ええと、あまりにも時期を逸してしまっているのでアレなんですけど、途中まで書いていたので恥ずかしげもなくアップしますよ〜。
先日お泊まりした友人宅で使っているシャンプーが「なんとかさすーん」でした。
兄さんの匂い!ハアハア!と遠慮せず髪を洗い、サラサラ感を味わいましたよ(笑)。その辺りも妄想に盛り込んでみました!
※以下は原作と関係ない妄想文です。
※一応、ホワイトデーの日のことなんですけど、そんなの関係なく読んでいただいても全く問題ございません(笑)。きっといつも二人はこんな感じ…
【cup of coffee】
「先輩、コーヒーいれましたよ」
「先輩、灰皿変えますね」
「先輩、肩揉みましょうか」
「先輩、寒くないですか?これ着てください」
「先輩、先輩、せんぱ……」
「あーうっさい!」
森永はその日、朝から宗一にまとわりついて離れなかった。
何やかやと世話を焼くのはいつものことだが、あまりにもそれが細やか過ぎて、宗一は苛立ち始め、ついに声を荒げてしまった。
「何なんだ朝から!嫌がらせか!」
「え、何ってお返し?」
「やっぱり嫌がらせか!俺なんかしたかよ?」
「やだなあ、忘れちゃったんですか?」
つつつ、と近づいて、森永は宗一の手を取って握りしめた。
「1ヶ月前、素敵なプレゼントくれたじゃないですか」
「はあ!?なんのことだ?離せ!」
「真っ赤ですよ、先輩」
「は、離せってば!」
手を振り払い、宗一は森永から離れた。
「出かけてくる!」
「えっどこに?一緒に行き…」
「お前はついてくんな!」
「ええーっ?せめてどこに行くか教えてください」
「教えねえ」
ぎろり、と睨まれ、森永は黙った。どこに行くか考えてないくせに…と思ったが、口には出さなかった。
「何時に帰って来ますか?」
「知らねえ」
「ご飯は…」
「うっさい!じゃあな!」
何を言っても取り合ってくれない宗一が荷物を持って出て行くのを、玄関まで見送って、森永はしばらくしゅん、とうなだれていたが、やがてキッチンに戻って早めに食事の準備を始めた。
宗一が帰ってきたら、すぐに食事が出来るように準備をして、心当たりを探しに行くつもりだった。
「もしもし、かなこちゃん?森永です」
とりあえずは松田家、と森永は一時間ほどしてからかなこに電話をかけた。
『あっ森永さん!昨日はホワイトデーのプレゼントありがとう♪とっても美味しかった』
「そう、良かった。ねえ、先輩そっちに行ってる?」
『兄さん?ううん、来てないよ。どうしたの、また喧嘩…?』
かなこが心配そうな声で訊いてくる。
「あ、いや…喧嘩じゃないよ。そっか、行ってないならいいんだ。ありがとうね。松田さんにもよろしくね」
『携帯は?出ないの?ごめんね、また兄さんが迷惑かけてるんでしょ?』
「違う違う、俺が悪いんだ。行き先を聞くの忘れちゃったから」
『もう、兄さんたら!森永さんに心配ばかりかけて、ほんとにすみません』
かなこの口調が母親みたいで、森永はつい噴き出してしまう。
「大丈夫だよ、先輩もう大人だし。じゃあ、またね」
『うん、またね〜。私も兄さんに連絡してみるね』
「ありがとう」
かなこにいらぬ心配をさせてしまったな、と少し反省したが、もしこの後松田家に宗一が現れたら、かなこから連絡があるだろう。森永はとりあえず大学に行ってみることにした。
宗一は、当てもなくぶらぶらと駅前まで来ていた。大学に行くと、森永に見つかってしまいそうだったので、本屋をじっくり覗いたあとは普段は行かない駅の反対側、しかも裏通りを歩いてみる。
数件の飲食店がある通りを過ぎると、すぐに住宅街になってしまったので、違う道を通って駅の方へ戻る。すると、表通りから少し入ったところに古びた喫茶店を見つけた。今どきのコーヒースタンドは禁煙のところが多いので、昔ながらの喫茶店の方が落ち着けるかもしれない、と宗一にしては珍しく入ったことのない店に足を向けた。
重い木製の扉を開けると、カウベルの音がして、カウンターの中の蝶ネクタイ姿のマスターが「いらっしゃいませ」と迎えた。店員は彼だけで、客もいない。BGMはボリュームを小さく絞ったジャズ。片隅の暖炉、サイフォン、年代物のインテリア。時が止まっているようだ、と宗一は思った。
宗一は窓際のテーブルについて、「コーヒーを」とオーダーした。
「本日のブレンドでよろしいですか?」
メニューにはいろいろな豆の種類があるのだろうが、別にこだわりなどない宗一にはそれで十分だった。
「かしこまりました」
宗一が荷物から本を取り出し、読み始めてしばらく経った頃、これもアンティークのようなカップとソーサーに入ったコーヒーが運ばれてきた。
「お待たせいたしました」
「ああ、どうも」
