寒くなってきましたね!
皆様風邪などに充分気をつけてくださいね〜。
(この間見事に発熱した…すぐ下がったけど)
さて、本日はリクエストにお応えしたSSをお持ちしました。
リクエストしてくださった方はいなこさんです!→
ろぐそうこ
こうしてリクエストしていただけたりコラボしていただけたりすると、新たな萌えが発見できて嬉しいのです。
えろは難しいけどね……
いなこさんのリクエスト内容は「名前呼び」です。
『下の名前を呼ぶ、あるいは呼んでもらうとしたら…(♪ドリフのもしもコント風BGM)』
ということで、頑張ってみました。
※原作とは一切関係ない妄想文です。
【call for name】
「せんぱい…あの…ほんとにこれやるんですか…」
俺は、今日も先輩からの無茶な実験計画表を手に遠い目をしていた。
「やる。次のレポート用にサンプル多めにとっときたいんでな」
「えー…無理がないですか、これ…」
論理の実証にはサンプル数がものを言う。一度では偶然に見えることでも、何度も同じ法則で繰り返し起こればそれは必然になる。いろんな条件で実験を行うわけだけど、それが先輩の計画表ではものすごく細分化されてて気が遠くなりそうだった。今までで最高じゃないだろうか、この計画表の分厚さったら…。
「無理でもやるんだ。ここ最近あんまり成果が出とらんからなっ」
鼻息も荒く、先輩は実験器具を用意している。
「昨日までだって忙しかったのに…。またこんなの始めたら、家に帰れないじゃないですか」
「うっさいな、交代で仮眠しに帰ればいいだろっ。ほら、始めろって」
ぶつぶつと文句を言い続ける俺のことは無視して、先輩は顕微鏡を覗き込んでいる。
盛大にため息をついて、俺は大人しく実験の準備を始めた。
「先輩、これ頑張ってやりますから、交換条件飲んでくれませんか」
「ああ?何だって?」
「実験中は、先輩のこと名前で呼ばせてください」
「……は?なんで?」
ぎりり、と音がしそうなくらい眉根を寄せて、先輩が凄む。こ、怖くなんかないんだからねっ!
「いいでしょ、セックスしたいとかそういうんじゃないし。じゃなきゃ手伝いません」
「ばか、公私混同すんな!俺は返事しねえからな!」
「あ、呼んでいいんだー。分かりました。じゃあ交換条件成立ってことで。よろしくお願いします、宗一さん」
「そ、そ……」
「さあ、実験実験。宗一さんも頑張ってくださいね」
真っ赤になって口を開いたり閉じたりしてる先輩を内心抱き締めたいと思いながら、俺は実験に入った。
「宗一さん、はい。一回目の試薬準備できましたよ」
「濃度調整終わりました、宗一さん」
「こっち片づければいいですか、宗一さん」
「宗一さん、……あ、何でもないです」
何か口にするごとに「宗一さん」をつける。バカの一つ覚えみたいだけど、返事はしない先輩もその度にいちいち赤くなったりこっちをちらっと見たり、可愛い反応を返してくれるから、大変な実験も楽しくなってきた。
「……森永。てめえ、いつまでそれ続けるつもりだ……」
「いつまでって、実験が終わるまで。そのうち慣れますって、宗一さん」
「やっ…やめろ、それ!」
「なんでですかあ。じゃあ、宗一さんが俺の名前呼ぶんでもいいですよ」
「は……は!?」
「哲博、って呼んでくれるなら、実験続けます。終わるまでやります」
「だから、なんで……っ」
「どっちがいいですか?呼ぶのと呼ばれるの」
「ど、どっちも、いやだ……」
意識しちゃって耳まで真っ赤になって横を向く先輩は可愛くて可愛くて、食べてしまいたいくらいだ。恥ずかしがりの、意地っ張り。そんなとこも大好きなんだけどね。
「じゃあ俺はかえろーっと」
「え!?」
白衣を脱ぎかけると、慌てて先輩が俺の腕を掴んで引き止める。
「……困るでしょ?」
「ひ、ひきょーものっ……」
睨んでくるけど、先輩の目にはもうあまり力がない。いじめすぎちゃったかな。
「うーん、まあ俺は前科もちですしねえ。否定しませんよ。じゃあ、哲博って一回だけ呼んでください。それでチャラにしてあげます」
最大限の譲歩を見せて、にっこりと俺は笑った。
先輩が一瞬ほっとしたような顔をして、そして意を決してか、きゅっと唇を結ぶ。
「……っ、……」
やがてぱく、ぱく、と口が開くけれど、言葉にならない。そんなに恥ずかしい……ってか嫌なのかなあ。そのうち、目線を下げて固まってしまった。
ふう。しょうがないな。
「先輩?」
そっと近づいて、頑なな体を抱き締めた。
「ばか、こんなの、無理に言ったって……っ」
「分かりました。先輩の努力は認めますよ。いま頭の中で一生懸命呼んでくれただろうし」
「よ、呼んでない」
「はいはい」
哲博、って先輩の声で呼んでくれたら、それだけで俺のいろんなところが満足しそうだったんだけど……。今は無理でも、きっとそのうち。
俺は上気した先輩の熱い頬を手で包んで、キスをしようとした。
「ばかっ!そんなことしていいって言ってねえ!」
残念ながら、鉄拳が飛んできて、キスさえ叶わなかった。ひどい、先輩!
