昨日某様にねだられたので(ぇ)書いた小ネタです。
一応鷹仙のつもりで書いたけど、一部として見ても可←
気になる方は続きからどぞ。
例え話をしよう。俺達が迎える終幕の話を。
慰霊碑に黙祷を捧げる人々の姿を、集団から僅か外れた場所でぼんやりと見つめる。
傍らの金色も、そして自分も、久方ぶりに袖を通した喪服が酷く窮屈に思えて仕方無かった。
里の為に命を落とした忍へと弔辞を贈る火影の姿は、常と変わらず凛と美しい。
その後ろに控え立つ兄の姿もまた。
「あの人、さ」
ポツリ呟く声に、意識を眼前の光景からナルトへと移す。
表情は無く、ただ穏やかに式典を見つめる青空が愛しいと、そう言えばいつものように呆れて笑うだろうか。
「前に任務で一緒になって…結構世話になったんだってばよ」
「…そうか」
輝く導たる火影と、それを支える忠実なる補佐官と、二人が居るのなら里は安泰であり、そしてその安泰を守るべく命を捧げるのが俺達忍であり。
「強い人だったんだってばよ?なのに…結構簡単に死んじゃうんだな」
「そうだな」
彼に悔いは無かったろうか。
最期に何を想ったろうか。
全く面識の無い者に珍しく思いを馳せてしまうのは、此処が弔いの場だからか。
それともナルトが涙も流さず泣くからだろうか。
「俺達もさ、いつかあんな風に死んで…こんな風に送られるのかな…?」
「さぁな…」
いっそ、雨でも降ればいいものを。
弔辞を述べ終えた火影に倣い、皆が一斉に頭を下げる。
彼もまた、今宵兄の腕の中で泣くのだろう。
式典を終えて、散歩がしたいと言い出したナルトに付き合い細い路地をゆっくりと歩く。
「サスケ」
「何だ?」
言葉は少ない。
それでいい。
「例え話がしたいんだってばよ」
「あぁ」
今まで死んで逝った忍達。
これから死んで逝く忍達。
そこに映し出す、俺達の逝く末。
「もしも俺が死んだらさ」
「俺も一緒に死んでやる」
振り返った碧眼が、夕陽を吸い込んでユラリと揺らめいた。
だから、腕の中へと招き入れるのだ。
「文句は言わせねぇからな」
里の為に、等と大義名分を翳して見せても、結局は彼等もそうであったように。
(あぁ、だからあの心優しい火影が、悼んで、祈って、泣いたのだろう。)
「俺は、お前の為に生きてお前の為に死にたいんだよ」
この誓いにも似た想いを、今は口付けで証明してみせよう。
「…バーカ」
そうしてやがて迎える最期の時に、今と同じ穏やかな微笑みを見る事が出来たのなら。
「ふん、ウスラトンカチが」
それはそれで、きっと幸福なんだろう。
「でもさ」
「あ?」
「俺ってば、結構しぶとく生きてやるってばよ」
「だろうな。俺もだ」
死者を弔う姿のままで、それでもいつもと同じ笑顔を見せるナルトは、やはりいつもと同じように何よりも美しく愛しかった。
END
:反省:
『1RTされたら、「親友に」「臨終の間際」「穏やかに」、「バカ」と言う鷹仙を書(描)きます』
って言うお題が呟きさんから提供されたんだが、流石に四色で死ネタは書きたくなかったのでちょっと視点を変えてみて失敗←
そして「親友に」が行方不明な罠www
でもまぁほら、サスナルは親友でライバルで恋人だから(ぇ)