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〔自律神経の乱れ/元気をつくる気功教室〕 二

【自律神経の乱れ/〔元気をつくる気功教室〕】

(二)

 「おはようございます!」
というみんなとの挨拶で、第一回目の〔元気をつくる気功教室〕は始まった。
 窓を開けっ放しにした教室には秋の匂いを乗せて爽やかな風が流れ込んでいた。
 「今日のテーマは、CMなどでも流れているのを観たことがあるんですが、〔仕事上の沢山のストレスが自律神経に影響を及ぼしている〕という問題です。」
と、私は問題を提起した。
 「パソコン操作をしていても、上肢やクライアントなどと話をしていても、そんな時って、ミスは許されないので、かなり緊張していますからね。」
と、荒井が言うと、
「そんなのが朝から晩まで続いていたら、そりゃーストレスだわー!」
と、真佐子が反応した。
 「で、強いストレスが加わり続けると、自律神経を狂わせるって訳だ。」
 そう伊崎が続いた。
 「その、自律神経が狂うとか乱れるとかになると、体はどういう風になるの??」
と、佳奈恵がみんなを見回しながら言った。
 「胃がいたくなる。」
と、荒井が言い、
「心臓も痛くなる。」
と、伊崎が続いた。
 「心臓が痛くなるって、それって狭心症じゃないの?」
 佳奈恵が伊崎をみて疑問の声を上げた。
 「実際に、私の知っている人、会社の管理職の人なんだけど、毎日、朝早くから深夜まで働いていて、ある日、会議の途中で、顔が青ざめて、冷や汗もでて、心臓がつぶされるように痛くなり、倒れて救急車で運ばれたんですってよ。」
と、真佐子が話した。
 「それって、自律神経なの?」
 佳奈恵が訊いた。
 「そうだと思うよ。」
と、荒井が応えた。
 私はみんなの話を聞きながら、まずは〔狭心症〕の話から話を深めていこうと考えた。
 

(つづく)

功法・11

【樹木の呼吸を身につけよう!・6/静観塾?12】


(一)

 允と梨紗は、腰の捻りを加えながら左右交互に足の裏から気を吸い上げ掌から吐き出すようにして、片手ずつ前から挙げて後ろから降ろす動きを続けていた。
 「では、今の腰の捻りはそのままにして、左右同時に気を通してみましょう。
 両手を前から挙げながら腰を捻り、両手を前後で降ろすようにしながら左右交互に続けてみて下さい。」
 「胴体の中では左右の気は混じり合っても良いんですか?」
と、梨紗が訊いた。
 「勿論、それでも良いし、若し両方の気が一緒になれば、その気をそのまま上げていって、頭のてっぺんから噴水のように吐き出してもらっても構いませんからね。」
と、私は答えた。
 しばらくその動きを続けていた允が、心地よさそうに言った。
 「足の裏から吸い入れた気で体の中を綺麗にして、汚れた邪気を頭から吐き出しているようで、私は頭から吐き出す方が好きみたいです。」


(二)

 「では、その両手の動きを続けながら正面を向き、最初にしたように前から挙げて横から降ろす動きに替えてみて下さい。」
 二人の動きはかなり滑らかになっていた。
 それを見て、私は次の動きへと誘導することにした。
 「自分のペースで構いませんから、今度、両手が横から降りてきたら、その手を横から挙げて前から降ろしていくような動きに替えてみましょう。」
 「今までの気の動きとは逆に、掌から吸い入れて、胸、おなかと降ろし、足の裏から吐き出すんですね。」
と、允が言った。
 その動きをしながら梨紗が言った。
 「わたし、足の中がうまく通せないみたいです。」
 「足の感覚がわからない場合は、膝を曲げるのをやめてもいいし、膝を曲げていっても、その足の形にとらわれずに、胴体の幅のママ、骨盤から真っ直ぐに足の裏というか、大地の中まで吐き降ろすようにした方がわかりやすいかも知れませんね。」
と、私は助言した。
 「そうですよね、樹木の幹から根っこに吐き降ろすんですから、真っ直ぐですよね。」
と、梨紗が答えた。
 「その動きに腰の捻りを入れて、上げていく手も掌を上に向け、周りの天の気をみんな集めて頭から胸の中に吸い入れ、体の中を綺麗にして、汚れを大地に吐き降ろしていくような動きを加えてみるのも楽しいですから、試してみて下さい。」
 動きを替えた梨紗が、
「わたし、この動き、好きかも。」
と嬉しそうに言った。
 「最後は正面を向いて、数回してから、みんな大地に吐き降ろして終わりましょう。」
 二人が終わったのを見て、
「しばらく、そのままぼんやり立って、体の感覚を味わい、それから両手を擦り、足踏みなどをして、体を元に戻して終わりましょう。」
と、私は言って、〔樹木の呼吸〕の基本を終えたのである。

