それは、雪が降りそうな寒空の日
あの人と出会った
俺は走っていた
肌が切れそうな寒い空気の中
片手には油性ペン
俺の頭の中には悪戯でいっぱいだ
「今日はあのおばさんの猫を落書きしてやろ!」
おばさんの猫とは
いつものうのうと塀の上で座っている丸々と太った猫だ
おばさんが可愛がっていて、あの猫の事になったら癇癪を起こして騒ぎ散らす
それが面白かった
「みっけ!」
猫を見つけ場所を確認
それから塀をよじ登る
「うごくなよー」
塀をよじ登っているといきなり後ろから声が聞こえた
「…何をしているの?」
「へ?…わぁぁあ」
そのまま塀から落ちてしまった
「大丈夫?」
心配そうに俺をみるその人に恥ずかしくなって真っ赤になる
「こらぁ!まぁたアンタかい!!」
「げっ!」
癇癪を起こしたおばさんが走ってくる
俺は急いでいたからかその人の手を掴んで走り出していた
作飛鳥