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【うた腐リ】きみのとなりがいいよ

いつまでも隣にいられると思ってるのか。カメラの前で飾らない笑顔を見せる彼を見ながら蘭丸が挑発するように笑った。ああいう奴は周りから何でも吸収するぞ。にやにや。ああこの笑顔は見覚えがある。学園で同じクラスだった財閥御曹司に似ているのだ。気取られぬようにちっと舌打ちをする。素直な奴ほどこの世界じゃあでかく成長するぜ。知ってますよ。少なくともあれは、トキヤから日々技術も経験も盗んでいっている。ぱしゃり。きられていくフラッシュにみているこっちはくらり、目まいがするのに、それを直接浴びている本人は変わらずに楽しそうだ。ああ。トキヤは嘆息する。あの素直さは天性だ。うらやましい。いつまでもそばにあると思っていると、どっか行っちまうこともあるもんだ。やけに実感のこもった言葉にトキヤが目を見開く。まるで実体験ですね。水を得た魚とばかりに笑えば、蘭丸もにやりとしたまま、ばあか、人生の先輩からの忠告ってやつだよと言ってスタジオから去っていった。
何しに来たんだあの人は。閉じられたドアを見ていたトキヤに、次は2ショットでお願いしますとカメラマンが声をかける。はい、返事を返してカメラの前に立つ。隣の彼を見れば、えへへと一層笑みを刻まれた。何笑ってるんですか。汗で張り付いた前髪を指ですくってトキヤも笑う。一緒の仕事、楽しいね。そうですね。怪しまれない程度に触れあって。蕩けて甘く笑う子どもの隣は、誰にも渡しませんとひそり、心で誓った。




トキ音ちゃんと蘭ちゃん

【うたプリ】女の子は欲張りなのよ【レン春】

女の子は欲張りだ。遠くの地で誰かが言ったであろう格言めいた言葉を思い出す。社会的な付き合い方を覚えてからは女というのはそんな生き物だと思っていたし、事実周りにいた生物学上で女と類される人間はそんなものばかりだった。だからこそ戸惑った。家の為に無理やりに入れられたこの学園で、おおよそ欲というものに縁がなさそうな女の子と出会った時には。いや、欲があることにはあるのだけれど、彼女のそれは『歌』というものが前提にあって、決して自らの欲が最優先されることなどなかったのだ。それがまた興味をわかせて、気付けば彼女の魅力にすっかりハマっていたというところだ。
「キミは不思議だね」。桜色の髪を梳いて額に口づけを落とす。何度もした仕草でさえ、彼女はほうと頬を染めて恥ずかしがってしまう。かわいい。くすくすと笑いながら「もう少し欲張りになってもいいんだよ」と言うと、彼女はきょとんとしたあときゅっとレンの指先を握って。「…私、レンさんのことに関しては、とても欲張りですよ」とはにかんだ。(だれにも渡したくないわ)

【うた腐リ】あなたの心臓になりたい


あなたを救えるなら、ボクはあなたの心臓になりたい。そっと服の上から左胸を押さえる。ボクが翔ちゃんの心臓なら、ずっと一緒にいられる。翔ちゃんに苦しい思いもさせなくてすむから。ねえ、どうかな。我ながらバカな考えだと思いながら、笑ってみたら。ばかだな。そんなの嬉しくない。翔ちゃんは、笑ってそう言うだけだった。(ばかでもいいの、あなたのためだから)






title:pulmo




薫翔だったはずが翔薫に\(^o^)/

【うた腐リ】かなしい僕の末路だ

知ってたんです。分かってました。翔ちゃんの気持ちなんて。だけど、だけどね、翔ちゃん。その優しさも、僕に触れる指先も、あまりにも残酷で。嬉しくて泣きたくて、うずくまる僕を嘲笑うような優しさなんていらないから。冷たい雨に打たれて、僕の気持ち、疲れて、壊れていく。これでいいよ、って、僕は言い聞かせる。明日の朝には、また何もなかったかのように君は笑うんでしょう。




那翔春

thx song:からくりピエロ

【うた腐リ】気まぐれロマンティック


なつかない猫みたいだ。笑って、見た目よりも柔らかい髪を撫でると、嫌そうに顔をしかめるくせに手は振り払わない。おや、とレンは気づかれないように呟いて今度はそっと腕を引いて肩を抱いてみた。引いた腕に逆らわずにこちらへなだれかかってくる心地いい重みに自然と笑みが浮かぶ。どうしたの。こめかみに口付けをひとつ、落としながら耳元で囁くと、そういう気分なんだとかわいくない声でかわいいことを言われた。ほら、やっぱり猫みたいだ。そう思ったのは口に出さずにいた。



レン蘭
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