スポンサーサイト



この広告は30日以上更新がないブログに表示されます。

赤い涙が落ちる時19

目が覚めた

いつもの朝だ

いつものようにベッドから起きる

いつものように台所に立って朝のコーヒーを飲む

いつも
いつも



この「いつも」を

もう彼は出来ないのだ


「あなた?」

「ん?」


コーヒーを飲んでる手前、こんな返事しか出来ない



「今朝は早いのね」

「今日はあれだ…」

言葉を探るように目をぐるりとさせた

「…命日だ」

「あぁそうね 本当の命日とは三日もずれてるから忘れてたわ」

「だろうな」

俺は

妻の杏奈にニヤリとした




「…パパ?」


子供が階段の上段で寝ぼけ眼のまま
こちらを見ている


「おぉ 珍しいな 京助が早起きしてる」


「おいで京助 どうしたの?こんな早くに まだ4時よ?」


「変な夢見た」


「「どんな?」」


二人揃って訊いた



「ん…覚えてない」


二人は何を期待したのか

どちらにしろ期待外れの答えに
みんなしてほくそ笑んだ



今日は京助の命日


そう



二回目の命日だ




「さぁ、京助、今日はパパとお友達のお墓にいこうね」


杏菜はニコやかに京助に言った


「パパ、」

「…ん」

「命日ってなに?」


俺は京助を抱き上げて膝に乗せた


「大親友の…死んだ日だ」

「まだ、親友って言ってくれるの?」

「え…?」

「大親友ってお友達のこと?」

「あ、あぁ」


今、一瞬京助の声が京助と重なった…?


「あぁ、一番大好きな友達…かな」


そう言うと京助は泣き始めた


「京助?」

「わかんないよぉ…なんで涙がでるの…うっ…ひく…」


俺は小さな京助を抱き締めた


力一杯抱き締めた

続きを読む
前の記事へ 次の記事へ