結局、エイラの視界が自由になったの長い長い時間が経ったあとで、「ちょっとまって」とか、「やっぱり待ってクレ」とか言い合って、やっと顔を見合わせてみたら、お互いに同じような表情をしていたから二人して噴出してしまった。


 サーニャ、ほら。
 サーニャは一人じゃないヨ。
 いつでもサーニャと一緒にいるヨ。

 
 昨日はサーニャの誕生日。遠く遠く離れてしまったサーニャの大切な家族から、サーニャの無事を願ったピアノがラジオの電波に乗って届いた。

 お父様、お母様。サーニャは、ここに居ます。

 月に向かって上昇した片翼の天使は、嬉しそうに、そして涙を零して夜空を舞った。
 ラジオからピアノの音が届いたとき、宮藤が奇跡だと言った、わたしは奇跡は起こらないから奇跡なんだと言った。今日はサーニャの誕生日だから、サーニャのことを大切に思っている人が居ればこんなことだって起こるんだ、と。
 サーニャ良かったナ、本当に良かったナ。サーニャが大好きなお父さんも、お母さんも、同じようにサーニャが大好きで、サーニャの無事を信じてイル。
 いつか、必ずまた会えるヨ。お互いがそう信じていれば必ず会えるって、宮藤も言っていたダロ。わたしも手伝うからサ、一緒にサーニャの両親を探しに行こウ。そして、サーニャは家族と幸せに暮らすんダ。もう寂しくて泣くこともないんダ。そしたら、わたしも嬉しいカラ…


 だからさ、サーニャ。
 サーニャがもし、良かったら、わたしも傍に居ていいカナ?
 
 オラーシャはスオムスよりも寒いカナ?

 なんて言ったら、「エイラ、気が早い」と釘を刺されてしまったけれど、その後すぐに「嬉しい」なんて言われてしまったから、顔のにやにやが止まらなくて困った。

 サーニャと一緒にいたいんダ。
 サーニャの力になりたいんダ。
 だから、頼ってくれていいんダヨ。
 わたしが、必ず守るカラ・・・

 サーニャのことが大好きだカラ。
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