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見惚れてんじゃねえよ 俺を選ぶ、違うか?

見惚れてんじゃねえよ
俺を選ぶ、違うか?

「何見てんだよ…?優姫?」


「見ちゃ、ダメ??」


優姫はそう言って膨れた。だが変わらずにじっと俺を見ている。


「俺を見ないで、この問題を見ろよ!誰のために教えてると思ってんだ!」


「だって…わからないから眠くなるんだよね…」

優姫は数学のテストで赤点をとったため、課題を膨大なほど出された。だが、現実逃避をしてるらしい。


「お前…やんねぇなら出てけよ…」


「零がこりたらやってくれるかな〜って思って…」


「あのなぁ??お前のだろうが!」


零の頭に角が生えたらしい。わたしは「鬼がいる〜」と騒いだ。観念したように睨みつけてくる零。


「零はさぁ…好きな子とかいないの?」

「数学やれよ」

「ふてって、女の子に優しくないからさぁ…で、どうなの?」


「お前の頭は色恋沙汰しかないのかよ?」


「だって…気になるじゃない。教えてよ!」


零は数学の参考書にかじりつき、優姫はシャーペンで彼をつついた。


「……わかったわよ!数学やりますよ〜!」

「…………」

優姫は数学の問題をやり始めた。いくら教科書を読んでも、参考書を見てもしまいには答えを見てもさっぱりわからない。

「ふぁぁぁ!」

「でっけぇあくび」

「な!うるさい!零が教えてくれないからじゃん!」


「お前…教え始めると関係ない事ばっかり言うだろが」


優姫は図星をつかれ返す言葉がない。だってさ、零。

わたしはさぁ、…

じっと彼を見たらドキドキするんだよ。
目が離せないんだよ。


「お前…俺に見惚れてんじゃねえよ」


「な!見惚れって、うぬぼれんな!」


「図星のくせに」

「〜〜〜!」

優姫に不敵の笑みをこぼし、参考書を持ちながら零は優姫を見た。


「じゃ、俺に言うべきだな?」

「何を?」


優姫は零の発言にもはや数学どころでない。数式を見ることなんて忘れてしまった。


「俺を選ぶって言えよ?玖蘭枢でなく、俺を選ぶってな…」


「…………」

「言えないのかよ?お前のキモチは俺を選ぶ、…違うか?」


「……うん…そうだね…」


「じゃあ言えよ?」

心を決めようと思う。緊張するけど、口にしたいから。


「……好き」

「聞こえない…もっと大きな声ではっきりと」

「意地悪…」

「早く言えよ?」

「……好き!!」

ふっと零は笑う。また参考書に目を移す。
優姫はゆでダコのようになる。だが、素っ気ない俺にキレた。


「勇気だして言ったのに!!バカ零!!!」


見惚れてんじゃねえよ
俺を選ぶ、違うか?

決心はついた。後は全力で彼女を守る―――そう俺は誓った。


もうずっときみに恋してる きみは笑顔ではぐらかした

もうずっときみに恋してる
きみは笑顔ではぐらかした


身近で支えてくれた存在。それはお前だった。

あんなに血を貪ってもお前は、俺を受け入れた。だから、わがままになったんだ。

自分でもどうしようもないくらい―――

もうどうしようもないくらい君に恋をしてる。

たとえ求めてはいけないとわかっていても、優姫、お前がいないと、俺はどうなってしまうだろうか?


君は笑顔ではぐらかした。肌を重ねて、君は微笑む。情事の後には必ずお互いに吸血し合う。

呑みきれなくてこぼれたお互いの紅い雫が柔肌につく。

激しく求めあった後に、熱い血を貪って、君を手にいれた。

錯覚に陥る。これが、どれだけ禁断の行為かわかってる。わかっていてももう戻れない。


君は笑顔ではぐらかした。


「零…もっと…」

「お前…案外貪欲だな」

「零のせいだよ?それに零だって…」


「言うな」


紅い刻印が肌に刻まれ、その上を覆うように紅い雫が幾度となく落ちた。

優姫の絶頂は俺の悦びで、駄目だとわかっている行為でさえ、ずっとずっとしていたい。

もうずっと君に恋してるたとえ君が笑顔ではぐらかし、朝が来て君がいなくても

生きてゆかねばならない。君の命を狙いながら、弾丸を込めた――君がくれた、血薔薇銃で君を撃つ。


必ず優姫は俺との情事中に言う言葉がある。

『わたしの最期は零が奪ってね?約束よ…?』


『そんな約束したくない』


――君は笑顔ではぐらかす――


『零に最期を見て欲しい。見守って欲しいから…他の誰かに殺されたくない…最期は零がわたしを殺してね?』


『優姫…』


もうずっと君に恋してる
君は俺に残酷な仕打ちを与えようとしている。

そう言ったら彼女は俺の額にキスして言った。


『零にわたしという刻印を残して逝きたいから。わたしを忘れさせないように…』


『忘れない!!』

『そう言った人ほど忘れます〜』


『忘れない!!バカにするな!』


君と戯れた日々は永久に胸の中にしまおう。

二度と誰かに恋はしないと約束しよう。

君は目の前にいる。
俺の銃を愛しい彼女の額に向けた俺。
逃げない彼女、真っ直ぐな瞳。あの時と同じ、真っ直ぐな眼。


「零…早く…!」

「できない…」

「早く!!」
優姫は零に引き金を引かそうとした。動揺し止めようとした。だが、涙を溜めて彼女は俺を見ている。


「…ぜろ…お願い…」

「……!」

最後の優姫の願いを俺は目を瞑り受け入れた。


バーーーン!!


「ぜろ…わたし…幸せだったよ…零はわたしの願いを聞いて…だから……零もわたしにお願いして良いよ……?わたしの血を…全部…喰らって…最強のハンターになって…」



「優姫…俺はお前が好…」

「言わないで…未練が残るから…早くあなたの元に逝かせて…」


額から流れる血を舐め、細くか弱い彼女の白い首筋に牙を突き刺す。

ブツン!

生々しい音を立て、身体中に彼女の血が勢いよく回る気がした。


砂のようになる優姫を抱き締めた。溢れる涙の惜別。永久の別れ。


「優姫……好きだった…好きだったんだ…ゆうき……ゆう…き…」


「ぜろ…言わないでって言ったのに……」


君は笑顔ではぐらかす―――最期の最期まで

もうずっと君に恋してる
多分、ヴァンパイアを狩る意味は、そのキモチを封印するため。首筋に刺青と何回も優姫がたてた牙の傷。


だけど振り返らない。もう一度再会できる日を信じて、永久にさ迷う、ヴァンパイアハンター

(C)確かに恋だった
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