大分間が空いてしまいました!
大正パラレル、第7話でございます。
今回は、途中まで書いてなかなか仕上がらなくて、環さんにお願いして人参を鼻先にぶら下げていただきました。
人参見つつ、うはうは言いながら書きました(単純)。
それでは、追記からどうぞ!
※原作とは一切関係ない妄想文です。
※大正時代をモチーフにした、パラレルSSとなっております。そのため、若干家族構成や生い立ちなどを都合よく捏造しています。あしからずご了承ください。
ログイン |
高永ひなこ先生作「恋する暴君」の感想ブログです。
大分間が空いてしまいました!
【初戀〜嫉妬篇】
夏季休暇が終わり、日常に戻った。
相変わらず、哲博は俺の部屋に入り浸ってはなんやかんやと話しかけてくる。
そして、部屋を名残惜しそうに出る時に、「好きです」と囁いて、くちづけをすることが、日常に加わってしまった。
やめろと言っても、あいつは隙を見て盗んで何度も俺の唇をうば……うば……
「何考えてんだ俺!」
思わず声を上げてしまった。ここは学校の図書室だった。回りから視線を集めてしまった。
「……あいつのせいで……くそっ……」
「よう、巽くん。どうした?顔赤いけど」
「なんでもねえ。……お前誰だっけ」
「磯貝だよ。一級上の。この間研究会で会ったじゃないか」
声をかけてきた男は、呆れたような顔をしていた。興味がないことはほとんど記憶しない性質な俺は、人間の顔と名前を覚えるのが苦手だった。
「あー、そうだっけ」
「ひどいなあ、意見を戦わせた相手を覚えてないなんて」
「興味ない」
俺は声をかけてきた男を置いて、図書館を出た。
「君、成績優秀だし熱心に研究資料を読み込んでいるそうだね。先生が褒めていたよ」
「そうか」
「そうか、って……それも興味ないんだ?」
「他人が下した評価は俺の士気には関わらないからな」
「へえ……君、面白いね」
「面白い?俺が?」
俺のあとをついてくる男は、にやにやと食えない笑みを浮かべている。なんだ、こいつ。胡散臭いな。
「なあ、下宿してるんだろ?今日ちょっとお邪魔しても構わないかな。研究課題について聞いてみたいこともあるし。先生から最新の資料も借りてきたんだ、これなら興味あるだろう?」
最新の資料。それは非常に興味がある。持っている男には一切ないが。
「ふうん。別に、構わんぞ」
「じゃあ、早速行こうか」
なんだかよく分からないまま、そういうことになってしまった。
道すがら、いし…いそ…なんとかが菓子折りを買い求め、ぶらぶらと森永家に向かっていると、向こうから哲博がやって来るのが見えた。何も走って来んでも……そしてすごい形相なのは何故だ。
「そっ、宗一さん、お帰りなさい!」
「おう、ただいま。……客人だ」
「客……?」
俺には見せたこともないような目で、哲博が客人の男を睨む。
「やあ、初めまして。磯貝太一郎と言います。宗一くんと同じ研究会に所属しています。君は?」
「森永哲博です。宗一さんをうちでお預かりしています」
「へえ。下宿先の……。その制服、士官学校生かい?」
「ええ。来年陸軍に入る予定です」
ただの自己紹介なのに、剣呑な雰囲気が漂う。いつも笑っている印象の哲博だが、別の人間になったみたいだ。
「…っ、こんなとこで立ち話もなんだから、行くぞ。えー、い……」
「磯貝だって。君、頭いいのに名前覚えないね……」
「宗一さんを貶すのやめてください!」
俺をかばうように、い…磯貝の前に立つ哲博。これはあれか、牽制してる、というか威嚇か?なんでだ?
