「よッ!大統領ーっ!」の掛け声を最近聴かない。


話題:妄想を語ろう


就職の方向性で悩んでいた学生の頃、たまたま知り合ったジプシーの占い師から決定的とも言える貴重なアドバイスを貰った。

占い師の言葉を信じて単身アメリカへと渡った俺は、ホットドッグの早食いチャンピオンを経て、
大統領の護衛官となった。

その後、俺は、大統領の身代わりとしてインフルエンザの予防接種を受けるなど、身を呈して大統領を護り続けた。そのようにして積み重ねた実務上の実績に加え、サミット会議の余興で披露したクリスタルキングの「大都会」の歌モノマネ(俺はクリキンの声の高い方と低い方、その両方を一人で同時に真似られる)が好評を泊すという幸運も加わり、今では護衛チームのリーダーとなっている。

ジプシーの占い師は正しかった。やはり、この仕事は俺に向いていたのだ。

今でも俺は、あの時、ジプシー占い師が語った言葉をよく思い出す。

『君に向いているのは…ずばりサービス業だ』

大統領護衛班…。

ザ・シークレットサービス!

これほど判りやすい“サービス業”が他にあるだろうか。これからも惜しみなくサービス精神を発揮して大統領を護りたい。俺はそう思っている。


【終わり】


ウマシカ堂の通販で君もジャンボマックスに。


話題:ネット通販



『な、な、なんと!誰にも気づかれる事なく身長が1m高くなる!!』


ウマシカ堂オリジナル《画期的シークレットシューズ》が通販限定で新登場!

注目のデザインは、近所でのお買い物から皇室の園遊会まで、あらゆるシーンでの活躍が期待できる「河童の足タイプ」と「豚足タイプ」、そして「ふにふに肉球タイプ」の3種類から選び放題となっております♪

更に今回は!新発売を記念して特別に“履くだけで誰にも気づかれずに身長が2m高くなる”【特製シークレット靴下】を無料でプレゼント。気になる靴下のプリント柄も「驚いた時の津川雅彦さんの顔」「驚いた時の中尾彬さんの顔」「ライオンに噛まれた直後のムツゴロウさんの顔」と、どのデザインを取っても、お洒落度満点♪

茶室に入る時など、シークレットシューズを脱がざるを得ない状況でも、このシークレット靴下さえあればひと安心♪

この優れ物のシューズと靴下がセットになって、お値段はインディアンもびっくりの3000巴!
(゜ロ゜;

…ちょっと待って下さい!

実はこれだけではないんです!

更に更に今回は、番組を観た方限定で“全身がすっぽり収まるシークレット長靴”を特別プレゼント。この長靴があれば、もう雨の日でも傘はいりません♪


なお……

今回ご紹介したウマシカ堂オリジナル新商品。シークレットシューズ&シークレット靴下&シークレット長靴の三点セット。

ご注文の受付は【伝書鳩のみ】となっておりますので、宜しくご注意くださいませ…ρ( ^o^)b_♪




名もなき雨の前奏曲(PRELUDE )14《その曲の名は》


話題:連載創作小説


[演奏会の開始は夕方の六時ごろです]

そんな手書きの貼り紙が店内のところゞに貼られいる。“午後六時”ではなく“夕方の六時ごろ”というのが如何にもマスターらしい。彼女はそう思っていた。

その“夕方の六時ごろ”には、時間にしてまだ三十分ほど余裕がある。その間彼女は、今夜の共演者であるプレイエルピアノの傍らの席に座り、この二ヶ月に起きた事をぼんやりと考えながら過ごしていた。

名曲喫茶【平均律】…雨の降るテラス席…憂いの影を持つ美しい青年…それが全ての始まりだった。やがて、青年の姿は失われ、彼女は【平均律】へと足を踏み入れた。そこで交わされたマスターとの会話…その何気ない一つの会話から彼女はこの名曲喫茶に通う事となり、一台の古いピアノと巡り逢う…。

1837年製のプレイエル。

思えば、それは不思議なピアノだった。彼女は傍らのプレイエルに視線を向けた。店内にはバダジェフスカの《乙女の祈り》が静かに流れている。

普通――プレイエルを見つめながら再び彼女は考え始めていた――ピアノの寿命というのはせいぜい百年がいいところだ。それ以上の年月を持たせる為には神経をすり減らすぐらい入念な手入れと保管とが必要になる。

このプレイエルは作られてから、もう百八十年近くになる。そして見る限りにおいては、定期的に入念な手入れがされた気配もなく、また、博物館のような行き届いた設備環境で保管されていたとも思えない。にも関わらず、その伸びやかな美しい音色をまるで失なっていないというのは彼女にはとても考えられない事だった。事実、彼女が最初にプレイエルと対面した時、この古いピアノは鍵盤も屋根板の隙間もフットペダルも綿埃をかぶっていて、調律もまったくされていなかった。

確かに、途中でマスターの叔父による大幅な復元修理が行われた事は知っている。孤高のマエストロと云って良いマスターの叔父の楽器職人としての腕が相当高かったのも事実だろう。しかし、それを考慮に入れたとしても、この古いプレイエルピアノから立ち昇る天使のような澄みやかな歌声は、現実の領域を超えて存在しているように彼女には思えた。

その不思議な力は何処からやって来るのか?その源泉はいったい何なのか?

