川の腕を取って祭壇に向かう。
「宗一にーさんと森永さんは真ん中ね」
「いいよ、写真なんか……」
「記念なんだから、いいじゃない」
「せんぱい、俺も写真欲しいです!」
「はいはい、並んで〜」
「撮りますよー」
はい、チーズ!
end.
------------------------
ご結婚おめでとうございます!!!!!
そして兄さんが全力で否定!
誓約の言葉は、いろいろ調べたけどどれも兄さんが考えそうにない文章ばかりだったので伏せました。へたれ。英語得意な方、兄さんが書きそうな誓約文をこっそり教えてください。
ちょっと痒いくらいのホームドラマ二本立ていかがだったでしょうか……。
仕上げの時にBGMにHOWARD JONESを選んでしまったら、相乗効果で甘さアップで砂吐きましたざらざらざら
だって来年来日してくれるっていうし!ビルボードトウキョウ!
ちなみにコレ↓
HOWARD JONES [Angels&Lovers]アルバムタイトルが既にアレ。'97の作品だったぜ…。上京前に買ったのか。
M-10のNothing to fearとか暴君的にちょー砂吐きソング(笑)なんで選んだ、俺。
その前まではBUCK-TICK聴いてたんだけどな!ゴスなやつ!
恥ずかしくなってきたので撤収!
性 別 | 女性 |
誕生日 | 12月14日 |
地 域 | 東京都 |
職 業 | その他 |
血液型 | A型 |
しっかり拝見させていただいております(*^_^*)ステキなSSありがとうございました〜2編ともホコホコ、ホッとになりました^^幸せ〜ちょっとウルウルきちゃったです(;▽;)この間のグッドタイミングな森永くんが切なかっただけに、こんな風に年月を重ね二人が家族として幸せになってくれるといいですね〜
えろなんかいらないっすよ!これだけ素晴らしいお話しならばっ!かなこちゃんも大人になって…(ノд;)マタモライナキ…
カナダで結婚とかは、正直、兄さんには無理だな〜と思ってました。が、こんな未来ならありですよね!(´∀`)b てかヘタに結婚式とかするよりこっちのが素敵
またしつこく読みに来ます!
もぅ、素敵、素敵〜!
涙が滲んで来ちゃいました!
兄さんからの…はやっぱり破壊力が違います!
何かね込み上げて来ますね!本当に…(;。;)
良かった…良かったね、森永君…
脳内で素敵な映像が再生されました…。
syuyuさん素敵なお話ありがとうございました〜♪
また、syuyuさんに泣かされました〜!
良かったね〜!森永君!
兄さんはなんて格好良いの!
私も兄さんはずっと気にかかっているだろうなって
思っていたのです。
こんな未来が良い。
皆に祝福されて。
幸せで温かくなりました。
2本とも素晴らしかったです!
素敵なお話をありがとうございました♪
わたしは、兄さんが乙女思考って考えられなかったので、二人の結婚ってナイと思ってたんですが、これならアリですね!!
兄さんが兄さんらしくて男らしくてそのままで、
森永君に家族の絆をっていう動機が素晴らしいです!!
はた目から見ても浮かれきって登場の森永君、残念ぽくてかわいいです。
何年たっても待ち合わせてデートしないっていうのもいいですね〜。
誓いの言葉のところで、森永君が涙ぐんで、バカ言ってんじゃねぇでバシッ。
「キスとかないんですか!」「するかバカ!」
もうもう、ステキに暴君です。
すっごく素敵なお話でした。
syuyuさん、大好き(*^_^*)。
ありがとうございました。
家族写真、とっても素適でした。心がほっこり温かくなります。
にいさんはかなこちゃんの成人式写真の日まで研究に没頭ってありえそうですよね!思わずニヤリとしてしまいました。
兄さんは自分が結婚という発想はないでしょうけれど、家族に恵まれなかった森永くんを家族の一員扱いはもうすでにしていそうですよね。
そのままなんとなく家族扱いで終わるかと思えば、宣誓して家族に迎え入れるなんて涙が止まらなくなります。
素適なSSをありがとうございました。
いらっしゃいませ!
初めてコメントしていただいたのに、返信が遅くなって申し訳ありません…
しかも、お誕生日だったのですね。おめでとうございました。素敵な一年になりますよう、お祈りいたします♪(遅すぎ)
いろいろありえないところを「ありかも」と思っていただけたら幸いです。
…一番ありえないのは私の遅レスとか記事アップ率の低さとかそういう方かもしれませんが…今後とものんびりと長い目で見ていただければと思います。
ありがとうございました!
いらっしゃいませ♪
あれ、初めてでしたっけ…?( ̄▽ ̄;)マイッカ
森永くんが切ないばっかりじゃつらくて、幸せな未来を妄想しました。あ、今も幸せか…(チッ)
兄さんの懐の深さを思うと、涙がじんわり出ます。森永くんがほんとに大事で、愛しくて、そういうのを彼なりに一生懸命に表現しようとする兄さんが大好きです。
実は削ったエピソードもあるんですけど、また蛇足で書くかもしれません。
コメントありがとうございました!
いらっしゃいませ!
わあ、何回もありがとうございます…!
えろもたまには…と思いつつ、全年齢対象の妄想ばかりしてます(笑)ぴゅあぴゅあですみません。
読むのはもう、どえろいのも読むんですけどね。
そうなんですよ、森永くんがしたがってする結婚式とかはきっと恥ずかしがっちゃって無理だと思って。あくまで兄さんが能動的であることと、「家族の宣誓」であることがポイントでした。
また来てくださるんですか〜♪ありがとうございます!
今後ともよろしくお願いします。
いらっしゃいませ♪
ふふ、そうですよ「兄さんからの」が重要だと思うんですよ。
まあ森永くんが必殺うるうるお目目の上目づかいで「だめ…?」って聞いてくるのを「うっ」と思いながらしぶしぶOKするのも萌えなんですけどね(笑)。
脳内再生された映像を、ゆずるさんが挿絵にしてくださるといいなと思いながら、メールをお送りします。
ありがとうございました!
いらっしゃいませ!
きっと兄さんなら…森永くんのこと一生懸命考えるだろうなって思うのです。もちろん森永くんも兄さんのこと考えると思うけど。
兄さんにアクションを起こしてほしいと思って、こんな未来を妄想しました。
一番大変なのはかなこちゃんのお婿さんかもね(笑)。
コメントありがとうございました!
いらっしゃいませ!
乙女な兄さんは好きですが、パッケージングされた結婚式をしたいとは思わないだろうと思って、こんな風になりました。
森永くんも兄さんも、ぜひいつまでもそのままでいてほしいなと思います。
でもキスくらいはしてもよかったかな(笑)。
二つのSSにコメントありがとうございました。
は!そして告白されてる!私も大好きです〜!
いらっしゃいませ!
コメントありがとうございます。わかります、私もなかなかコメント残せないたちで…
でも勇気を出してくださってありがとうございます!
家族として暮らすだけなら、もう何年もそうなのだから、いまさらかも知れないんですけど、兄さんはあんまり「好き」とか言いそうにないし(果たして自覚してるのか…)、何か言葉にしてほしかったんですよね。
いろいろ妄想した結果のSSでした。森永くんの家の問題はかなりシリアスなので難しいです…。
ありがとうございました。