思い立ったがなんとやら。
この世界に来て…あまり成長することはなくても、あたしは少しだけ前に進むことを覚えたらしい。


…お城の様子を見ても、これから秀吉さんと半兵衛さんが穢れに当てられるまでの時間はそう長くないはず。
なら、こっちだってできうる限りの下準備をしなきゃ。

簡単に穢れが蔓延しないように、お城を中心として正の気を張り巡らせる。
映画なんかでよく言うところの、結界みたいなイメージ。

負の気をできるだけ抑えて、天海さんが直接接触してきたらそれを止める…
もしそれが可能なら、大阪城を中心に発せられる大量の負の気も削減できるはず…!


「…よし……!」

「答えは出たか」

「!」

「半兵衛が気にかけておったぞ。何かしら己の中で道が決まったのであれば話してやるがいい。奴も喜んで手を貸すであろう。無論、我もな」

「秀吉さん…!」


秀吉さんはゆっくりとその場に腰を下ろして、小さく微笑んだ。


「お前が来てから城も心なしか明るい。ゆえにお前が悲しむことは我らの本意ではない。違うか?半兵衛」

「えっ?」

「…まったく、君には敵わないよ。秀吉」

「半兵衛さん!」


少し恥ずかしそうに現れた半兵衛さん。
心配かけちゃったみたいだ…

…大丈夫。
あたしにできること…もう迷わない。


「あのっ!」


…滅多なことは言えない。
まして、あたしの知る二人はすでに…死んでいるなんて。


「秀吉さんと半兵衛さんに少し、協力してほしいことがあるんです」


何もしないうちに時が過ぎることだけは、絶対あっちゃいけない。
秀吉さんと半兵衛さんもそうだよ。
大切な人を、護るって決めたんだから…!











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これが彼女なりの成長。
少しでもその片鱗が見えたらいいな。

…さ、そろそろ過去編飽きてきたぞ←