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リアルタイム中心。毎日腐向け注意@更新停止:ついったに常駐してます
いつまでも隣にいられると思ってるのか。カメラの前で飾らない笑顔を見せる彼を見ながら蘭丸が挑発するように笑った。ああいう奴は周りから何でも吸収するぞ。にやにや。ああこの笑顔は見覚えがある。学園で同じクラスだった財閥御曹司に似ているのだ。気取られぬようにちっと舌打ちをする。素直な奴ほどこの世界じゃあでかく成長するぜ。知ってますよ。少なくともあれは、トキヤから日々技術も経験も盗んでいっている。ぱしゃり。きられていくフラッシュにみているこっちはくらり、目まいがするのに、それを直接浴びている本人は変わらずに楽しそうだ。ああ。トキヤは嘆息する。あの素直さは天性だ。うらやましい。いつまでもそばにあると思っていると、どっか行っちまうこともあるもんだ。やけに実感のこもった言葉にトキヤが目を見開く。まるで実体験ですね。水を得た魚とばかりに笑えば、蘭丸もにやりとしたまま、ばあか、人生の先輩からの忠告ってやつだよと言ってスタジオから去っていった。
女の子は欲張りだ。遠くの地で誰かが言ったであろう格言めいた言葉を思い出す。社会的な付き合い方を覚えてからは女というのはそんな生き物だと思っていたし、事実周りにいた生物学上で女と類される人間はそんなものばかりだった。だからこそ戸惑った。家の為に無理やりに入れられたこの学園で、おおよそ欲というものに縁がなさそうな女の子と出会った時には。いや、欲があることにはあるのだけれど、彼女のそれは『歌』というものが前提にあって、決して自らの欲が最優先されることなどなかったのだ。それがまた興味をわかせて、気付けば彼女の魅力にすっかりハマっていたというところだ。
知ってたんです。分かってました。翔ちゃんの気持ちなんて。だけど、だけどね、翔ちゃん。その優しさも、僕に触れる指先も、あまりにも残酷で。嬉しくて泣きたくて、うずくまる僕を嘲笑うような優しさなんていらないから。冷たい雨に打たれて、僕の気持ち、疲れて、壊れていく。これでいいよ、って、僕は言い聞かせる。明日の朝には、また何もなかったかのように君は笑うんでしょう。
性 別 | 女性 |