話題:どうでもいい話


私は幾つか習い事をしているが、その中の一つに剣道がある。と言っても普通の剣道ではない。

爪楊枝剣道。

その名の通り、竹刀の代わりに爪楊枝を持つ剣道だ。それ以外は普通の剣道とほぼ同じで、ちゃんと面を被り胴を巻き小手を付け袴を履いて行う。

剣が爪楊枝なので打たれても全然痛くなく、怪我が少ないのが大きな魅力だ。剣も竹刀と違って軽いし小さいしで持ち運びも全く苦にならない。稽古後の食事の際には本来の用途である爪楊枝として使える……という具合に万事良いこと尽くめなのである。

とは言え、侮って貰っては困る。決して甘い競技ではないのだ。むしろ普通の剣道よりも厳しい部分も間違いなく持ち合わせている。何と言っても、“小手をはめた状態で爪楊枝を両手で持つ”、これが至難の技。手先の繊細な感覚と高い集中力が必要で、それを持続しなければ試合にならないのである。あまりの緊張に耐えられず神経をやられイップスを発症する者も多い。なかには「爪楊枝ではなくお箸では駄目なのでしょうか?」と泣きつく者もいる。試合時間の7割は落とした爪楊枝を探して拾い上げている時間だと思って貰って構わない。かような事実が示すように、とにかく心身の強さが共に必要となる。

何故そのような過酷な競技を続けているのか。

それはひとえに競技人口が少ないからである。競技人口が少なければ日本代表にも選ばれやすい。隙間を狙うのだ。残念ながら次のパリ五輪では採用されなかったが、その次か、次の次あたりの五輪ではこの【爪楊枝剣道】が正式種目として採用されるのではないか、と私は踏んでいる。

是非とも近々のオリンピックで、爪楊枝をはしっと構えた私の勇姿を楽しみにして頂きたいものである。

〜おしまひ〜。

*追記*

爪楊枝剣道が正式種目にならなかった場合の保険として、冬季五輪を見据えた【つららフェンシング】も習い始めました。