なぜか続いてしまった^^;
今度はアレルヤ視点。








見目の良い店員に話しかけられ嬉しそうにする女の子二人連れを、何とはなしに見る。花柄を基調とした柔らかな色の服装は春を思わせた。ひらひらとした裾のスカートが女の子炸裂だなぁ、なんて。二人とも眼鏡をかけずに陳列されている商品を見ているから伊達眼鏡でも探しているのだろうか。
女の子の片方が、縁が透ける桃色の眼鏡を手に取った。似合っていて可愛らしいですよ、と店員が柔和な笑みを浮かべて言う。どうせ、どれに決めても同じことを言うのだろう。僕も同じことをさっき言ったばかりだ。でもそれは商売根性の塊なんかじゃない。ああでも、どれをかけても、僕の恋人はとびきり綺麗で可愛いから、似合うけれど。
女の子が、時々朝寝坊したらアイメイクまで出来ないからカモフラージュに良いかなと思って、とそんな言葉を返す。店員は苦笑したけれど、では疲れた感じに見えない色がお薦めですよ、と言った。それに、女の子も何かを言う。打っては返すみたいな言葉のキャッチボールは聞いていても楽しいけれど、そろそろ時間のようだ。
くい、と服の裾を引っ張られた。

「どうしたの、ティエリア。僕の傍にはいたくないんじゃなかった?」

「………疲れた」

ぐったりと言うティエリアに苦笑する。
現在、ここは地上のデパートの中にある眼鏡ショップだ。僕がティエリアの眼鏡を割ってしまったから、替わりの物を買いに来ているのだ。本当は視力が低いわけではないらしいティエリアだが、眼鏡を買うと言い張ったのでついてきた。強引に。
そして、かけるならばティエリアに似合うもの(できれば可愛いデザインが良い)を俄然やる気になってあれこれ勧めてみれば、ティエリアに「君は傍に寄るな!」と怒られてしまった。しかし、離れたら離れたで、店員に捕まってしまったのだ。もちろんティエリアは無視を貫き通したが。男性店員なら引き離すけれど、女性だったようだから放っておいたら、どうやらティエリアの方が根をあげたらしい。
店員と世間話さえ交せない無器用な恋人が可愛くって、僕は笑顔をつくった。

「お疲れ様。眼鏡は選べた?」

「もう、いつもの物で構わない」

「そう?気分転換に他のを考えるとかは?」

「面倒だ」

そう言って、ティエリアがふいと顔を反らす。それから、「そんなに言うなら君が気分転換に眼鏡をかけたらどうだ」なんて忌々しそうに言われた。ずいぶんご機嫌斜めらしい。もう慣れっこだから、そんな子供っぽいところも可愛く見えてしまう。

「う〜ん、じゃあ、…これ?」

薄い黒縁の眼鏡を掛けて、ああやっぱり硝子越しじゃないティエリアの方が良いなぁ、なんて考える。
しかし、ティエリアはぱちりと瞬きをして、こちらを見たまま固まってしまった。

「どしたの?」

「………………」

次の瞬間には、眼鏡を取りあげられてしまった。そして、「眼鏡をかけると馬鹿に見えないから、駄目だ」なんて言われてしまった。ひどいよ!と返そうとすれば、小さく「そんなに格好良いのは、…反則、だ」なんて言われる。

「………っ、ティエ、!」

「…煩い!失言だ忘れろ!」

「や、やだよ!ティエリアがそんな可愛いこと言ってくれるなら、僕眼鏡かけようかな!」

「死ね」

「こら!駄目だよ可愛いこと言った同じ口でそんなこと言ったら」

「可愛いと言うなといつも言っている!…もう帰る!」

「え、眼鏡は?」

もう此処は嫌だ!そう言うティエリアに、じゃあ帰りは手を繋いで貰おう、なんて考えてみる。