「そもそもさぁ、意味わかんねーって。なんでアイツが1軍なんだよ」
「おかしいだろ。気に食わねえったらねーよなぁ」
「だーからァ、心ばかりオレらからのプレゼントってやつ?」
…低レベルだ。
黒子は再びため息を吐き出した。
気にしていたらきりがない。
自身のことをそう思っている輩など、部員のうち大半を占めるに決まっているのだから。
よくあることだ。
これからもそういうことが増えるのだろう。
…マネージャーの彼女とて、逐一付き合うこともないのにどうして。
黒子には理解しかねた。
するとそんな心中の言葉を聞いていたかのように、雛は再びか細い声をこぼした。
「……知ってた…。あなた達を『見て』、何か起こるかもしれないと思ってた」
「はあ?何言ってんだよ」
「…でも止められなかった。わかっていたはずなのに…」
雛は言葉切った。
そしてもう一度、目の前の三人を見上げた。
「…黒子くんに、謝ってください」
「……!」
いちばん驚いたのは黒子自身だった。
なぜ、わざわざそんなことを。
…たった一人の部員なんかのために。
「っは!冗談じゃねーよ」
「謝る?なんでオレらが?」
「お前がいくら見てたって言っても何の証拠もねーじゃん」
嘲笑う三人。
彼女のことなど気にも留めていない。
仕舞いには彼女を置いて立ち去ろうとしている。
…別に彼ら行為に対して、怒りなど湧かない。どうでもいいとさえ思っていた。
……なのに、彼女は。
「……」
「なんだよ。いい加減うざいって」
「そんな正義の味方ぶって疲れねー?はーえらいえらい」
「早いとこ帰ろうぜ。今日は練習いいじゃん。なんか萎えたし」
だが雛は、三人の前に立ちはだかった。
「………って…」
「はァ?」
「何……」
「黒子くんに謝って!」
「!」
…こんな彼女を見たのは初めてだ。
こんなにも、声を荒げ怒りをあらわにする…彼女の姿は。
「……え……あ、れ…?」
気づかなかった。
いつの間にか、黒子の頬には涙が流れていたのだ。
向いていないと、バスケ部をやめようと思ったこともある。
自分が他のメンバーとは違い、目立たないちっぽけな選手であることも知っている。
…なのに……それなのに。
「っ……」
掴みかかりそうな勢いで怒鳴る彼女に、ようやく三人も一瞬戦慄したように見えた。
「…んだよ、コイツまじうぜえんだけど」
「ちょっと調子乗りすぎじゃねーのおチビちゃん」
「知ってんぜ?お前、女バスに追い返されたんだろ?チビだから。一応経験者なのにそんだけの理由でプレイも見てもらえなかったってさ」
「マジかよ!何それウケるんだけど!っはは!どんだけチビなんだよって!」
「んでやむなくマネージャーみたいな?うわ、かっわいそー!中学生にして早くも選手生命終わりじゃん!」
………クズだ…!
黒子の頭にはそれしか浮かばなかった。
自分もあまり感情を表に出す方ではない。
だがこればかりは、怒りで手が震えるのを感じた。
「オラどけよ。もういいだろ」
「…っ」
「ハイハイ、お疲れさん。大変だねーマネージャーも」
「あーだりィ。時間食ったー」
小さな彼女は、少し押しのけられただけで乱れた椅子の並びに倒れ込む。
どうにか怒りを抑え、彼らが出て行った後黒子は部屋に飛び込んだ。
「藍沢さんっ…!」
「えっ…」
彼女を視認すると、ちょうど上半身を起こしたところで。
「…黒子くん…どうして」
「どうして、なんて…」
こっちの台詞だ。
どうしてここまで、彼女は…
「……っ」
思わず雛の前に座り込んだ。
再び涙がこぼれそうになった。……わからない。
この感情は、一体何だ。
「…ごめんね」
「え…」
「……止められなかった…」
彼女は心底申し訳なさそうに、黒子の顔をのぞき込んだ。
「なんで、そこまで」
「…わたしに…できることだから」
「……」
…これが、彼女のやり方なのか。
プレイヤーになれない彼女の。
「…えっと、片付け…途中だったよね」
そのままで出てきちゃった、と笑って立ち上がる雛の手を思わず取った。
「……黒子、くん…?」
「テツヤで、いいです…」
「えと……テツヤ…くん?」
「…はい、ありがとうございます」
…ボクのために、怒ってくれて。
本当に、…本当に嬉しかったから。
だから、ボクは………
「…っ……」
「藍沢さん、泣かないでください。今度は…」
ボクが、君を守ります。
…君のことを、必ず守るから。
「っ…わたし、もう……」
あの大きな目から絶え間なくこぼれ落ちる大粒の涙。
今の彼女はより小さく、より弱く儚く見えた。
襲い来る悲しみに、すぐにでも潰されてしまいそうなほど…
「……藍沢さん…」
…ああ君が望むなら、いつだってボクは側にいるのに。
「…誠凛高校に、行きませんか」
それは運命のはずだった
君と僕は永久にともに
なのに君だけいないのならば
僕は時を駆けて会いに行くよ
「そして君が自らを犠牲にして
僕を助けてくれたのならば
今度こそ僕は君を守ってみせるから
僕を信じて」
終
**********
なっがー……
第三弾も俺得で大変失礼しました(土下座二回目)
今回は黒子のお話。
雛関連の黒子はどうも腹黒くかつ彼女に執着しているフシがありましたが、ご覧の通りということで←
怒鳴る彼女が書きたいと思ったところからこの話ができました。
これ漫画にするなら1ページ使ってコマ割りは縦、吹き出しはでっかくコマひとつ分使って手書き太文字ですよね。全力でどうでもいいけど←
それにしても3軍の奴らいらっとするわー(笑)
彼女って結構風当たり強いのかしら前回のといい(
インディゴストリームの序章参照)
ただ彼女は人となりを見るのが得意だから、彼らが黒子のことをよく思っていなくて、近々何かやらかしそうだと気づいてた。
でもタイミングがわからなくて結局事前に止めることができなかった。
だから余計に責任を感じていたのかも。
でもそれ以上に、がんばっている人を侮辱されるのが我慢ならなかったと。
しかし雛はしゃべらんなぁ…
デフォルトでしゃべらないよね君はよう。
もうそういうキャラだからしょうがないか←
今回は主に台詞の部分を元に書かせていただきました。
自らを犠牲ってのはちょっとズレがあるかもしれないですが、でも彼女はプレイヤーを犠牲にマネージャーをしてるのではと感じた黒子の台詞と思えばまあ…いいかなぁと(適当)
これで告白シリーズは一旦終了です。
本当はそれぞれの答えも書きたかったんですが、原作をよく知らないので保留。
また機会があればまたということで。
読了ありがとうございます!
大変お粗末さまでした!
話題:名前変換無し夢小説。
うへええええ!
なんかもう捏造はなはだしすぎてどうしようもないんですけどスンマセンっしたぁああああ!(土下座)
でも!そのように感想を抱いて頂けてほんとうれしいっ!
調子乗っちゃうんだからあああ!(≧□≦)