一口飲んで、いつもと違う香りが鼻をくすぐる。普段はコーヒーサーバーで淹れているし、豆なんかも違うんだろうな、と思う。
本を読みながら、時折コーヒーを口に運び、無くなるとそのまま本に没頭した。
ふと気付くと、店に入ってから1時間ほど経っている。
水のグラスは時折そっと替えられていたが、ほとんど気にならなかった。宗一は居心地のいいこの店がすっかり気に入ってしまった。さっきまで、森永がうるさくまとわりついていた反動か、この静けさがとても落ち着く。
「コーヒー、お代わりをください」
「かしこまりました」
追加注文をして、少し窓の外を眺めてみた。
あまり人通りも多くないし、ここは穴場だな、と自分の発見に自画自賛をした。
すると、店の前を見覚えのある長身が行き過ぎた。慌てて目を逸らしたが、人影は窓に寄って来る。
「ちっ、見つかったか…」
「先輩♪こんなとこにいたんですか」
せっかくの静寂が、カウベルの音と共に破られた。
「大学中探し回ったんですよ!かなこちゃんに電話しても来てないって言われるし、もうヤケクソであちこち歩き回って…」
「いらっしゃいませ、ご注文は?」
宗一の向かい側に座った森永がまくし立てるのを、水を出しに来たマスターがさらりと遮った。
「あ、えーっと…こちらと同じもので」
「ブレンドですね、かしこまりました」
森永が宗一に向き直ると、不機嫌そうに本に目を落としている。
「…先輩?」
「せっかく静かに読書してたのに」
ため息と共に、本を閉じた宗一の元へ、先程頼んでいたコーヒーが出された。
「お待たせいたしました。後のお客様は、もう少々お待ちください」
一杯ずつ、丁寧にドリップされたコーヒーは、一杯目と同じく芳しい香りがした。
「ご、ごめんなさい。携帯も通じなかったし、心配で…」
「…いいよ、別に。ったく、お前じゃねえんだから、どっか行ったりしねえって」
そう言いながら、コーヒーを一口飲んだ。
「…ん?あれ?」
宗一は、カウンターのマスターを見た。
「どうかなさいましたか?」
「いや…、さっきのと、ちょっと違う気がするんだが」
「いいえ、先程と同じブレンドですよ」
「ふうん…?さっきより、美味いような、気が…」
もう一口。やっぱり、一杯目よりずっと味が深い気がする。
「さすが、プロが淹れたコーヒーって違いますよね。俺も今度ドリップで淹れてみようかな」
森永のところにもコーヒーが運ばれてきて、にこにこしながらコーヒーを飲んでいる。
静かで、落ち着いていて、心地いい店。同じブレンドのコーヒー。
さっきと違うのは、森永がいることだった。
それから、特に会話もなく、コーヒーをのんびり飲んで、本を読み終わると、宗一は「帰るぞ」と森永を促して店を出た。
もう間もなく、陽は傾き、夕方になる時間だった。
「先輩、いいお店見つけましたね」
「そうだな。静かだし、コーヒーも美味いし」
「また来ましょうね。今度、別のも飲んでみたいな」
大学と違う帰り道、いつもと違う風景。でも、森永がいつものようにそばにいること。それでいいのかもな、と宗一はちょっと思う。
普通であって、特別なような。特別であって、そうでないような…。
日常とは、そういうものなのかもしれない。
*****オマケ*****
アパートに帰ると、森永は風呂を入れた。歩いているうちにどんどん気温が下がって、体が冷えてしまっていたからだ。
「先輩、先に入ってください」
「おう、サンキュー。ちょっと冷えちまった」
少し長めに風呂に入って、浴室を出た宗一は、洗面所でにこにことドライヤーとブラシを持って待っていた森永を見て、もう一度浴室に戻ってしまった。
「バカ!出てけ!」
「髪、乾かしますから〜」
「はあ!?何言ってんだ、自分でやるっつーの!」
「じゃあ着替えたら呼んでください」
「いらん!お前が触るとろくなことにならない!」
「ええー。いいじゃないですか、ホワイトデーのお返しにさせてくれたって!別に×××しろって言ってるわけじゃないんですから」
「ば、バカ!何言ってんだ、そんなことするわけないだろ!!!」
「うん、だからね、髪いじらせてください」
「何が『だから』だ!早く出てけよっ」
「じゃあ俺も風呂に入ろうっと」
「やめろっ入ってくんな!」
「えー。せめてどっちかにしてくださいよ。それにそのままじゃ風邪ひいちゃいますよ」
「くそ…っ」
そうして、森永は宗一のグルーミング権を手に入れた。
髪、サラサラですね〜、だの、いい匂い、だの、鳥肌が立つようなセリフで宗一の気力を少しずつ奪い、時々確信犯的に頭皮を擽り、最後に髪にキスをする森永が鏡に映ったのを見てしまって、宗一はぐったりと疲れ果てた。
ホワイトデーなんてろくな日じゃねえな!
