「熱い!!」
優姫はお湯の熱さに身体が反射した。零はクスリと笑う。
「こんな温度も入れないのかよ。ばーか」
「なによ!!これは熱すぎ!心臓に悪いよ!!」
優姫は怒って水を入れた。零は無理やりそれを止める。
「適温なんだ!水なんて入れんな!」
「なんでよ!こんな熱かったらあたし入れないよ!」
「入らなければ?」
バスタオルを巻いた優姫は顔を真っ赤にした。その反応に零は苦笑いする。零の筋肉はお湯に溶け込むように、色っぽい。
銀色の髪は水気を含み艶やかで。少し火照った顔で笑う。かっこよすぎでしょが…
極め付きで零は両手を差し出し『入れよ』、と言った。
負け
あなたに負け
お湯が一気に溢れだし、肌の温もりとお湯の温度で顔は真っ赤なゆでダコ。
零の身体に身を任せる。ゆっくり剥ぎ取られたバスタオルは零が床に落とした。水気を含み、少し低音の音さえ耳をつく。
「お前…やっぱり貧乳だな」
その発言に優姫は顔面に平手打ちした。水渋きが飛ぶ。
「
お前…ふざけやがって
」
「ふんだ、こう見えて悩んでるの!!」
優姫はふてくされた。そんなの承知で言ったんだ。
「ばーか…ふてってんじゃねーよ」
優姫を後ろから抱きしめる。水の音は荒々しいリズムを踏むように。勢い余って意地悪の平謝りにほっぺにキスを落とす。
「零って結構…大胆だよね…」
優姫はいつもの笑顔を向けた。零も目を細めた。
「こっち向けよ、ちゃんと抱きしめてやるよ」
「えへへ…じゃあお願いしますぅ〜」
重ねた身体は吸い付くように。まるで一つだったみたいに。人肌でちょうど良い温かさなお湯。零の胸の中はとても温かい。
「やっと手にいれた…」
ボソッと言った零の一言をあたしは聞き逃さなかった。
fin