ご丁寧に蹴りまでくらってしまい、俺は先輩から離れる。
「実験やるぞってつひろっ。……」
あ。うそ、呼んでくれた。どうしよう、涙が出そう。
「あ……い、今のはっ」
どうやら、頭の中で考えてたせいか勢いで口から出ちゃったみたい。さっきよりもずっと赤い顔で、先輩は口を押さえている。
「不意打ちなんてずるい、もう一回!」
「しらん!」
駄目元で言ってみたけど、先輩は背を向けて教室から出て行ってしまった。
あー、行っちゃった……。せっかくいい夢だったのに。
……ん?
夢?
「……おい、森永。森永?」
ゆさゆさ、と体が揺らされる。
「……あれ?」
「起きろ。実験やるぞ」
白衣の先輩が、俺の顔を覗き込んでいた。
「……そういちさん?」
「な……何寝ぼけてやがるっ」
一気に顔を赤らめた先輩に頭をはたかれて、俺は完全に目を覚ました。
休講になったコマの時間をつぶしに研究室にきて、ついつい居眠りしてしまったのだった。
「ええー……夢か……」
あからさまにがっくりした俺を訝しんで、先輩が眉間に皺を寄せる。
「のんびり寝てる場合かよ。スケジュール詰まってんぞ」
「あー、はい……はああ」
いい夢だったのか悪い夢だったのか分からないけど、せっかく先輩が俺のこと名前で呼んでくれたのになあ。
俺は立ちあがって、大きくため息をついた。
「……なんの夢見てたんだよ」
「先輩が俺のこと名前で呼んでくれる夢です……」
「は?いつも名前で呼んでるだろうが」
「そうじゃなくて、下の名前ですよ」
「下?哲博?」
「……っっ」
俺は息を飲んだ。
小首を傾げた先輩が、俺の名前を口にした。意識とか全然してない、反射で呼んだだけ。
なのに、やっぱり俺は、涙が出るほど嬉しかった。
end.
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構成は私が考えましたが、要素は全ていなこさんからの提供です。夢オチにしてください!というところまでいなこさんのリクエストでした、が。
可哀想すぎかなーとオマケつけちゃいました。
私、割と森永くんに甘いんですよ?みんな気付いてないでしょ!(だがそれ以上に兄さんに甘いので、意味があるかは不明)
いなこさーん!
……萌え、ありますでしょうか。
大丈夫でしょうか。
おねーさんは心配です。
気に入らなかったら返品してください。
そっとお蔵入りにいたします……。
↓
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「先輩?お風呂どうぞ……あれ?」
俺が風呂から上がってリビングに行くと、先輩はソファでうたた寝をしていた。
本を読みながら寝てしまったのか、手から落ちそうなそれをそっと取り上げる。
肩に手を置こうとして、昼間と逆のパターンなことに気付いた。
悪戯心が湧いて、俺は眠る先輩の耳元に口を寄せた。
「起きて、……宗一さん」
小さな声で、大切な名前を呼ぶ。
ん、と身じろぎする先輩がうっすら目を開けた。
「……そういち……」
すき、と聞き取れないほど小さく、耳のそばで想いを吐息に乗せる。
徐々に覚醒したらしい先輩の目がどんどん大きく見開かれて、ぶわあっと音がしそうなくらいに真っ赤になった。
「あ、起きました?お風呂……」
「な、な、なに勝手に呼び捨ててんだてめーーーー!」
「あーーーーっ!」
恥ずかしがりの先輩と、いつか名前で呼び合えたらいい。
これは俺の数ある野望の中の一つだ。
true end.
いらっしゃいませ。
…はげ?(笑)
名前呼びシチュはいろいろなパターンを妄想しては萌え萌えできるスーパーシチュです。今回はちょっと詰め込んでみましたよ。
ありがとうございました♪
いらっしゃいませ!
お久しぶりでーす!
そうですよ名前呼びは萌えですよ!
兄さんはなかなかすらっとは呼べないと思いますが、無自覚なら呼べるかな、とオチつけてみました♪
コメントありがとうございました。