話題:妄想を語ろう




「絶滅危惧」

AHO法人[日本絶滅危惧人調査委員会]は、この度、3種の人間たちを新たに【絶滅危惧種】(レッドリスト)に認定した。まず一番手はかねてより候補に挙げられていた……

*******

@【『ヘイ!タクシー!』と叫んでタクシーを捕まえようとする人】

[絶滅評論家・マンボズボン斉藤氏による解説]

─これは、関係者からすれば「やっと認められたか」という感じでしょうね。欧米ではどうなのかは全く判りませんけど、日本では最近とんと見掛けなくなりました。と言うか、今も昔も関係なく見掛けなかった気もしますけどね。ごく稀に打ち上げか何かの帰りらしき集団でウケを狙ってわざとやるお調子者もいますけど、これは天然ではなく養殖なので適用外となります。なお、歩道から半身を乗り出す格好で叫ぶのが純粋種の特徴となります。

*****

A【『馬鹿におしでないよっ!』とキレながら泣き崩れる熟年の御婦人】

[マンボズボン氏の解説]

これも近頃めっきり見掛けなくなりましたよね。と言うか、ドラマの中でしか見た事ありませんけどね。

この台詞を言う時の理想的な服装は、地味で所帯染みた感じの和服か趣味の悪い柄の安物のワンピースで。着こなしはルーズにだらしなく。髪の毛はパサパサで圧倒的に水分が足りていない感じ。化粧は絵に描いたような厚化粧で、泣く度にアイシャドー?アイライン?マスカラ?が溶けて真っ黒な涙が流れ出せばなお良し。シチュエーションとしては、相手から小馬鹿にされる感じで渡された少額の紙幣を投げ返しながら言うと絵になります。憐れみなど受けてたまるか、というプライドを見せる事が大事。キレている割りに言葉使いが丁寧なのも好感が持てます。お金の投げ返し方はミッキーロークの猫パンチのような感じで是非。


*****

B『ヨッ!大統領!』と相手を持ち上げる太鼓持ち(お調子者)。


[マンボズボン解説]

これも見掛けませんね。そもそも、大統領とは何処の国の大統領なんだという話ではありますけど、そこは普通にアメリカと考えるのが妥当でしょう。この文言が使われなくなった背景には、やはりアメリカの弱体化があるのかも知れません。思えば日本も昔は“総理大臣”という言葉にもっと威厳があったよう気がします。そう言えば『末は博士か大臣か』という言葉も聞かなくなりましたよね。


*****

今回取り上げた3種の絶滅危惧種の人間を街中などで見掛けた方は、くれぐれもちょっかいを掛けたり写真を撮ってインスタに上げたりなどせず温かな目で見守ってあげて下さい。【AHO法人・日本絶滅危惧人調査委員会】まで御一報下ると嬉しいです。この愛すべき貴重な人達を皆の力で守ってゆきましょう。


〜おしまひ〜。