もうずっときみに恋してる
きみは笑顔ではぐらかした
身近で支えてくれた存在。それはお前だった。
あんなに血を貪ってもお前は、俺を受け入れた。だから、わがままになったんだ。
自分でもどうしようもないくらい―――
もうどうしようもないくらい君に恋をしてる。
たとえ求めてはいけないとわかっていても、優姫、お前がいないと、俺はどうなってしまうだろうか?
君は笑顔ではぐらかした。肌を重ねて、君は微笑む。情事の後には必ずお互いに吸血し合う。
呑みきれなくてこぼれたお互いの紅い雫が柔肌につく。
激しく求めあった後に、熱い血を貪って、君を手にいれた。
錯覚に陥る。これが、どれだけ禁断の行為かわかってる。わかっていてももう戻れない。
君は笑顔ではぐらかした。
「零…もっと…」
「お前…案外貪欲だな」
「零のせいだよ?それに零だって…」
「言うな」
紅い刻印が肌に刻まれ、その上を覆うように紅い雫が幾度となく落ちた。
優姫の絶頂は俺の悦びで、駄目だとわかっている行為でさえ、ずっとずっとしていたい。
もうずっと君に恋してるたとえ君が笑顔ではぐらかし、朝が来て君がいなくても
生きてゆかねばならない。君の命を狙いながら、弾丸を込めた――君がくれた、血薔薇銃で君を撃つ。
必ず優姫は俺との情事中に言う言葉がある。
『わたしの最期は零が奪ってね?約束よ…?』
『そんな約束したくない』
――君は笑顔ではぐらかす――
『零に最期を見て欲しい。見守って欲しいから…他の誰かに殺されたくない…最期は零がわたしを殺してね?』
『優姫…』
もうずっと君に恋してる
君は俺に残酷な仕打ちを与えようとしている。
そう言ったら彼女は俺の額にキスして言った。
『零にわたしという刻印を残して逝きたいから。わたしを忘れさせないように…』
『忘れない!!』
『そう言った人ほど忘れます〜』
『忘れない!!バカにするな!』
君と戯れた日々は永久に胸の中にしまおう。
二度と誰かに恋はしないと約束しよう。
君は目の前にいる。
俺の銃を愛しい彼女の額に向けた俺。
逃げない彼女、真っ直ぐな瞳。あの時と同じ、真っ直ぐな眼。
「零…早く…!」
「できない…」
「早く!!」
優姫は零に引き金を引かそうとした。動揺し止めようとした。だが、涙を溜めて彼女は俺を見ている。
「…ぜろ…お願い…」
「……!」
最後の優姫の願いを俺は目を瞑り受け入れた。
バーーーン!!
「ぜろ…わたし…幸せだったよ…零はわたしの願いを聞いて…だから……零もわたしにお願いして良いよ……?わたしの血を…全部…喰らって…最強のハンターになって…」
「優姫…俺はお前が好…」
「言わないで…未練が残るから…早くあなたの元に逝かせて…」
額から流れる血を舐め、細くか弱い彼女の白い首筋に牙を突き刺す。
ブツン!
生々しい音を立て、身体中に彼女の血が勢いよく回る気がした。
砂のようになる優姫を抱き締めた。溢れる涙の惜別。永久の別れ。
「優姫……好きだった…好きだったんだ…ゆうき……ゆう…き…」
「ぜろ…言わないでって言ったのに……」
君は笑顔ではぐらかす―――最期の最期まで
もうずっと君に恋してる
多分、ヴァンパイアを狩る意味は、そのキモチを封印するため。首筋に刺青と何回も優姫がたてた牙の傷。
だけど振り返らない。もう一度再会できる日を信じて、永久にさ迷う、ヴァンパイアハンター
(C)確かに恋だった
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