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第22話:家庭教師は悩み持ち

<第22話:家庭教師は悩み持ち>

何なんだ、コイツは?

瞬時に頭にそう過ぎった。


ようやく部屋へ入ってきたかと思えば、このアホツナは…。
さっきまでこの世の絶望と言わんばかりにへこたれていた奴はどこのどいつだ?ん?
部屋に入るなり、スキップでもしそうなくらい背景に花しょった面を見て、無性にイラッとした。
理由は聞かずともわかる。
その馬鹿に続いて入ってきた人物…獄寺そいつが原因に決まっている。

「…その面で、この部屋の敷居を跨ぐな」
「ちょっ?!ここ俺の部屋だぞ?!」
根っからのツッコミ属性なのか、アホ面晒しててもツッコミだけはしっかり忘れていないらしい。
「…おい、獄寺。一体お前、何したんだ?」
「え?いや、俺は早退した十代目が心配でここへ来たら、アホ牛に十年バズーカ打たれまして…」
で、戻ってきたら十代目がご機嫌でした!と義務感強い口調でそう答えた獄寺に思い切りため息が出る。

ようは、十年後の獄寺見て…はたまた何か言われてハイテンションになったって事だろう?
単純な奴め。

「…で?獄寺。お前は大丈夫だったのか?」
「はい?大丈夫だった…とは?」
「十年後行って、誰かに何かされなかったのか?」
「!!そうだよ獄寺君!」
…うわ、獄寺じゃなくて変態が食いついたよ。
「獄寺君?十年後で誰かと一緒にいたの?くそぅ、俺の獄寺君に!」
「…ツナお前、とうとう本音隠さなくなったな」
「十年後、誰といたかですか?」
「「…」」
「え?獄寺君、今の俺の発言スルー?結構勇気出して強調してみたつもりだったんだけど?!」
「…スルーだな」
何がですか?と無心な表情を見せる獄寺も、微妙に酷い奴だよな。

そんな俺達二人の疑問もスルーした獄寺は、思い出したように話を始める。
「ええっと、十代目がいらっしゃいました」
「よし、きた!ねえ、俺と何してたの?何してたの!?」
「…ツナ、残念だがお前の期待している事は確実にねぇぞ」
「えーっと、仕事中だったみたいです。十代目が何かの書類持っていて、俺は机挟んで立ってましたから」
「何だぁ…」
つまらない、といった顔を見せるツナ。

いい加減、コイツを殴りたい。

「で、俺を見るなり嬉しそうに手招きされて」
「…その面が目に浮かぶな」
「それで何だかよくわかりませんが、いきなり抱き込まれて『可愛い可愛い』言われてました」
「……頭のレベルに成長が見られねぇな」
「そして何だか異様にベタベタ触っていただいたんですが…」
「…完全に、余計な部分だけ成長が見られるな」
「……おい、リボーン。ちくいち余計なツッコミ入れるなよ!」
「やっぱり大人になられた十代目はかっこよくてご立派でしたね!」
「ーって、おい!?獄寺お前、未来で何見て来たんだ?え?今の話のどこに立派さがあった?ああ?!お前のかっこよさの基準見直せっ!!」
キラキラ目を輝かせる獄寺に俺のツッコミは届いているのかいないのか。
そして、その横で満足そうに満悦の笑みを浮かべる未来の十代目候補(14歳)にもツッコミを入れるべきなのか。

ともかく。
どうやら俺が家庭教師として訂正しなきゃならねぇのは十代目だけでなく、その右腕も…ということなのだろう。
こんな面倒事押し付けた九代目をちょっと恨みがましく思いながら、今後どれだけスパルタにしてやろうか…と考え始めるのだった。
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