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騒がしい日…(林部)


2学期を無事に終え、集団下校の際…林部は、駐輪場へ向かう最中に、携帯を取り出した。

歩きスマホが危険だと、重々承知だったが…林部にも、多少の浮かれた心があったのかも知れない。



携帯操作の画面を開くと、メール画面を開いた。

そこには、アレから…他愛ない会話をする、彼女ーー…古市 琴巴、との履歴が残っている。

授業内容の話題から、学食のメニューのランキングの話題など……次の対戦日時を決めたい。と、話すメールまで…学生らしい、健全な内容のやり取りである事が残っている。


件名に、必ず…自分の名字、林部。と、入れているあたり…バカ真面目な一面が窺える。

林部は、彼女宛にメールを打ち始める。



件名 林部
お疲れ。
前に話した、次の対戦日時を決めたい。

空いている日があったら、連絡して欲しい。




至極、淡々とした…要件のみのメール内容を打ち終えると、送信ボタンを押した。

無事に送信された事を確認すれば、小さく息を吐き出し…画面を閉じようと、指を動かそうとした。

その時ーーー……

林部は、不意をつくように肩を叩かれ…思わず、肩が跳ね上がり…勢いに任せて、後ろを振り返る。
そこにいたのは、悪魔の微笑みを浮かべた佐々木がいた。

「何時もなら、俺の気配を察して…全速力で逃げるか、自分から話しかけて来るのにな?」
「……彼女はダチだからな?」

佐々木の言わんとしている事を察し、林部は先手を取るように言い返した。

「かつが、ダチだと思っていても…彼女はどうだろうな?」
「古市は、んなヤツじゃねぇ〜よ…」
「それは、どうだろうな?」
「は?」

佐々木が林部を揶揄って遊ぶのは、日常茶飯事であり…林部も、すっかり慣れたモノだ。
悪意がない事が、林部にも理解出来ているからこそ…嫌味の1つも返さず、答えているのだ。

が、継ぐ…発した言葉には、驚きと怪訝さが混じっていた。

「よく考えてみろよ?かつ。
気がないヤツに、こんなに早く返信を返すか?」
「暇だったんだろ?」

佐々木のアレコレと、マシンガンのように繰り出される言葉たちに…林部は、完全回避態勢で弾切れを狙う。
それでも、佐々木は喰い下がった。

「んじゃ、彼女に直接聞いてみようぜ?」
「ちょ、何をだ?!やめろ!」

佐々木は強行手段として、林部の携帯を取り上げると…林部の悲鳴を無視し、彼女にメールを打ち、送信した。



件名 林部
古市、お前さ…俺に気があるか?




林部は、既に送信済みされた内容を確認すると…佐々木を睨みつけ、後ろ足をローキックする。
佐々木が、激痛を訴えるように…涙目になり、片足でぴょこぴょこ跳ねると…林部は、更にローキックでトドメにかかる。

林部は、激痛で蹲る佐々木を眼下で睨みつけると…林部は、鼻を鳴らして先へ歩き出す。
そして、急いでメールを打ち…送った。


件名 林部
さっきの話は、気にするな。





林部の後を追うように、佐々木が立ち上がり…歩こうとするも、激痛が抜けず…諦めると、近くを通ったクラスメイトの北翔と西出に…情けない声を出し、助けを求めたのだった。
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