いつも。あなたの目線の先には彼女がいた。


黒主学園にはデイクラスとナイトクラスが存在する。デイクラスには美男美女がいる。群を抜いた美貌の持ち主、玖蘭枢。

でも私は興味がなくなった。

正確に言うと私、撫子は恋を知ってしまった。こっそりナイトクラスを見に行って、塀から落ちる身体を受け止めてくれた錐生零。

彼は密かにデイクラスで人気があった。常に苦虫を噛んだように眉間にシワを寄せて冷たいオーラを放っていた。

しかし 彼が私を受け止めてくれた時に気づいたのだ。この人はとても優しい人だって。私は彼の腕のたくましさに、感じたことのない胸の鼓動と火照る頬の熱に気づいた。

ああ
恋に落ちた


******


気づいたら錐生零を見つめていた私がいた。彼はいつも授業中寝ている。


どんな夢をみているのかな
その夢には少しでも私はでてくるかな

そんなこと考えていたら自分の目線の先の人物に先生から指名された。

彼は数学が得意。

どんなに難しい問題もいとも容易く答えてしまう。そんな彼を見ていたら目線の先には彼の目線の先が見えた。


黒主優姫

理事長の娘だった。錐生くんと唯一渡りあえるという鉄の女って噂を聞いたことがあった。

ああ
彼は黒主さんが好きなのね。

愛しそうに、時に、私さえも切なくなるくらいギュッと胸が締め付けられちゃう瞳で彼女を見つめて。

もう私に勝ち目なんてないって思ってしまうじゃない。

でも私は勇気を振り絞って、聖ショコラルデーの計画を練るのだった。


続く