土曜日が近づくにつれて胸の高鳴りが増していく。鏡の前で入念に着ていく服のチェックをした。
これはダメとかこれは子供ぽいとか。零とデートって響きに口元が少し緩んで、トクントクンと鳴る心臓の音。
明日。
零とデート。
優姫はベッドに横たわると目を瞑った。零はどんな気持ちでいるのだろうかと思うと近くに零がいるみたいに感じた。
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零は頭を悩ませていた。初めてデートに誘っても何をしていいかなんてわかる訳がない。委員長と男子寮長にとりあえず、あてにならないがデートって何を具体的にするかを聞いてみた。
『それはですね!ちょっと高いレストランとかで夜景を見たりだと思います!いつか瑠佳しゃんと…///』
とか委員長は言っていた。具体的な内容だが、高いレストランって言うのがよくわからない。
『カラオケとか適当に行ったらまぁ、押し倒せば』
男子寮長はそんなことを言っていた。零はブンブンと頭を振る。
確かに優姫をめちゃくちゃにしたいなんて事をたまに思ったり、一歩間違えば押し倒しそうになったりする事はあった。でも、『大事』って気持ちがあるから我慢はしてきて。気持ち悪いとか避けられたりとかしたくない。
デートでそんな事なんてできる訳がない。初めてでわからないんだ。
零は男子寮で没収した男子たちの読み物に目をやる。全く見る気すら湧かなかったが、何かヒントがあるかも知れないと思い手に取る。
雑誌にはオススメデートスポットなどの見出しで色々な事が書いてあった。
『熱々カップル必見!これで彼女も君にメロメロ!』
記事をみると確かに委員長や寮長が言ったことも含まれていて。全く無知だった自分に落胆して。零はわからないなりにデートプランを徹夜で考えた。
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優姫は朝早く起きてお風呂に入って、髪を整えて、悩みに悩んだ服を着て鏡の前で最終チェック。
「大丈夫だよね…。よし!」
優姫は玄関に出ると零が立って待っていた。いつもよりもかっこよくて、雰囲気も違って。
「ごめんね!…あ…のさ今日はよろしくね//」
優姫は火照った顔で笑う。零は平然を装うが耳まで朱に染まっていた。
「……い…行くぞ///」
(デートって初めてだからわからないんだ。もしかしたら、全然楽しくないかも知れないけどごめん)なんて大好きな彼女に言えないから。
繋いだ手は既に緊張で汗ばんでいた。
まだデートは始まったばかりです。
続く