第四章 1、海亀呼吸(つづき)


●呼吸について

 私たちは、呼吸と言うと、「鼻から吸って口から吐いて」のような呼吸を想像します。
 しかし、それは外呼吸と言って、外から血液中に酸素を採り入れ、血液中の炭酸ガスを外に追いだす作業のことを指しているのであって、本源的な生命活動の為の呼吸ではありません。
 血液中の酸素を採り入れ、命を燃やすエネルギーを作り、そこで出て来た廃棄物である炭酸ガスを血液中に捨てていく作業をしている全身の細胞たちの呼吸こそが本源的な呼吸であって、これを内呼吸と呼んでいます。
 酸素は細胞たちが何かを燃やすための触媒のようなものなのです。
 その燃やすものが何かと言えば、それは糖質です。
 酸素は糖と結びついて爆発を起こし、炭酸ガスと水に分解されます。
 その出て来た廃棄物である炭酸ガスと水を血液中に廃棄して、細胞による内呼吸は完成するんです。
 細胞内でこの呼吸を担当しているのがミトコンドリアで、細胞内に糖を取りいれる役割を果たしているのがインシュリンです。
 インシュリンの分泌はアドレナリンと拮抗的なので、自律神経が交感神経優位の時には分泌できません。
 自律神経を副交感神経優位にすることが必要なのです。
 そして、副交感神経優位になれば、全身の毛細血管までが広がりますから、酸素を含んだ血液が全身の細胞に行き渡るのです。
 その副交感神経優位に導く呼吸が息をゆっくり吐く腹式呼吸で、この〔海亀呼吸〕は、腹式呼吸を簡単に行なう呼吸法で、全身の細胞立ちに酸素を届け、糖代謝を促し、命の火を燃やし、基礎代謝量を上げることで免疫力を高めるという優れた役割を持っています。
 生命活動の本源的な呼吸である細胞たちの呼吸、即ち、内呼吸に特化した〔海亀呼吸〕は、副交感神経優位、インシュリンの分泌、糖代謝、基礎代謝、免疫力など、健康のバロメーターとも言えるキーワードを網羅した呼吸法なのです。

●〔海亀呼吸〕の特徴

(つづく)