<第1話:出会う>
俺、沢田綱吉こと通称ダメツナと呼ばれる並森中の中学生だ。
普段は一般中学生として生活している俺には、実は人には言えない事がある。
それは…俺は女の子はもちろん、男の子も恋愛対象として好きだということだ。(所謂、バイって事なのかな?)
いや、というよりどちらかと言えば、男の子の方が好きだ。
しかも俺が攻め的な意味で。
もちろん、女の子を見てもドキドキするけど、男の子に対しても同じような感情を持っていると気が付いてからは、もう認めざるおえなくて。
…でもこんな事、他人に言えるわけないし…まして男に告白されて受け入れられる可能性はかなり低いし、ただでさえダメツナな俺が攻められるような相手なんてそうはいないだろうし……
そんな訳で、俺は一般には京子ちゃんに憧れている一般中学生を装っている。
いや、もちろん女の子の中では京子ちゃんが1番好きだけどさ。
結局、京子ちゃんや女の子に対してもダメダメなダメツナなんだけどね。
そんな俺にある機転が訪れた。
ある日、学校の帰り道に変な赤ん坊と出会った。
そいつはいきなり俺に「お前をボンゴレ十代目するために来た家庭教師だ」とか言ってきた。
とりあえず、全力でスルーしようとしたら蹴り上げられて、無理矢理俺の家に連れて行かれて、永遠マフィアについて語られた。
俺は拒否しまくったが、結局最後は銃を突き付けてきたリボーンの一言で終わった。
「ちなみに、拒否権はなしだ」……と。
それが一ヶ月前の話。
それから、いきなり家にマフィア関係の連中が住むことになったり、いきなりリボーンがクラスの山本や、京子ちゃんのお兄さん、雲雀さんなどを俺の守護者にするとか言い出して、勝手に勧誘する始末。
まあ、確かに皆美形男子だし、男好きな俺としては美形男子に囲まれているのはちょっと嬉しいけど…。
ああ…せっかく今まで比較的普通の生活をしていたっていうのに…。
そして今日の朝、家を出る前にリボーンがある事を言ってきた。
「お前の守護者兼、右腕候補をイタリアから呼び寄せておいた。おそらく今日転校してくるはずだ」
…また勝手なことを。
そう思う半面、少し期待している自分がいた。
マフィアはきっと男の方が多い。
そうなると、今回の転校してくる人も男である可能性が高い。
しかもイタリアの人…
得意の妄想を巡らせながら、席について待っていると、先生が教室に入ってきた。
「えー今日は転校生を紹介する」
そう言って開いた扉の先にはー…
「転校生の獄寺隼人君だ」
!!!
リ、リボーン………
ぐっじょーぶ!!!
銀髪、色白の美形少年キター!!
山本達とはちょっと違う美人系の少年!
マニア心がくすぐられます!
……って、は!!
とは言っても、格好からしても不良っぽいし、何か目付き悪いし…結局は俺みたいなダメツナが攻められるような相手じゃないよな…。
ああ…どうしてくれるんだ、リボーン…
期待と夢が、37秒で打ち崩されたよ……
いいさ、目の包容にするから……チクショウ。
「えー…空いている席は…ん?沢田の隣か?」
え?
先生に言われたように、ぶっきらぼうに俺の隣の席につく獄寺君。
あれ?てか俺の隣って空いてたっけ?
昨日まで確か違う人がいたような……?
ほら、先生だって「沢田の隣って空いてたか?」なんて首傾げているし。
(ーー俺が裏工作したんだぞ… BY.リボーン)
「お前かよーーっ!!!」
心の中に話し掛けてきたリボーンに思わず立ち上がって大声で叫んでしまった俺に、クラス中の見開いた驚きの視線の数々が痛かった……。