スポンサーサイト



この広告は30日以上更新がないブログに表示されます。

第16話:泣き虫子牛

<第16話:泣き虫子牛>

とりあえず、ディーノさんやリボーンを無視して急ぎ獄寺君を自室へ連れていく。
これ以上、このくせ者師弟コンビに付き合ってたら俺が疲れる。
と、いうより(特に師の方に)歯が立たないしな……。
それに、できれば獄寺君を狙ってるっぽいこの二人に、あまり近付けたくないしね。


「………って、せっかく思ったのに……」
はあぁぁぁーっと、深く長いため息をつきながら、ノートや教科書ではなく、何故か俺の部屋に普通についてきたリボーンとディーノさんの師弟コンビを睨みつける。
「俺達宿題やるって言ったろ?集中できないんだよ、獄寺君との二人切りの時間が!」
「…お前、混乱しぎみになると本音と建前混ざるよな…」
集中するべきは宿題の方だと、リボーンもギロリと睨み返してくる。

大体、いつもムカつくまでに俺に宿題やらせようとするくせに、この家庭教師はこういう時に限って邪魔をするのだから、愚痴がでるのくらいは勘弁してほしいものだ。

「……これじゃあ親密深めるどころか、敵を作っていってるだけだよ…。どうにかして、他の人達よりも差をつけないと……。この際……いや、でも…」
「……なあ、リボーン。ツナ、何かぶつぶつ言ってるけどほっといていいのか?」
「ほっとけ。最近じゃいつもだ。電波みたいなもんだ」
誰が電波だ。
聞こえてんだよ、リボーン。

てか、獄寺君は何故この空間に疑問を抱かない?
あ、ディーノさんはともかく相手がリボーンだからか。
つーか、冗談抜きで獄寺君観察も宿題も両方集中できないよ!
せめてもう少し遠慮がちに……
「ガハハハハー!ツナ〜、ランボさんと遊ぶんだもんねー!」
「……はぁぁぁぁぁ…」

帰ってきてから、本日二度目のでっかいため息。
それは言わずもがな、原因はいきなりドアを開けて名乗りを上げたランボの存在だ。

「ランボ!入ってきちゃ駄目だって言ったろ…?」
そんな俺の訴えも、いつも通りお構いなく部屋中を駆け回るランボ。

あああ〜もう、今日は本当に何なんだよ?!
この師弟に邪魔されるは、雲雀さんに絡まれるは、骸に待ち伏せされるは、京子ちゃんに「萌える」って言われるわ……!(ある意味、最後が一番衝撃的だったけど)

「……何でコイツがいるんすか…?」
コイツ、ボヴィーノのランボっすよね…?と、嫌そうな顔を向けてジッとランボを見つめる獄寺君。
あ、ランボの事も知ってるのか。
まあ、ランボもあれで一応はマフィア…だしね。
「そいつはツナの雷の守護者だからな」
「え?コイツが?!」
リボーンの言葉に、ますます眉間にシワを深めてしまう。

「…何でコイツが…」
「うるさいんだもんねーっ!」
「うるせぇのはテメエだっ!!こんのアホ牛っ!」
「ち、ちょっ獄寺君?!落ち着いて!」
ランボを掴んでブンブン振り回す獄寺君を、何とか必死に止めようとする。

「ははっ、ツナもスモーキンも三人して兄弟みてえだなぁ」
「…ディーノさん。申し訳ないですが、ちっとも嬉しくないです」
俺は獄寺君と親密になりたいとは思っても、兄弟みたいになりたい訳ではないのだから。
「…変態」
「だから人の心的領域に踏み込むな!リボーン!」
「そんな事しなくともお前の頭の中身なんて筒抜けだ。ただ漏れだ」
「漏れてんの?!」
どんだけ単純だと言いたいんだよ、コイツ?!
「それとも、子供をあやす夫婦みてえとでも言ってもらいたかったのか?」
「え!?」

ふっ……夫婦?!

「…そういう見方があったんだ!よし、それもらったぁ!!」
「………お前、最近マジで可哀相だぞ?頭が」
哀愁漂いそうなほどの表情で俺を見つめてくるリボーン。

だって夫婦…夫婦…夫婦………
すげえいい響き……。


そんな中、獄寺君に殴られたのか、部屋の中に突然ランボの泣き声が響き出した。

ああ、また十年バズーカー騒ぎになるよ。
………ってか、十年バズーカーって十年後と入れ代わるんだったよな……。

………………。

「ーーって、じゅ十代目?!な、何でいきなり後から羽交い締めされてるんですか、俺っ?!」
「何でもないよ!獄寺君!」
「えええ?!てか何でバズーカーの発射口に俺を近付けようとしてんすか?!」
「気のせいだよ!別に十年後の獄寺君が見たいとかそういうんじゃないから!チャンスだとか思ってないからーっっ!!」
もみ合う俺の努力も虚しく、発砲される前にリボーンによってランボと俺が蹴り上げられてノックアウトするのは数秒後の話だった……。
前の記事へ 次の記事へ