「いやあのな……」
「宗一さんはすごい人なんですから。あなたの名前なんかどうでもいいんです」
「その言い分はよく分からんが……ふーん」
磯貝は、胡乱な目を哲博に向けていたが、やがてその目の奥がキラリと光った気がした。途端に、ぞくっと鳥肌が立つ。
「なるほど。そういうこと」
嫌な笑い方をし、磯貝は森永の肩を抱いて引き寄せ、こそこそと耳打ちする。
なんなんだ?一体。
「……だったらなんだっていうんですか!」
俺に背を向けて話す二人の会話はほとんど聞こえない。磯貝の手を振り払う哲博。何を話しているんだろう。
「まあまあ。別に俺は、君たちの……」
「……から、……で、……!」
なんか苛々してきたな。なんで俺は道端でこいつらを待ってなきゃいけないんだ?時間がもったいない。
勝手にしろ、と二人を置いて森永家へと俺は先に入った。
部屋で今日の授業の復習をしていると、暫くして哲博が足音を立てて部屋へやってきた。
「宗一さん!ひどいですっ先に行っちゃうなんて!」
「知るか、お前らが勝手に話し込んだんだろ。……で、あいつは」
「帰ってもらいましたよ!家に知らない奴を上げるの嫌ですから!」
「はあ!?何言ってんだ、俺は資料を見せてもらおうと」
その時、森永の母君が離れまで来て声をかけた。
「宗一さん?お客様ですよ」
「やあ、宗一くん。資料持ってきたよ」
「立派なご学友もできたのね。良かったわ」
母君はそう言って嬉しそうににっこり笑うと、お茶を持って来るわね、と一旦下がって行かれた。
哲博が低い声で唸った。どうしたんだ、ほんとに。
「あんた、卑怯だぞ……」
「なんで君にそんなこと言われなきゃいけないのかな?俺はただ、宗一くんに資料を見せてあげようと思って来ただけだよ」
「そうだぞ、お前もう出てけ」
「!二人っきりなんて、駄目ですってば!それに名前で呼ばないでください!」
俺の苛々は最高潮に達した。なんだこいつ。こんなに面倒くさい奴だったのか。
俺は平手で、哲博の頬を打った。哲博が驚いて、でかい目を丸くさせている。
「正気に戻ったか?」
「ひ…ひど……」
「聞き分けのない子供ははたくもんだろ」
「子供って!」
「まあまあ、二人とも。いいよ、俺は森永くんがここにいても」
「……はあ。めんどくせえ……」
うなだれた哲博を部屋の隅に置いておいて、俺と磯貝は研究資料を見ながら検討を始めた。
母君が茶菓子を持って来て下さり、哲博を見て呆れたように「あなたはお勉強しなくていいの?」と尋ねたが、哲博は「うん…」と小さな声で答えたきり。
哲博のことを犬みたいだ、と今までに何度か思ったが、さっきは番犬みたいで、今は叱られて耳が垂れている子犬のようだ。
日が傾き、灯が必要になってきたので、磯貝は「また学校で」と言い、帰って行った。玄関先まで見送った際、「仲良くな!」とまた胡散臭い笑顔を浮かべていたのが気になった。
「仲良くって……別に喧嘩したわけじゃないがな」
部屋に戻ると、哲博が膝を抱えて恨めしそうに見上げていた。
「宗一さんのばか……」
「バカはお前だろ」
ため息をついて、頭を撫でてやった。すっかり拗ねた大型犬は、それでも機嫌を直さない。
「分かってますよ。でも、嫉妬しちゃうのは仕方ないんです。……好きだから……」
「ほんとにバカだな。俺があいつに惚れるとでも?」
「……俺は?」
「……さあな。別に嫌いじゃないが、惚れてもいない」
第一、惚れるってどんな気持ちなのか、俺にはまだ分からない。分からないものに、答えは出せない。
「宗一さん研究熱心なのに」
そう言うと、哲博は突然俺の手を掴んで引き寄せた。不意打ちか!
「こ、こらっやめろ!」
「もっと、俺のこと考えて。俺で、いっぱいにして」
士官学校で日々鍛練している男の力は、俺では到底叶わず、腕の中から逃げ出せない。耳元に熱い吐息を感じて、顔が火照る。
「宗一さん、好き」
そして、重なる唇。俺の手は震えながらささやかな抵抗を試みるが、しっかりと抱き込まれてしまって動けない。
いつもより長い口づけ。触れては離れ、また触れる。
「や、……んん!」
やめろと言いかけた唇を割って、ぬるっとしたものが口の中に入ってきた。舌!?
「ん、んっ」
舌が触れ合うのなんて初めてだ。こんな、びりびりする、のか……。って何流されてるんだ俺!