来年は絶対バレンタインになんもしてやらねえ!
もちろん、そんな決意は森永からのバレンタインの贈り物で無意味となるのだが、宗一はそんなことは全く気付いてないのであった。
end.
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森永くんの宗一さんセンサーが発動しました。ということにしておいてください(笑)。
森永くんがバレンタインのお返しに何がいい?と聞いたら「もりなが…」と寝言で答えた、ということで書き始めたネタでしたが、単なる日常話でも何ら問題ないレベルですね。失礼しました。
日常的にいちゃいちゃしてればいいよ…!
オシャレなカフェもいいけど、古い喫茶店、好きです!ぼんやり一人でいるのもいいし、お友達とまったりお喋りもいいですよね。
仲良く喧嘩してる(?)二人がなんかいいですね!兄さんに纏わり付いて離れない森永君、そんな森永君を鬱陶しいと言いながら内心喜んでる兄さんでいて欲しいです。
雰囲気のある喫茶店・・・まったりお茶したいです♪
Q州オフに参加嬉しいです!お会い出来るのを楽しみにしてますv
ありがとうございました!
いらっしゃいませ!
まちさん、コメントお早い…。嬉しいです(^^)
仲良く喧嘩、ト●とジェ●ーみたい?あれもなかなかいいBL だと思います。追いかけっこしてるけど、それが楽しいんだろうなーって。
ほんとは口喧嘩でもかなわない…っていう展開が原作通りなんでしょうけど、どうしても髪を乾かす森永くんを書きたかったので、兄さんに折れてもらいました。妄想なんて都合のいいものですからw
コーヒー飲みたくなってきちまったな…Q州オフでお茶できるといいですね♪楽しみにしています。
ありがとうございました!
確かに、森永君はちょっとうざい時がありますよね…(苦笑)
人にまとわりつかれるのが苦手な私だったら「ほっといてくんない?」と冷たい一瞥をくれてやりますね、きっと!
一見、迷惑そうな宗一兄さんだけど、森永君と一緒が当たり前で、特別なんて。
本当にお似合いな二人です♪
サスーンクオリティの宗一兄さんの髪を独占する森永君が心底羨ましい〜♪
ほのぼの日常シチュをありがとうございました!
も、森永君、ウザい!!
なのに、それから逃れたくて出かけても
結局、捕まってしまうのですね。(。>皿<。)
でも、いいんです。
兄さんが、二人で飲むコーヒーが「旨い」と思うなら、それで。(泣)
いちゃこらしてればいいさ!(笑)
名古屋は喫茶店だらけですから、
森永君には内緒の
兄さんお気に入りの「秘密」の店がひとつくらいあってもいいですよね♪
ありがとうございました。
いらっしゃいませ!
森永くんはウザくて面倒くさくて、でもそういうところも兄さんはなんだかんだ言って受け入れてますよね。ほんと、家族みたい(笑)。
私、どうもこういうケンカップルが好きみたいなんです。そして周りからは「あーまたいちゃついてるよ……」と呆れられるという。
兄さん、そういえば髪の毛まだかなこちゃんに切ってもらってるのかな?気になりますね!
また日常シチュ妄想ができたら書きますね。
ありがとうございました!
いらっしゃいませ!
そうか、名古屋は喫茶店天国だった……忘れてました。兄さんだけの癒やしの空間作ってあげなきゃ可哀想だったかな?(^_^;)
あまり森永くんをいじめると、つい可哀想になっちゃって、甘やかしてしまいます(笑)。
多分兄さんは、普段飲んでるコーヒーも森永くんが入れてくれたり一緒にいるなら美味いと思うんですよね……って私どんだけ森永くんに甘いんだ(笑)。兄さんばりに甘やかしてますね。
コメントありがとうございました!
