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第24話:日本文化を重宝しよう

<第24話:日本文化を重宝しよう>

家庭教師が何かを諦めた始めた次の日、俺はいつも通りに学校へ行った。
もちろん、獄寺君と…だ。

学校では、昨日早退した俺を山本は「大丈夫そうだな」と笑って向かえてくれ、お兄さんは「気合いが足りんぞ!」と喝を入れられ、雲雀さんには顔を見るなり舌打ちされ、骸には「君…立ち直り早い男ですね…」と嫌味を言われた。(つーか、何で骸普通にいるんだよ)

まあ、今日は周りが必要以上に(獄寺君に)絡んで来なかったからよしとしよう。
あーあ、まったく毎日こんな風に平和に過ぎてくれれば嬉しいんだけれど…。

「どうかしましたか?」
帰り道、ため息をついた俺を心配になったのか、隣で歩く獄寺君がこちらを伺ってきた。
「ううん、何でもないよ」
「そうですか?」
安心したようにニカッと笑ってくれる笑顔は本当に癒されるよね。
あー俺に勇気があれば、今の笑顔写メに激写して、絶対に待受にするのに…。

「あれ…?跳ね馬…?」
悶々と考え事をしていた俺の耳に、小さく獄寺君の呟きが聞こえた。
ふと顔を上げると、俺の家の前にはその二つ名の人物…ディーノさんがリボーンを肩に乗せて笑顔でこちらに手を振っていた。

相変わらず、無駄に輝かしい美形顔と笑顔だなぁ…。
……と、いうか

「ディーノさん、まだ家にいたんですか?」
「ヒデェな、ツナ!?毎日同じ家にいんのに?!」
ああ、すみません。
なんか貴方、あまりにも家に馴染み過ぎてなんか最近存在気にしなくなってきてました。

そんな俺達のやり取りはもちろんスルーな家庭教師は、ぴょんと肩から家の塀へと跳び移る。
「おい、ツナ。お前に紹介したい奴がいる。家光のいる門外顧問から派遣されてきた奴だ」
突如、そんな事を言ってきたリボーンを呆然と見上げるさなか、家の方から誰かがこちらへと姿を表した。
「はじめまして沢田殿。拙者は親方様の元で働いていますバジルと言います」
今日からお世話になりますね!
そうにニッコリと笑った少年。

こ…これはまた、可愛い系の美少年が…!!
うおお、ボンゴレ万歳!
ああ、ごめんね獄寺君!可愛い美少年に反応しちゃうのは、もう性なんだ!
本命は獄寺君だからね、獄寺君だからね!

「だから安心してね!獄寺君!」
「な、何がっすか…十代目…?」
「ほっとけ、獄寺。そいつは今、別な世界にいるだけだから」
思わず肩を掴んで詰め寄る俺に、戸惑う獄寺君と呆れるリボーン。

「獄寺…?するとこちらが嵐の守護者の?」
ぱちぱちと瞬きをしながら獄寺君を見つめるバジル君。
他人に警戒心の強い獄寺君は、直ぐさまそれに噛み付くように反応して。
「あぁ?!」
「やはりそうですか!守護者の方々の話は聞いておりましたが…。こんな美しいお方だったとは!」
獄寺君が「は?」と聞き返したのと同時に、ガッシリ獄寺君の両手を握りしめながら距離を詰めるバジル君。
最近わかった事だが…以外にも突発的な押しに弱い部分のある獄寺君は、そんなバジル君の様子にあっさりとたじろいでいて。

え?ってか…何?!ちょっと、この展開?!

「獄寺殿!」
「な、何だよ…」
「是非、毎日拙者の為に味噌汁を作って下さい!」
「古っ!何でその台詞チョイス?!」
「ははは、バジルは日本文化大好きだからなー」
いやいや、笑い事じゃないですよ、ディーノさん。
あんたも獄寺君狙ってたんじゃないんですか?!
てか、日本大好きだからって何でそんなとこ取り入れちゃったの?!
もっとマシな日本文化取り入れようよ?
「つか…なんで味噌汁?」
「ご存知ないのですか、獄寺殿?生涯、自分の隣にいてほしい人に毎日味噌汁作ってもらうのが日本では習わしなんだそうですよ?」
「そ、そうなのか?!」
「いやいやいや。びっみょーに違うから。なんか…本当…微妙に」
この人、一体どんな日本文化学んできちゃったんだか…。
「バジルは素直な奴だからな。家光にからかいがいがあるって言うんで、いつも嘘吹き込まれてんだ。言わば、被害者だな」
ま、家光らしいはな、とすんなり流すリボーン。

おいおい、あの親父の仕業かよ。
ろくな事しないな、あの親父。

「…生涯隣に…?は!右腕っ?!じ、十代目!俺、今日から十代目に毎日味噌汁ご用意します!それが右腕としての勤めですよね!」
「ええ?!またこの子も無駄に素直だよ?!しかも飛躍させたよ!」
「俺、今日からしっかり味噌汁の生成法学びますから!」
「生成法?!いや、薬かなんかじゃないんだから…。てか、違うからね?意味違うからね?!う、嬉しいんだけど…っ、嬉しいんだけど…!!くうっ!」
「ツナ…お前、訂正してえのか…それとも喜んでいるのかどっちなんだ…」
だって獄寺君が…獄寺君がっ…!み、味噌汁を…っ!
「新婚みたいな、うふふあははな生活できるなら、俺はあえて訂正しない!」
「………お前、やっぱり家光の子供だな」
うるさいよ、あの父さんと一緒にするな。

そんな中、俺とリボーンのやり取りを目にしたバジル君が急にニッコリ笑って。
「成る程!リボーンさんと沢田殿のようなやり取りを言わば『夫婦漫才』と言われるんですね!親方様っ…!」
「何?!こ、これが…?!」
「「…」」
父さんに何を吹き込まれたかは知らないが、キラキラと目を輝かせるバジル君と、新たな発見をしたように驚く獄寺君。

な…何ですと?!
リボーンと俺が……ぁ?!

ーそう思った瞬間、隣でブチっという音が聞こえた気がした。

「……お前ら、ずいぶんおもしれぇ事言ってくれてんな…」
いくらバジルと獄寺でも容赦しねえぞ。
…そんな殺意満載のリボーンの姿は、まさに鬼の形相だ。

ま、まずいよ…ね?これはっ…!

「ま、待てよリボーン!二人に悪気はないんだから!てか、ご、獄寺君殴るなら俺を殴れ…」
「よし!」
容赦ない右ストレートが間合い入れずに飛んでくる。

…いや、間合い入れずにどころか、言い終わる前にはもう殴ってたよな?!
せっかく男らしく獄寺君を庇おうと思ったのに!
てか、今の明らかに最初から俺を殴るつもりだったろ?なあ?つもりだったろ?
何その、待ってました!的な「よし!」は?!

心配そうに駆け寄る獄寺君やバジル君の声を意識の遠くに聞きながら、やっぱり…平穏なんてないな、そう思った。
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