「と、言う訳で、錐生くん、優姫、お留守番よろしく!」
理事長が1泊2日のお出かけに行くようで、あたしと零はお留守番を任されることに。理事長が出てった後、妙な沈黙。
一瞬、目がお互いに合うとお互いに反らす。優姫の頬は自然と赤らんだ。
沈黙を破ったのは珍しく零。
「夕飯でも一緒に作るか?」
「え?」
「お前の腹なってるから」
「うっ//うん…」
可笑しいな。いつもはこんなに意識しないのに、嫌みに嫌み返しだってするのに、なんか今日は可笑しいな。零を見るとトクトク鼓動が鳴る。
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「お夕飯って塩ラーメンなんだ?」
「当たり前だろ?」
零は慣れた手つきで、ネギを切り刻み、お湯を沸かしていた。
「あたしって手伝う事ある?」
「皿洗い」
「あ…やっぱりー…」
零が使い終わった皿を洗いながら、料理をする零の姿をチラチラと見つめる。
(あたしたちって付き合ってからなんか変わったかな?)
ふと、そんな事が頭をよぎる。確かに、たまに手を繋いだり、もっともっとたまにアレですよ。カレカノって感じにキス///したり。しかもいつも不意討ちだし。
そんな事を考えてたら皿洗いなんて忘れて、ポーッとした。
「おい、優姫!水出しすぎだ!」
「うぁ!ゴメン!」
「何ボケッとしてんだよ」
「ボケッとなんてしてないよ!考えごと!」
「どうせ、夕飯の考えごとだろ…?お前、大食いだしな?」
フッっと笑いながら零は麺の湯ぎりをする。
「違うよ〜だ!あたしは零とあたしって何かカレカノって感じじゃないなぁ!って思ってたの!」
そう言ってフンと口を尖らす優姫。零は少し目を細め、優姫を見つめた。
「お前の言うカレカノってどんなんなんだ?」
零は麺の湯ぎりを終えて、優姫に迫って来る。流石に怒ったかなと優姫も近づいてくる零に後退りした。
いつの間にか、壁に追い詰められてる自分。顔を反らすとダンっと零の手が逃がすまいとばかりに置かれていて。
最早、逃げ場なし。
「お前の言うカレカノってなんだ?」
「う゛…うー…っと…手を握ったり…」
零は優姫の言うように手を握る。優姫は目を見開く。真顔でずっと真っ直ぐ見つめるアメジストの瞳から目を反らせない。
「…それから?」
「…え。…うーと…うーっと…」
優姫は口を閉じたが零は早く言えとどんどん顔を近づけた。
「…は…ハグとか…?」
優姫の腰に手を回し、零は優姫の華奢な身体を抱き締める。
「…それから?」
「…え…///もう…ないよ……」
「嘘つけ…。」
優姫の顔はもうゆでダコ寸前。零の身体にピッタリくっついてなんか不思議で。回された零の手を意識してしまう。
「ひゃ…//」
優姫の耳に唇を落とした零は耳元で囁く。
「それから…?」
「…う゛…ないよ。満足、満足!」
離れようとするがなかなか離してくれない。零が可笑しい!!
「零、ガスつけたままじゃないの//?早く止めないと!」
「もう止めてある。バーカー」
「…な…なな…ぜ…んっ」
真っ赤な優姫にまた静かに笑う零は、唇を優姫のと重ねる。優姫は目を大きく見開く。すごい綺麗な零の顔がものすごく接近していて。
唇はとろけるくらい甘い。目の前の人は零なのかと疑うくらいに、彼の目は本気で、反らせない。
「っ…ん…ぜ…」
優姫の顔は更に赤くなる。いつものキスじゃない。何これ。優姫の口内に零の舌が入る。優姫の頭は大大大パニック!!
(まさか!あたし!え!零とディープなキスしてたりするの…?友達が言ってた、甘くとろけるキスって…こ…これ…?嘘っ!)
優姫の舌に零の舌が絡まる。酸欠しますから、これ!くらくらするけれど零の顔がはっきり見える。
(ディープなキスっていつまで続くものなのかな?人それぞれ?あれ、あたし…息が…)
「優姫!!」
あたしは酸欠になり倒れました。
**
「ただいま〜☆」
理事長が帰ったら不思議そうに二人を見つめたそうです。前の二人と何か変わったような(?)親のカンを感じたらしい…。
fin