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紅のヴァイオリン弾き3


握ったその手は
ビックリする程綺麗て細かった


だから馬鹿力の俺も力いっぱい握るのを躊躇った


壊れそうに
そして怖い程

冷たかったから






「手」

「へ?」


「握ったままで良いの?」


立ち止まった堤防の下で落ち着いた頃
その子に訊かれた


最初意味が分からなかったが
直ぐ手を離そうとした


「あっ…ご…ごめん」


けどその手は離れなかった


「?」

「良い」


「??」







「そのままで良い」

「え」


たいして強くも無い力に 俺は抵抗出来なかった




「あなたの手」

「…」


「温かいから」



その子は


ゆっくりと微笑んだ






思い立ったら即行動

そんな俺は





その手を絡め

その子の赤髪をフワリと包み





その子に
キスをした


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紅のバイオリン弾き2

それは、雪が降りそうな寒空の日


あの人と出会った


俺は走っていた


肌が切れそうな寒い空気の中


片手には油性ペン


俺の頭の中には悪戯でいっぱいだ


「今日はあのおばさんの猫を落書きしてやろ!」


おばさんの猫とは


いつものうのうと塀の上で座っている丸々と太った猫だ


おばさんが可愛がっていて、あの猫の事になったら癇癪を起こして騒ぎ散らす


それが面白かった


「みっけ!」


猫を見つけ場所を確認


それから塀をよじ登る


「うごくなよー」


塀をよじ登っているといきなり後ろから声が聞こえた


「…何をしているの?」

「へ?…わぁぁあ」


そのまま塀から落ちてしまった


「大丈夫?」


心配そうに俺をみるその人に恥ずかしくなって真っ赤になる


「こらぁ!まぁたアンタかい!!」

「げっ!」


癇癪を起こしたおばさんが走ってくる


俺は急いでいたからかその人の手を掴んで走り出していた


作飛鳥
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紅のヴァイオリン弾き



今日の夜は良く冷える


当たり前だ

冬だもの


僕は白い息を吐きながらほくそ笑んだ


鼻の頭が赤くなる


指が悴む





そうなると





必ず
あの頃を思い出す




思い出す




あの人を






長い
ウェーブのかかった
紅い 赤髪を





振り向く






あの笑顔







鼻水が垂れてきた
さっさと目的地に行かなければ



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飛鳥とリレー小説

を します


一応音楽関係にしたいです


前も個人的メールでしたけど楽しかったょ


今回ばかりは急な展開まじ勘弁


では始まり始まり


M.Ravel ラヴェル Fine

その曲を弾いたのはエマのため




記憶を取り戻してすでに何年も経っていた


あれから君には
エマには会えてない

それでも僕は弾き続け今終わった

その時

また

君に会えてた



僕は背後に拍手とアンコールの歓声を浴びながら

君のもとへ走っていった




黒いピアノを後にし

向かってくる眩いばかりの赤いドレスに身を包んだ

エマに


走っていった



―あの頃―


―君を思って―


―書いた曲―



それを今日君だけのために弾いた



水と戯れる君を思って



ラヴェル
〈水の戯れ〉




君が僕の名前を呼んだ








「ラヴェル!!」





僕らは人目など気にせず


会えなかった永い年月を埋めるように


抱き合った




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