*月詠+さっちゃん*
*銀さん←さっちゃん*銀さん←ツッキー*
*前記事からうっかり続く*
*やっぱりさっちゃんとツッキーが大好きである*





「──なるほど。銀時はぬしにそんな事を言いんしたか(ふう)」
「そうよ。銀さんは私を大切に想ってても、私を幸せにすることはできないって……(ぐすん)」
「元よりそういう男じゃ。薄情とも違う……ただの軽薄とも違う。だけどひとりの女を幸せにするなどできんせん。ぬしもとっくの昔に分かってた事じゃろう、猿飛」
「うん……」
「…………」

「──って待ってよツッキィィィィ!?何なのこのお通夜みたいな雰囲気!耐えられない信じられない!別に私はまだフラれた訳じゃないわよ、フラれたなんて認めないわよ!私は絶対銀さんを諦めないもの!それより何なのよアンタ、何をいい女ポジションで私の相談なんて聞きながら煙管ふかしてるのよ!ツッキーだって銀さんが大好きなくせにっ!(キィィ)」
「(カァァ)ばっ……と、咄嗟に何を言うんじゃぬしは!わっちは関係ない、第一わっちはとうに女など捨てた身でありんす!!」
「女を捨てたって何よ、本当に捨てたんならそんな風に銀さんの話で赤面なんてしないでよ!!女捨ててるくせに何でそこまで頑なに片脚と片腕を露出してんのよ、そこまで意識高い系ならいっそ尼僧の格好でもしてなさいよ!」(←さっちゃん)
「(ふう)……もういい、ぬしに声を荒げたわっちが悪かった。わっちが謝る、だから二十巻以上前から存在したキャラ付けにまで文句を言うのは止めなんし」(←ツッキー)
「どこまで第三者対応なのよ、ほんっとこれだからツッキーは腹立つのよ。自分には関係ないみたいな顔しちゃって。これだから人気投票上位の女は違うわね、余裕の差があるのね(チラッ)」
「(カチン)だから、わっちにはその手の冠は不要じゃとつくづく言っとろうが!わっちはわっち、ぬしはぬしなんじゃ。銀時は関係ない話でありんす。ぬしも本当に分からん女じゃな」
「だって!だって、私には言ってくれてもいいじゃない!せめて私には第三者対応はしないでよ。同じ人をずっと前から好きなんだから……」
「……。……ある意味、わっちはぬしには一生敵わん(ふう)」
「あっ、認めたわね!?ついに認めたのねツッキー、ツッキーも銀さんがやっぱり好きなんじゃない!いいわよもう、クーデレ太夫なんかに銀さんは絶対渡さないんだから!(キィィ)」
「誰がクーデレ太夫じゃたわけが!だからぬしはいい加減わっちの話を聞けェェェェ!(ガタタッ)」



「……その、ツッキーは平気なの?銀さんが自分を見てくれなくても」
「銀時はああいう男じゃ。誰かひとりの女にうつつを抜かすなどありんせん。それに銀時が一番大切なものは……ぬしにも分かるな」
「分かってるわよ。私がどれだけ銀さんを見てると思ってるのよ?……新八くんと神楽ちゃんでしょ」
「そうじゃ。わっちはそれで良いと思う。いつだって銀時の隣に居るのは新八と神楽じゃ。……銀時の中の一番大切な場所に居るのも、あの二人でありんす」
「そりゃそうだけど……でも!新八くんと神楽ちゃんが居るからって、私達は諦めなきゃダメなの?違うでしょ、なら私達が抱いてるこの気持ちはどうすれば良いの?」
「知らん(ふう)」
「ちょ、アンタねえェェェェ!!??知らないって何よツッキー!お高くとまってんじゃないわよ、アンタがただの女だってことはとっくに割れてんのよ!」
「だから知らんと言っとるんじゃ!この気持ちがどこに行くかなんて、わっちこそ知りたい。わっちこそ聞きたい……」
「ツッキー……」


「わっちが見てきた銀時はいつも同じでありんす。いつも怠惰で阿呆で馬鹿馬鹿しくて、たわけでうつけでしまいには決して働こうとせず……いつだってタダ酒だのタダ飯を狙っては吉原に来て、」
「ちょ、ツッキー?何もそこまで言うことないじゃない、あの、ちょっとひどくない?ねえ?銀さんだってたまに働いてるのよ、アンタや私が知らないだけなのよ」(←乙女)
「でも、ただ悪戯にちゃらんぽらんなだけだったら銀時じゃありんせん。銀時は護りたいものを護る時は命がけじゃ。自分の事でなぞテコでも動かぬ男が、誰かを護る為なら死ぬ気で立ち回る」
「……ん。そうよ。銀さんはいつだって」
「そんな銀時の両隣りに常に居るんじゃ。新八と神楽だって銀時と変わらない、むしろ中身は似たようなものでありんしょう。そんな三人だから吉原を二度も救えた……そんな三人が、三人らしく万事屋でいる時がわっちはいっとう好きでありんす」

「……待ってよツッキー、何でなの?何でアンタそうなのよ、何で銀さんのことをそんな風に想えるの、もっとグイグイ行きなさいよ!大人の女ぶって引いてんじゃないわよ、自信持ちなさいよアンタ、アンタは私にも張れるくらいの大した女なんだから!」
「……え、ちょっと待ちなんし。だから猿飛、ぬしはわっちの話聞いてた?(真顔)」
「あああもういいわよ、アンタの御託なんて真っ平御免よ!私は銀さんが好きなの!銀さんじゃなきゃダメなの、銀さんでしかありえないの!もういいわよ、今すぐ二人で銀さんに告りに行くわよ!(ガシィッ)」
「ちょっ、ちょっと待っ……だから待ちなんし!何でぬしはそうなるんじゃ、わっちは銀時に告ることなぞありいせん!!(必死)」
「(聞いてない)私達のうちどっちか選んで貰えばいいわよ。銀さんだってそりゃあ私が良いだろうけど、もちろんさっちゃんだろうけど、何もツッキーの気持ちは無碍にはしないわよ。何たって私の銀さんだもの!優しくフッてくれるから、そしたら今度は私がツッキーを優しく慰めるの」
「何でぬしの中では既にストーリーが出来上がってるんじゃ、とりあえず手を離しんし!しかも何でぬしはそこまで楽しそうでありんすか」
「だって友達と一緒に恋バナするのはやっぱり楽しいじゃない。いくら恋敵だとしても」

「!!……まったく……ぬしにはやっぱり敵わん」







(四角い卵と女郎の誠はない、なんて嘘っぱちじゃ。わっちを友達扱いするぬしは、正真正銘わっちの“初めて”でありんす)