「……っ、そういちさん……」
「やめ、ろってば!」
哲博の顔を思いっきり殴った。混乱していたから手加減なしだ。
「いて……」
「お前っ!やめろって言ってるだろ!」
「……ちぇー」
渋々、俺を離した哲博は、それでも手を握る。面倒くさいし鬱陶しい。
「宗一さんが俺のものにならないかな……」
「なるか」
手を振って哲博から離れると、苦笑いをしてやっと立ちあがった。
「今は、それでいいですよ。でも、いつか……」
頬に、また口づけを落とされた。機嫌が直ったのか、正気に戻ったのか。
いつもの笑顔がそこにあった。
今日、いろんな表情を見せた哲博の顔の中で、やっぱりこの顔が一番好きだなと思った。
(続)
--------------------
もうだいぶ絆されてます(*´▽`*)ニヤニヤ
そしていちゃいちゃし始めて、なかなか終わってくれませんでした…
さあ、そして!環さんに描いていただいた豪華な3ショット……!すごいでしょう??
磯貝さんまでは、さすがにワガママが過ぎるかなと思ったんですが、凄腕絵師さんはさらりと「いいよ」と言ってくださったのでした。→環さんち
私、人参さんより先に仕上げて環さんに見せよーっと♪とか思ってたら、環さんから「人参、参上!」ってタイトルでメールが届きました……早い……そして萌える……
環さんの素敵な人参のおかげで書けました!
ありがとうございましたー!!!
性 別 | 女性 |
誕生日 | 12月14日 |
地 域 | 東京都 |
職 業 | その他 |
血液型 | A型 |
いまだにおよそ様に自分の絵があることに慣れないのですが、
少しでもsyuyuさんの力になれたのなら嬉しいです♪
そしてやっぱりワンコ森永くんが可愛い。
何度読んでも萌えてしまう〜ww
今後の三人のやり取りがとても楽しみです♪
宗一さんの心はどう動いていくんでしょうね〜わくわく。
次回は人参と鞭とロウソク持って参上しますね(笑)
こちらこそありがとうございました〜!
いらっしゃいませ!
もう、こんなワガママに付き合ってくださるなんて、環さんほんと優しいんですから…
わんこな森永くんや残念な森永くんは書いててとっても楽しいです!ブラックは難しい。磯貝さんのブラックさはまた毛色が違いますので、こちらは楽しいです。
次回は人参と鞭…の他にロウソクも!増えてる(笑)
ぜひぜひまたよろしくお願いいたします。
ありがとうございました!
この度は環さんとの素敵コラボおめでとうございま〜す♪
凄い良かったです!
やきもち焼きの森永君めちゃめちゃワンコだった〜!
兄さんは本当の気持ちに気付かないながらも
意識していてやっぱり可愛いですね。
そして、磯貝さんが登場でびっくりしました!
胡散臭さが最高ですね☆
syuyuさん、もしや「環さんが描く」って
だけで書けちゃうのかも…
って思ってしまいました。
でもあの素敵な人参イラストと凄くピッタリで素敵でした〜(*^▽^*)
お二人共仕事早くて職人ですね!
続きもとても楽しみです!
頑張って下さいね!
お邪魔しました。ありがとうございました♪
私も宗一さんの袴姿を愛でたい…ハア…
続きが楽しみです〜。
森永君は嫉妬深いですからね!でも兄さんに叱られて
ワンコになっちゃうのが可愛いですv
磯貝さんも登場して続きが益々楽しみですね!
期待してますv
ひさびさの大正物。
森がまあ大人気なくていいね。で、磯貝さん2割り増しで腹黒そうですき!すき!!!(環さんところでも吼えた。)
次はいつかね?
いつかね??
いらっしゃいませ!
安心のぴゅあさでお送りしております大正暴君。え、別に本編がぴゅあじゃないって訳じゃないですが(笑)。CD4の作品紹介文にも「一途で健気な後輩」って森永君のこと書かれていたし。
によによありがとうございました(^^)
いらっしゃいませ♪
ゆずるさんとメールやりとりしてる脇でこんなことやってました(笑)。
そうなんですよ、最初特に誰と決めずに、兄さんが顔を赤くしているのを説明するために出した人だったんですが、あ、これ磯貝さんだったら面白いかも…と、ご登場願いました。研究者って感じしないけどまあいいや←
環さんが描く、それこそが人参。確かにそうかもしれません。でも環さんに限りませんきっと。
他の方とコラボする、っていうのがモチベーションに繋がるのです(ごごごご)。
続きもがんばりまーす。
ありがとうございました!