↑無茶な名前ですみません(笑)
私もレトロな感じの喫茶店大好きです。
そしてなぜかナポリタンが美味しいイメージです(笑)
ちょっと薄暗いオレンジの照明で
落ち着いてゆっくりコーヒーを飲む二人ってきっと絵になるだろうな。
二人で飲むのが一番美味しいだなんて
妬けますね。でもいいの、ふふふ。
素敵です。ありがとうございました〜。
追伸、信州にも是非来て下さいね〜。
いらっしゃいませ!いいお名前ですね♪
ナポリタン、いいですね〜。私はサンドイッチかな…。
あんまり会話がなくても、森永くんはじーっと兄さんを見てにこにこしてるイメージです。
兄さんはあまり自覚なしで、単に比較検討した結果「森永がいるかいないか」って判断したと思います!(笑)
もう最近こういうの大好きで…。
長野、ぜひ行きたいです。新宿からあずさに乗って行きますよ〜(って合ってますか?)
コメントありがとうございました!
ホワイトデーSSお待ちしてました!
レトロな雰囲気の静かなお店。いいですよね〜。
時間を忘れてくつろげます。
もう、ずっと喫茶店なんて行ってないな〜
タリーズやドトールに入る事はありますが。
兄さんの髪はホント触りたいっす。
でも、森永君だけしかダメなんですよね〜
ちくしょ〜!
ほんわかSSありがとうございました♪
リンクのつくねさんのブログにも
お邪魔してきました〜。
素敵ですね〜♪
また、ひとつブクマが増えて嬉しいです!
いらっしゃいませ!お待たせしました(汗)。待っててくださってありがとうございます。
コーヒースタンドもいいんですけど、じっくり腰をおちつけて…ってなると喫茶店に行きたくなりますね。
兄さん、意識しちゃって真っ赤になってるんだろうなーと想像するとかわいくて悶えます。森永くん…やっぱもうちょっと苛めればよかった…
つくねさんのブログ、いいでしょう♪
高校生だったので、ご紹介するのをちょっと待って(私が勝手に、ですが)満を持しての登場です。
高永先生の原作のパワーがあってのことですね。
コメントありがとうございました!
すみません…
W.Dのコメントページを見失ってしまって…
ここで大丈夫かな?
syuyuさんのW.DのSS良かったです〜(*^^*)
syuyuさんていつもお話の光景とか状況とか詳しく表現されてて凄いですね〜!
落ち着きある素敵な喫茶店いいですね〜!
兄さんてそう言う所が本当に似合いますよね♪
森永君がワンコみたいにパタパタして可愛かったです〜(^^)
「先輩!先輩!先輩〜♪」って感じ嫌いじゃないです。
(兄さんめっちゃウザそうだったけど…)
何か年配(?)なお店のマスターも素敵でした。
森永君、やっぱり兄さんを見つけて凄いですね!愛の力…あ…センサーですか?
森永君と一緒だと何でも美味しくなるんですね!
森永君といれば楽しくて、嬉しいくて、幸せで…
全てが相乗効果♪
って事ですね。
相変わらず、変文なまとめですみませんm(__)m
素敵なお話ありがとうございました♪
コメントいっぱいありがとうございます!
携帯からだとコメント欄結構分かりにくいですね…。今のデザインのものだと「一言」をクリックするとコメントできるようになってますね。分かりにくくてすみません(><)
状況描写しとかないと、なんかこう落ち着かないんですよ。効果的な描写がもっとできればいいんですけど。
わんこ森永くんはほんとに可愛いです!きゅんきゅんします。わんこだけじゃ萌えないんです。兄さんのツンツンちょいデレがあってこその萌えです。
多分、兄さんと森永くんはもう通じ合っていると思うので(自覚なくても)、センサービンビンなんですよ、きっと♪
乙女兄さんなら、コーヒーが美味しい→森永がいるからだ→かああああ だと思うんですが、今ちょっと乙女兄さん妄想お休み中なんで(笑)、なんとなく匂わせる程度でおしまいでした。
しばらく森永くんをいじって遊ぼうと思いますw
ありがとうございました!
もう〜日常いちゃラブ大好きですv
ずっと痴話喧嘩してればいい!(´∀`*)
森永くんの兄さんセンサーはさすがですね!
ちょっと恐いくらいw(笑)
でも何だかんだ言って兄さんにとって森永くんが居ることが心地良いんですよね〜。
ふふふ。顔がニヤけますv
素敵なSSありがとうございました〜。
オフ会でお会い出来るのも楽しみにしています♪(*゚∀゚)
いらっしゃいませ♪
痴話喧嘩は犬も食いませんからね〜。いいですよね、日常いちゃいちゃ♪
恋をしている時って、何故かセンサー働きません?声がしたわけでもないのに、見ると相手がいたりとか。痛いっちゃ痛いですけどね(汗)
森永くんのセンサーは強力そうです。確かに怖いw
まんざらでもない兄さん、素直になればいいのに!
九州でお会いしましょうね〜!(関東に住んでいるのに、岡山や福岡で会うって…)