初顔合わせ

【初顔合わせ/〔元気をつくる気功教室〕】


(一)

 此処は名古屋市内にあるカルチャースクールの一室である。
 2020年10月から始まる《元気をつくる気功教室》に参加を希望されている方々の初顔合わせが催されたのだ。
 「おはようございます。
 静観です。
 来週から、みなさんと一緒に気功を通して元気になっていく講習を行なわせて頂く、一応、講師です。
 よろしくお願いします」。
 そこで一度、私は頭を下げた。
 「先生!
 お名前、本名ですか?
 フルネームは?」
 五十代後半と思われる女性が声を上げた。
 「これは源氏名というか、芸名なので…。
 フルネームは…。
 まぁ、静観で良いじゃないですか。」
 私は応えた。
 「親しみを込めて〔静観さん〕って呼んでもいいですか?」
 別の女性だった。
 「はい、どうぞ。」
と、私は笑った。
 「何だか〔良寛さん〕みたいだな。」
 隅に座っていた男性がボソッと呟いた。
 私は話を続けた。
 「私は尾張北部の山里に愚庵という庵を構え、時々、気功を勉強したいと言う、わりと若い人たちと、〔静観塾〕という勉強会をしているんですが、、今度、このカルチャースクールで、〔健康〕を目的とした気功教室を、特に、少人数で中高年の方々向けに開いて欲しいという要請を受けまして、老体に鞭打って此処に通って来ることになりました。
 そこで、まず、みなさんがこの講座に参加を希望された理由を含め、簡単な自己紹介をして頂ければと思います。」
 私はそう言って、右端に座っていた、最初に声を出した女性に発言を促した。
 「私は佳奈恵と言います。
 そうですねぇ…、少し精神的に不安定というか落ち着きがないというか…。
 そろそろ、ゆったりと生きていきたい、そう思っているんです。 よろしくお願いします。」
 そう話して佳奈恵は頭を下げた。
 「私は真佐子と申します。
 私、運動不足で、少し糖尿のけがあるんですが、若い頃から運動は苦手で…。
 気功は体をラクにしていくことで糖尿にも善いって聞いて、私にもできるかな?って参加させて頂きました。」
 そして、真佐子は深々と頭を下げた。
 「僕は、荒井です。
 名前は荒井ですが、内気で大人しい人間です。
 高齢者になって、子どもの世話にならないように、元気でいなくちゃーと思い、この〔元気をつくる気功教室〕という講座名に引き寄せられてやって来ました。
 よろしくお願いします。」
 荒井は首をピョコンと降ろした。
 「最後に控えている私は、伊崎です。
 昔から〔気〕には興味があり、本などを見て、自分なりに勉強していたんですが、今度、気功の教室が始まると聞き、しかも、先生があの有名な静観さんとお聞きして、これは直に習わなければと、気合いを入れてやって来ました。
 何とぞよろしくご指導お願い致します。」
 そう言って、伊崎は両手を着いて、大きく頭を下げた。
 「来週から、私を含めたこの五人で勉強していく訳ですが、単なる習い事にはしたくありませんので、どんどん声を出して頂き、気功だけでなく、人生を深め、より豊かに生きていくために、楽しく語り合いましょうね。」
 私が言うと、
「サロンみたいですね。」
と、佳奈恵が言った。
 「では、来週から、よろしくお願いします。」
 私が言い、みんなも
「よろしくお願いします!」
と声を出し、初顔合わせの会は終わった。

