2017-5-1 12:44
『小悪魔ビアンカと3つの願い』Vol.25「トリニータの秘密」
【前回までのあらすじ】
ビアンカは、魔族の能力が更に開花し、自らの容姿を変化出来る様になった。
一方、倒れたレベッカの前に“天使トリニータ”が降臨する。
「あ、あなたが天使トリニータなの…?」
光り輝くその姿は、白い帽子に白いスーツと言った出で立ちで、一見“天使”などには見えない。
しかし、頭上に被さる後光と背に羽ばたく巨大な猛禽類の翼は、天使以外の何者でもない。
「わたしは、あなたを知っている。見た事はないけれど、話には聞いた事がある…」
トリニータと名乗る天使が顔を上げる。
そこには眉目秀麗な双眸が光を発して、なおも眩しく見えた。
「見える…?右目が…!!」
失われたはずのレベッカの右の瞳が復活し、身体中の傷もすべて消えていた。
「こ…これは…!?」
トリニータは、ひざまづいているレベッカに対し、膝を屈めて優しく微笑む。
「君の役目が終わった事を意味しているんだよ…」
「そんなバカな!?…だって、わたしはビアンカを倒すどころか、逆に敗れたのよ!!アニーにはもう天使のパワーが通用しないぐらい強力になってるの!!」
「…いいんだ。君の役目は、アンジェラを倒そうとするビアンカを止める事。そして、ビアンカの力を促進させる事にあった…」
「ビアンカの…?ねえ、教えて!ビアンカは何者なの?あなた方天使にとって敵ではないの!?」
間を置いて、トリニータは答えた。
「少なくとも、今のビアンカは敵ではない。我々が探していたのは“魔女”だからな…」
「魔女…」
「「さぁ、ビアンカにヴァージニア。今からでも遅くないわ。アンジェラ抹殺を続行して!…ガルシア一族の者をこの世から消して♪」」
涼やかな笑みを浮かべながら、ラブーフ姉妹は命令する。
「かしこまりですわ♪魔女様!!」
ヴァージニアは、ヤル気満々で敬礼する。
一方、ビアンカは…
「わたしは降りる…」
「なっ?…今、なんて言ったのビアンカ!?」
ヴァージニアが彼女に近づく。
「わたしはもうやりたくないと言ったの…」
それを見て、2人で1人のラブーフ姉妹がヨタヨタと歩み寄る。
その奇妙な姿にビアンカは改めて戦慄を覚えた。
ラブーフ姉妹、リリスとクリスはその4つの腕でビアンカの頬を撫でる。
「「…言うと思った♪…そうね。願いの1つは、自らの力で叶えてしまったのですものね…うふふふ…♪」」
陽気な笑い声が、むしろ空々しく、一段と不気味に聞こえた。
「…それもあるけど…わたしはもう無益な争いをしたくないし、アンジェラとは戦いたくない…」
「ビアンカ〜〜?何を今さら〜〜!?」
ヴァージニアが手足をバタバタさせながら騒ぐ。
「マルコォー?あんたも何か言ってよ!一緒に戦いたくないのぉー!?」
話を振られたマルコは、ヴァージニアを一瞥すると言った。
「俺は、ビアンカの騎士だ。姫の決めた事には逆らえないね」
「マルコ…」
それを聞いたビアンカは、目を見開いて驚いた。
「なんなのよ〜あんた達はぁ〜〜!?」
ラブーフ姉妹は、ビアンカの顔を見つめて、やおら微笑むと、再び冷たい表情に戻る。
「「まだ最後の願い事が残ってるでしょ?…それを叶えてあげるから行って…。ね?ビアンカ…」」
「うっ…?」
「そうよ!ビアンカ!?ジュリアーノよ!!彼に会いたくないの!?魔女様が願い事を叶えてくださるわ!!」
叫ぶヴァージニア。
それを見ていたミカエラは、堪らずビアンカとラブーフ姉妹の間に割って入る。
「もう許して!!わたしも元の体に戻ってもいいから、これ以上ビアンカを苦しめないで!?」
泣きながら彼女はラブーフ姉妹の腕を掴む。
だが、いきなりリリス側の腕がミカエラを掴むとそのまま首を締める。
「クリス…この娘、なんかウザいね?」
「そうね。リリス。でも、何か役に立ちそうだけど♪」
「まずい…」
その光景を見ていたマルコは冷や汗をかきながら前に出た。
「ミカエラ!?逃げろ!!」
「「離さないよ♪この娘はまた人質にするんだ…」」
言いかけた時に銃声が響いた。
「ぎゃっ…」
飛び散る鮮血はラブーフ姉妹のものだった。
見れば、ライフルを構えたゲイル団長が呆然としている。
「…どうせ、こんな程度じゃ死なないんだろうが…」
ラブーフ姉妹が倒れた隙に、ミカエラは逃げビアンカに抱き着いた。
「ビアンカ!?ごめんなさい!」
「ミカエラ…無茶すんなよ…」
そして、慌てふためくヴァージニアの許で倒れ伏す姉妹。
「「ふ…ふふふ…あははははははは…♪」」
その悲鳴の様な笑い声にギョッとするヴァージニア。
声は姉妹の頭上から聞こえてくる。
そこには邪悪な思念と気が集まり、徐々に形を帯び、ビアンカ等のよく知っている“Mrsフィアー”=魔女の姿が浮かんでいた。
「ついに正体を現したってワケだな…」
マルコが臨戦態勢に入り、それに対する。
一方のビアンカもミカエラを後ろに下げ、前に出る。
「久しぶりだね。もうあんたの言う事は聞かないけど…」
『バカな娘だ…これが最後のチャンスだと言うのに…!』
「チャンスは自分で掴んでみせるさ…!!」
『もはや、汝は用済みのようだね…ヴァージニアよ!ビアンカを殺せ!』
「えっ…?ビアンカを…そんな…」
『わらわの命令を聞けないのかい…?』
「い、いくら魔女様のご命令でも、それは…!?」
チラリとビアンカを見ると、やおら彼女はニコヤかに微笑んだ。
「相手になるよ。ヴァージニア。もっとも負ける気はしないけど♪」
「ビアンカ…その余裕綽々な態度は何なの!?」
『ぬぬぬ…!何を躊躇しているヴァージニア…』
「ラブーフ姉妹…いや、Mrsフィアー。チェックメイトだ。観念するんだね…」
その声は天空から聞こえた。
彼らが見上げた先には、宙に浮かぶレベッカと、羽根を羽ばたかせる天使トリニータの姿が見えた。
「レベッカ…!?…それにあれは…誰なの?」
「天使トリニータ…?いや、あれは…」
近づくにつれて、その光り輝く姿の全貌が明らかになる。
トリニータの顔を垣間見たビアンカは驚嘆した。
「あ、あれは、まさか…!?」
《続く》
初掲載2010-05-10
あらゆる因縁が絡み合ったまま、此処サンタ・ディアブロで、光と闇が最後の対決の時を迎える。
ビアンカは、ラブーフ姉妹は、そして、謎の使徒トリニータはどう動く!?
次回『小悪魔ビアンカと3つの願い』怒涛の最終回!!\(^-^)/
運命の帳が晴れる時、あなたは奇跡の光を垣間見る!?
いつもジャン吉小説をご愛読ありがとうございます!!
ここまで読んでくれてた人だけが、迎えられる最高のクライマックス!!\(^-^)/
最後までよろしく♪
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