実は、それについて彼女は既に自分なりの答えを持っていた。

「この1837年製のプレイエルはショパン本人が実際に弾いていた物に違いない」。それが彼女の出した答えだった。

確かにそれは空想と云えば空想である。しかし、年代と場所から云えば、その可能性は十分にある。ショパンが仏プレイエル社のピアノに特別な思い入れを持っていた事は、ショパンを弾く人間なら知らぬ者はない。そして、マスターの叔父が修理を依頼されたのもフランスだ。もしも彼に修理を依頼してきた人物が旧いフランスの貴族であるならば、それが本物のショパンのピアノである可能性はいよいよ高くなる。ショパンの生きていた時代、音楽家と宮廷や貴族とは切っても切り離せない密接な関係にあったのだ。

彼女は殆んどそれを確信していた。ただ、それを検証する事はまず不可能である。もしかすると、このプレイエルには今でもショパンの指紋が残されているかも知れないが、そもそも、ショパンの指紋を知る者など誰ひとりとしていない。十九世紀半ばのヨーロッパには指紋登録システムなど存在しないのだ。

このピアノを本物のショパンが弾いていた事を証明するのは不可能だ。でも、それでいい。彼女は、その空想めいた秘密を自分ひとりの胸の中にしまっておく事にした。


《続きは追記からどうぞ♪》


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名もなき雨の前奏曲(PRELUDE )13《きらきら星》


話題:連載創作小説


クリスマス・イヴは世界中のどんな場所にも訪れる。ニューヨークの摩天楼にも、メキシコの砂漠にも、グリーンランドの氷河にも…そして、時代から取り残されたような古びた名曲喫茶にも。

その日、【平均律】の店内は何時になく賑やかに飾り立てられていた。それは、内向的な性格の人間が何らかの拍子にそれまで隠し持っていた社交的な一面を覗かせたような感じだった。とりわけ目を惹くのは、客席の中央に置かれたクリスマスツリーだろう。ツリーは全体に色とりゞの電飾を施され、尖鋭的な樅の枝葉の上には、ところゞ、脱脂綿の雪が夏の入道雲のようにふわりと載せられていた。

今しがたまで窓の外に広がっていた夕景も、そろそろ夜景へとその存在を変換し始めている。時刻は午後5時に差し掛かろうとしていた。

店内のレイアウトも、いつもとは少し違っていた。片隅に置かれた古いピアノ―1837年製のPLAYEL―の前に若干の空きスペースがとられ、その後ろに七席の椅子がニ列に並べられている。その配置は、今夜このピアノが弾かれる予定である事を暗に物語っていた。

「5時なので、そろそろ店を開けようと思いますが」【平均律】のマスターが、窓際の席で珈琲を飲む彼女に話しかける。彼女は顔を上げると、心得たように小さく頷いた。

この日の【平均律】は、開店時刻を午後5時としていた。それは彼女に演奏会に向けたリハーサルの為の時間を設けようという、マスターのちょっとした計らいだった。

あの日以来、彼女は時どき【平均律】でこのプレイエルを弾かせて貰っていた。とは云え、それはせいぜいニ曲か三曲で特別なセッティングもしていない。もちろん、弾く前に軽く練習してはいるが、それも長くて十五分程度。とても満足な練習とは云い難かった。

しかし、それは仕方のない事だった。【平均律】はコンサートホールではない。クラシック音楽のレコードをかけ、客はそれを聴きながら珈琲や紅茶を飲む。それが名曲喫茶の基本スタイルだ。

そういうわけで、彼女の中には練習不足からくる不安が少なからずあった。だからこそ、こうしてある程度まとまった練習時間が貰えた事は、彼女にとって大きな救いとなった。

そして、朝からのほぼ半日に及ぶ練習のお陰で、その不安はだいぶ薄らいでいた。

耳馴れたカランカランというベルの乾いた音が彼女の耳に響く。

すると、店の外で開店を待っていた常連客たちが次々と店内に足を踏み入れてきた。既に店の中にいる彼女やマスターに片手を上げて挨拶する者、笑顔で軽く頭を下げる者、「楽しみです」と一言かけてくる者などその様子は様々だ。


《続きは追記からどうぞ♪》



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名もなき雨の前奏曲(PRELUDE )12《一つの場所、二つの風景》


話題:連載創作小説

銀色の細い雨が降っている。喪服に身を包んだ人たちが次々と亡きピアノ教師に追悼を捧げる姿が見える。

彼女は自分が音楽葬の会場に戻った事を知った。

雨の世界に流れるショパンの《ピアノ前奏曲》。そう…。その曲こそ、全ての始まりにして全てを結びつけるただ一つの解に違いなかった。

もしも――いや、あり得ない。それは判っている。しかし、その“もしも”を百編重ねた“もしも”があるとして――

もしも……

『あの、美しくも哀しいショパンの曲が人間の形をとったとしたら…それはちょうど、雨の降るテラス席に物憂げな表情で座る、あの青年のような姿になるのではないか?』

ピアノの音が、そしてついには
曲そのものが具象化し、別の風景やがては人間の姿へと、その存在を転換させる。音像から映像へ。

確かにそれは、空想と呼ぶにせよ夢想と呼ぶにせよ、あまりにも現実離れした結論であった。しかし、世界にはごくごく稀にではあるが、音を色彩(視覚)で、色を香り(嗅覚)でと、本来とは別の感覚器官で捉える人たちも存在する。そして、そのように非現実的だからこそ説明がつく事もある。

彼女には見えていた青年の姿が、同じ場所にいた筈の【平均律】のマスターや常連客たちには見えていなかった。彼女はそれを知った時にこう思った。「両者を同時に成立させる解はない」と。

けれども、もし、一つの場所に二つの風景が存在していたとするならばどうだろう。片方には見え、もう片方には見えなかったという矛盾は解消されるのではないか?

彼女と彼らは、同じ場所に居ながらそれぞれ微妙に異なる二つの風景を見ていた。彼女の風景には青年が存在し、彼らの風景には青年が存在していない。それならば証言の矛盾に説明がつく。

そして現在、彼女の身に起こっている事も恐らくは同じだろう。


《続きは追記からどうぞ♪》



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