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身の丈

私は満員電車というものが、意外と好きなのかもしれない。

汗臭かったり、太った人が近くにいたり、なかなか不快なことがあるけれど。
特に役割もなく、身動きもとれず、何も期待されず、ただ淡々と運搬されて、その他大勢に埋没できる。
なんて気が楽な空間なんだろう。

身の丈に合った空間というか。

私はわりと本気で自分が大好きで、自分が常に主役だと思っているけど。
だからといって特別な人間だとは思ってない。
私から見れば私が主役だけど、個々が個々にとって主役であると知っている。
群像劇のなかを主役のつもりで生きている。
客観的にはその他大勢に埋もれる凡人であると自覚していても、自意識の問題で主役からは降りられない。

だから誰も自分に興味を示さない、単なる物体としての身体に回帰できるあの空間は、堂々とその他大勢に埋没できる。
もしかしたら居心地がいいのかもしれない。
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