話題:都市伝説


小腹が空いた時に軽くつまみたい、そんな小さな都市伝説があります。都市伝説と言うには物足りない“妙な噂”程度のお話。そのようなものが読者投稿で届いておりますので、それを都道府県の地域別に分け、その中の一つを、今回、お国自慢編として紹介する事に致します。なお、都市伝説研究家として有名だという噂もある「又聞きのトシちゃん」さんの一言論評付きとなっております。



【茨城】

ニセ黄門さま登場の回(ファッション印籠訪問販売業)さんからの投稿。

――友達の友達が友達の友達の友達から聞いた話なんですけど、茨城県の或る隠れ里で行われている秘祭では、何と神事としてバンジージャンプが行われているんだそうです。しかも、ただのバンジージャンプではなく、とても普通では考えられないような物を紐――いや、紐代わりですかね――として使うらしい。

それは何か?何を使うのか?。

正解は、まさかの納豆!納豆の糸引き、あるじゃないですか?あの、納豆を箸で持ち上げる時にネバ〜ッと伸びる白い糸状のもの。そのネバ〜ッを紐代わりにして崖や吊り橋の上から跳ぶんだそうです。

もちろん、使用する納豆は特殊な製法で作られた、茨城県のごく一部以外、世間一般には知られていない特別な納豆で、それは江戸時代に水戸黄門の名で知られる徳川の水戸光國公が「もしも将来、幕府が亡び、江戸時代が終わるような事になったら、この納豆を使って徳川幕府を再興して欲しい」との言葉と共に製法を残したと伝えられているそうです。その際、「徳川御三家秘伝の納豆の凄さをよく“見とけ”!……“水戸家”だけに」と、言ったとか言わなかったとか。

秘祭では、特殊な製法で作られた納豆を里の人々が代わる代わる、何と、江戸時代中期から約300年間、1日も休まず不眠不休でかき混ぜ続けており、その糸はスパイダーマンもびっくりの強烈な粘り気を持つと言われているそうです。

なお、この隠れ里の存在場所は不明で、行政に問い合わせても「担当の者がおりませんので……」との常套文句で、はぐらかされてしまうらしい。


◆又聞きトシちゃんの一言論評◆

さすがは納豆の本場、茨城県。ものが違うと感心しました。茨城県は、皆さん御存知のように未だプテランドンが普通に空を飛んでいるような土地柄ですから、今回の話にもかなりのリアリティを感じます。と同時に、納豆の糸に身を任せられるなんて、よほど強くて深い信頼を納豆に対して持っているのだなあ、と胸が熱くなりました。もし太宰治がこの話を知っていたら「走れメロス」の続編として「跳べナットウキナーゼ」を執筆した事でしょう。

水戸と言えば、尾張、紀伊と並ぶ天下の徳川御三家の一つ。このような秘伝の納豆を隠し持っていたとしても不思議ではありません。徳川幕府の再興を目論む水戸家の流れを汲む人々が存在するのでしょうね。もしかしたら行政、官権の一部にも紛れ込んでいて、情報を隠蔽しているのかも知れません。もっとも、どうやったら納豆で幕府を再興出来るのかは皆目見当がつきませんが。

ともあれ、貴重な情報を有り難うございました。ニセ黄門さま登場の回さんのよく判らない交遊関係も素敵です。あと、ファッション印籠の訪問販売という良い意味での胡散臭さにも惹かれました。


〜おしまひ〜。

【次回】(予定)…北海道?、静岡?その他?(←宛にならない)。