功法・24

【菩薩静功・2/静観塾?24】


(二)のつづき

6、無邪気(むじゃき)

《形》
 掌を上に向けたまま両手を横から肩の高さ辺りまで挙げる。

《意味》
 心に邪鬼が無いということ。
 如意輪観音の姿を想像して下さい。

《ヒント》
 意念(気持ち)を顔の中に持っていくことで、肩の上や掌の上まで降りてきている大きな空(層としての空間)の中で、顔や頭の感覚が薄れていく感覚を体感する。


7、蓮華(れんげ)

《形》
 掌を上に向けたまま、手根部から近づけ、手根部が触れ、同時に親指と小指の先をそっとふれあい、手を蓮の花の形にした後、肘を降ろしながら体重を尾骨側に移し、腰をすっと伸ばす。

《意味》
 泥の中に根を張って、美しい花を咲かせる蓮の花は、煩悩渦巻く俗世間に足を置きながらも、気高く清く生きていくことを教えた仏道の象徴。

《ヒント》
 掌感覚と同時に、胸の中、ハートのエネルギーを培う中丹田の感覚を体感する。

8、無相(むそう)

《形》
 両手を合掌したままおなかの前まで降ろしてから、両手を左右斜め下30度くらいに広げ、掌を前に向ける。

《意味》
 相というのは、相互、相関など、二つのものが向かい合っていることを表しており、それを無くす訳で、自分と他の物に対立が無く、一体化しているということ。

《ヒント》
 自分の中の空洞感と、前に広がる大きな空間が一つに溶け合っているという感覚を体感する。
 しばらくしてから掌を上に向けると、頭頂部から後頭部、背中、腰の感覚も現れ、体丸ごとが大きな空間に包まれ、一体化している感覚になるので、時々、試してみると良い。

9、内観(ないかん)

《形》
 前に広がる大きな空間を集めるような感じで両手を前に回しながら軽く肘を曲げ、掌を胸板に向け、胸の前で大きめの気のボールを抱いているようにした後、肩と肘の力を抜き、体重を尾骨側に移し、腰をすっと伸ばす。

《意味》
 此処で用いている〔観〕の意味は、頭で考えるのではなく、体内感覚によって自分の体の中の状態を体感するという意味。

《ヒント》
 気のボールを抱いているという感覚や中丹田が温かくなってくる感覚を体感する。

10、寂静(じゃくじょう)

《形》
 内観の後、軽く指を組み合い、抱いていた気のボールを撫で下ろしていくようにし、ボールの下に手を差し入れ、恥骨の前で手の甲を足の上に載せてから親指の先同士を軽く触れる。

《意味》
 梵語のニルヴァーナを漢字で表したものが〔涅槃〕で、意味を表したものが〔寂静〕なので、心が完全に静まった状態を意味している。

《ヒント》
 親指を触れると同時に意守丹田をするのだが、やがて、その丹田の感覚が膨れてきて、体中の皮膚を越えて外に大きく広がっていくのを体感する。


(三)

 「これが菩薩静功の全体ですが、如何でしたか?」
 「気持ち良かったです。」
 私の問い掛けに梨紗が応えた。
 「私は、特に、禅定とか不動、寂静など、気を降ろしたものが良かったです。」
と、允は言った。
 「やはり、気持ちよさの感覚にも違いがあるんですね。
 私は、安心とか無邪気、無相なんかが頭や顔、胸の中などがふわぁーっとした、ゆるんだ感じがして、外の空気と溶け合っていくような心地よさに包まれましたから。」
と、梨紗が応じた。
 「この菩薩静功は、最初にも言いましたが、10の形を連続して行なう必要はなく、自分のしたい形を一つだけでもいいし、幾つかを組み合わせてしてもいいし、自由に楽しんで頂ければ良いんですからね。」
 私は、そう言って、菩薩静功の練習を、一応、終えることにしたのである。

功法・23

【菩薩静功/静観塾?23】


(一)

