「優姫何やってんだよ」
「零を見ているの」
「あっち行けよ」
「一緒に花見に行ったらね」
零は優姫の好感条件にため息を洩らした。しつこく自分の腕に手を絡めたままで聞いてきた。
俺は数学をやってんだ!お前がいたら集中すらできない!
「あっちまじで行けよ!数学のテストでこの俺が赤点とったんだって!」
「あたしなんかいつもだよ!!そうやって眉間にしわ寄せるから運も逃げるんだよ!」
「なんだと??!」
ベッーと優姫は舌をだし部屋に戻ってった。本当は一緒にいるのはとても好きなのに、素直になれない。
隣にいて欲しくても口にだしては言えない。
「はぁ…」
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「なによ、零のばか!花見なんか時期を逃したら行けないじゃん!」
ぷくっと膨れた優姫は自室のベッドに横たわる。零が嫌がるのはわかるけど…
赤点とったぐらいでなによ(おいこら優姫 by管理人)
すうーと空気を吸い優姫は腹から声をだした。
「零のば〜かかかかか!!」
零の部屋にもその優姫の叫びは響き渡る。あまりの大きな声に苦笑いしてしまった。
……花見しなくたって窓から見えるだろ…
隣の木々は桜の木。窓を開けたら桜の花も入ってくるくらいだ。
…なのに、俺と花見か…あいつらしい。
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「おい、優姫!!」
「なによ!!」
優姫の部屋にずかずか零は入ってきた。
「勝手に入らないでよ!」
零は入ってくるや否や優姫の部屋の窓を開けた。カーテンは風で舞う。瞬間、桜の花びらも風に乗って入ってきた。
零の手には、ジュースとお菓子。
「花見は外でも中でも一緒だろ」
零はずかっと座りジュースをコップに注ぐ。お菓子を食べ始めた。
「あたしも食べる!」
お菓子を食べながら、零と花見。あたしの思い描いた花見と違うけれど、でも
一緒にいることが。
それが…―――――
それがあたしの願いなんだ。
fin