いらっしゃいませ♪
かああああっ、な兄さんは可愛いですよね!絆されてまくってます…
まだちゅー止まりな二人ですが、温かく見守ってくださいませ。
ありがとうございました!
いらっしゃいませ!
磯貝さんを出したのは予定になかったんですけど、森永くんが嫉妬してくれたので良かったと思いました(結果おーらい)。
わんこ森永くん大好きー。きっと兄さんもそんな森永くんが好きなはず。多分。
ありがとうございました(^^)
いらっしゃいませ♪
えへへ、すみません続き物で…(^^;)。二人がちゃんとくっつくまで書くつもりです。
萌えポイント、分かっていただけました〜!嬉しい♪
私、ちゅう好きなので、森永くんにいっぱいしてもらってます(兄さんにね)。
ありがとうございました!
いらっしゃいませ!
お待たせしてすみませんでし…た…。でも先月いろいろあったし(ごにょごにょ)。KIMさんみたいに毎日書けなくてほんますんません…。
磯貝さんの腹黒さ?は書いてて楽しいっす!きっと良い仕事をしてくれるはず。
次、ね。次はね…●●●だっ。夏って短いから季節モノは急がないと!(笑)
ありがとうございました♪
待ってましたよ〜!!
磯貝さん、す・て・き!
もっともっと哲博の心をかき乱してほしいものです。(笑)
ほだされ宗一さんの可愛さは、言うまでもないですが、
そんなに唇奪われてんのかこのやろーー!(笑)です。
環さんのイラストも素敵。(〃▽〃)ポッ
続き、たのしみにしています。
ありがとうございました♪
ジャンピング土下座!!!お返事遅くなって申し訳ございません!!!
かくなる上は腹を切ってお詫びいたす!!!←誰
磯貝さん、好評〜♪次回も出てもらおうっかな…
森永くんは宗一兄さんの唇を奪いまくっているようで、意識しまくりです(^▽^)。
可愛い兄さんを書けるように頑張りますね。
環さんのイラストは最高の人参でございました…。いのさんにもリクしたい…。
でも今実家で…帰ったら必ず…!
コメントありがとうございました。
やった!大正暴君。磯貝さん登場で、森永くん嫉妬でモヤモヤですね(^w^)
かわいい〜
兄さんはまだまだかぁ。でもジワジワと森永くんに傾いていく兄さんを見守るのもグッドです。
イラストも素敵ぃ!もへへ〜
コラボは二倍楽しめますんで非常に嬉しいです。
ありがたやありがたやー
続き楽しみです!
ありがとうございました!
こんにちは〜(^_^)
大正暴君コラボ!
素敵です〜♪
このシリーズ大好きです〜。
ちゅうがドキドキしました!
ワンコの森永君は可愛いし、
兄さんは相変わらず可愛いし。
もう、この二人、どうしてくれようぞ!
磯貝さんが、また、掻き回して
くれるのかしら?
続きが楽しみです〜♪
別記事のオフレポも楽しく拝見しました〜。
syuyuさんの行動力がうらやまです!
ありがとうございました〜。
いらっしゃいませ!(再)
森永くんの嫉妬は分かりやすいですから、書いてて楽しいです(笑)。兄さんの分かりにくい嫉妬も可愛いけど(^^)
兄さんをどうやって自覚させるか、は難しいですねえ。案はあれども、ほんとにうまくいくのかなと思っているところです。
ふふ、次のコラボもお楽しみにです!特にイラストに注目です!
コメントありがとうございました♪
いらっしゃいませ♪
読んでくださってありがとうございます〜(^^)。大正暴君もちゅうが日常に…好きなんです、こういうの…。好き勝手書いててすみません、と思いながらも筆は止まらずいちゃいちゃさせてしまうという(笑)。
磯貝兄さんの出番、次はいつかなー。楽しくかき回してほしいと思います。
オフレポにもコメントありがとうございます。なかなかお会いできない方と会えるという楽しみを知ってしまって、ナンパしまくりです(笑)。
ミナトさんともお会いしたいんですけどね…お忙しそうで…うう。でももしお時間あったらぜひ。
ありがとうございました!