 「では、菩薩静功の練習に入りましょう。」
と、私は伝え、話を続けた。
 「前の抱気静功の主たる目的は、体内の空洞感である〔ふぁんそん感覚〕を体感することにあったんですが、この菩薩静功は、それと同時に、掌の向いている側の外の気との一体感を体感していくことによって、〔空の体感〕を味わうための練習にもなっているんですね。」
 「空って、体感できるんですか?」
 訊いたのは梨紗だった。
 「そうですねぇ、それを理解して頂くために、気功における感覚の変化発展について述べておきましょうか。
 最初、私たちの肉体感覚は固体です。
 それを緩めていくと、粘土のような軟らかな感覚になってくるんですが、まだ固体なんですね。
 更に緩めていくと液体感覚になってきて、そうなると液体のような流れが出来てくる。
 それが洗い流しや貫気法の初期段階になるんです。
 やがて、体に気のボールを押し当てた時や、洗い流した後に細かな粒子が無数にあるような空間の感覚、空洞感が出て来るようになり、それが〔ふぁんそん感覚〕で、液体から気体への変化なんですね。
 体内に、その空洞感が出て来ると、それは細かな粒子の空気で出来ているので、それを包む表面の幕は消えていくんですが、それが皮膚の感覚としての実体感を薄れさせ、体内と外との境目感覚を無くし、中と外との一体感を作っていくようになってくるんです。
 そして、体の半分以上の皮膚の感覚が薄れていくと、外の空気感覚も大きくなっていき、水平線の向こうの空まで、青空の広がる天空一杯まで大きくなっていくんですよね。」
 「それが〔空の体感〕なんですね!」
と、梨紗がやや興奮気味に言った。
 「ふぁんそん感覚はそこまで広がるんですかぁ。」
 允も珍しく高揚した表情になっていた。
 「まぁ、それも頭脳を使っての意識的な取り組みではありませんから、感覚として、体感を通して深めていきましょう。」
と私は告げ、菩薩静功の実習に入っていった。


(二)

 「菩薩静功は、十種類の坐法から出来ています。
 その坐法の形を共通の認識にする為に、一つ一つの坐法に名前を付けていますので、その名前と、その名前の持っている意味、坐法の時の感覚のヒントなどについて、簡単な説明もしていきますね。」

*ここからは坐法の名前と形、名前の意味、ヒントについて列記していきます。
*途中で允や梨紗の質問が入るかも知れませんが…。

1、南無(なむ)
《形》胸の前で合掌。
《意味》南無とはナームという梵語の漢訳。
 南無阿弥陀仏、南無妙法蓮華経などと用いられ、帰依致しますという意味。
《ヒント》胸の中の〔ふぁんそん感覚〕を体感する。


2、禅定(ぜんじょう)
《形》両手を重ねて掌を上に向け、恥骨の前で足の上に載せて、親指の先を合わせる。
《意味》禅は、今していることのみに心を向けるという意味で、定は、それによってもたらされる安定した心の状態のこと。
《ヒント》丹田感覚を体感する。


3、後光(ごこう)
《形》両手を左右で肩の高さに挙げ、肘を90度くらいに曲げて耳や側頭部の高さで掌を向かい合わせる。
 肩の上で大きめの気のボールを挟んでいる形。
《意味》後光とは、文字通り後光が差しているという意味で、言わば、頭部の周りのオーラを意味している。
《ヒント》意念(気持ち)を顔の中に入れ、両手で挟んだ気のボールの中で頭部、顔面部の感覚が消失していく。

4、不動(ふどう)
《形》両手を肩幅程度に開き、肘を曲げ腹の前で指先を前に向けて掌を下に向ける。
《意味》他からの影響によって心が揺り動かされることのない、腹の据わったどっしりした心の状態のこと。
《ヒント》肘から先が少し温かめの空気の上に乗って、浮かされている感覚と同時に、その空気が下腹や太腿の中にもしみこみ、空気による腰湯感覚。

5、安心(あんしん、あんじん)
《形》掌を上に向け、坐を組んだ膝の上に載せ、胸板から肩の前までをふわぁーと広げる。
《意味》ほっとしたという安心感より更に広がった完全なる心の安定した状態のこと。
《ヒント》顔から胸、腹までの体の前側がくりぬかれた〔ふぁんそん感覚〕になると同時に、前側に広がる大きな空間の気との一体感を体感。


(つづく)
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