絵が
描けなくなって
泣いた
専門学校に入学して
一ヶ月が過ぎた
気が合う友達も出来たし
一人暮らしも慣れた
絵の技術を学べる
そう意気揚々と過ごしていた
そしたらいきなり
描けなくなった
座イスに体育座りして
膝の上にバインダと紙を置く
最近の作画姿勢だ
今日はそのまま硬直
描けないでいた
そして声に出して
いろいろ考えてみた
「スランプ?」
「いやスランプなんて思い込みも自惚れだ」
「描きたいものを描けば良い」
「でももし私が美人だと思う人を描いても審査員はブスだと思うかもしれない」
「それがなんだ描けばいい」
「それじゃただの自己満足じゃないか」
「自己満足の何がわるい 自分で納得しなければ果てがない その時の全力を出して描き上げて自己満足した後 ここをもっとこうすれば良かったと向上心を持てば良い」
そう その時の全力
私はある展示会に応募した
結果は選外
それはもう落胆した
私はそれを全力で描いた
じゃあ次はそれ以上の力で
人に認めて貰うには
まず自分が認めないと意味がない
自分が認めないで人が認めた作品なんかそんなの自分自身を認められたとは言えない
自分が認めて
他人も認める
それが1番良い作品なんだ
専門学校で描いていると
自分の画風を忘れそうでいた
認められたいがために
急いて認められそうな絵を演じた
「あと一枚描いたら寝よう」
そう思って描いた絵はいつもどおり
私の絵だった
見失いかけた私の絵
まずは自分が今まで積み上げて来た感性を大事にしなきゃいけなかったんだ
次の展示会では
描いていて飽きない絵を
見ていて飽きない絵を
全力で描く