本を読んでいた。
窓から差し込んでくる光が、確実に私のうなじと背中を焼いてくる。
その手が伸びてこないところへ、私は椅子を避難させた。
開きっぱなしの自動ドア。
中から外に流れる冷房か、はたまた外から中に流れる自然風か。
私の髪を冷気が撫ぜる。
微かに聴こえるラジオをBGMに、私は物語を読み進めていった。
突然意識上にのぼるBGM。
聞き覚えのあるメロディー。
多分そのときの私はかなり挙動不審だっただろう。
立つのか座るのか迷い、結局人差し指で物語を中断させ、ぬるい日陰に出た。
ラジオははっきりとあの曲を奏でていた。
そのままここで聴こうかと思ったが、目の前、30メートルほど先に知っている人がこちらを向いて立っていた。
挙動不審っぷりが見られていたかもしれないと思うと、私は急に恥ずかしくなり、さらに挙動不審になりながらもといた場所に戻った。
自動ドアから外に出た時間は30秒にも満たなかったかもしれない。
また微かになったあの曲に集中して耳を傾ける。
客が来なくて幸いだ、と思ってしまった。
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文章のリハビリがてら。
私小説ってこんな感じなんすかね。